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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「es [エス]」
2005年 08月 25日 (木) 03:10 | 編集
 es[エス]

「es[エス]」 ★★★

THE EXPERIMENT(2001年ドイツ)
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
キャスト:モーリッツ・ブライプトロイ、クリスティアン・ベッケル、
   ⇒ 作品紹介
   ⇒ es@映画生活
   ⇒ IMDbのTrailerを観る

「何より怖いのは人間」という話。

【ネタバレ有】
この実話ベースの映画の元となる監獄実験は、所謂社会心理学的な研究のアプローチの為に1971年スタンフォード大で実施されたものらしい。

 実験で与えられた役回りは「看守」と「囚人」。
いとも簡単にそれぞれの持ち場に適合していく様は非常に興味深いが、それと同時に誰しもこの状況には恐怖感を禁じ得ないだろう。看守の暴走によって暴かれる人間の本性と深層心理がサスペンスタッチで描かれ、物語の展開は息つく間もない。

 人間とは獲得した力を使わずにはいられない弱い生き物なのだ。
 この映画が浮き彫りにしたものは、「看守」と「囚人」という支配と服従の関係が築き上げられていく人間心理と、極限状態に陥った集団心理の暴走という二つの恐怖なのである。

 ドイツ映画ということも手伝ってナチズムを普通に想像させられるし、そこ等のホラー映画なんか比較にならない位の怖さを感じる作品だ。もしこれが人間の意識下の自我に眠る本能的な衝動を投影しているのだとすれば、それをコントロールする理性があの状況下においては働かなかったということなのである。そう、何よりも怖いのは人間なのだ。
   
 まぁ余談だが、あの主人公は引っ掻き回し過ぎ(爆。
記者という設定もあるのだろうが、もし彼があのような立ち回りをしなければあんなにエスカレートしたかどうかw。勿論映画的な面白さを生み出す為には若干のオーバーなエピソードも必要だろうけども少しあざとい印象が残った。
 因みにあの「箱詰め」シーンには死ぬかと思いました、狭いよ、暗いよ、怖いよの三重苦(号泣

   ◆参考資料
    ・ 実際に行われた監獄実験(英語)→The Stanford Prison Experiment
    ・ 監獄実験(Wikipedia)
これによれば、実験は1971年8月14日スタンフォード大心理学部で開始され、当初2週間の予定であった。次第に看守役は誰かに指示されるわけでもなく、自ら囚人役に罰則を与え始め、一部の囚人は精神を錯乱。実際の監獄でカウンセリングをしている牧師は監獄へいれられた囚人の初期症状と全く同じであることを指摘している。ついには禁止されていた暴力が開始されるエスカレートぶりで、実験は6日間で中止される運びとなったが、看守役は「話が違う」と続行を希望したという。


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