-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
 Title Index : all           A-Z・数字 監督別 

 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


スポンサーサイト
--年 --月 --日 (--) --:-- | 編集
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
2007年 01月 31日 (水) 23:52 | 編集
ストレンジャー・ザン・パラダイス ストレンジャー・ザン・パラダイス

「ストレンジャー・ザン・パラダイス」 ★★★★★

STRANGER THAN PARADISE (1984年アメリカ/西ドイツ)
監督:ジム・ジャームッシュ
脚本:ジム・ジャームッシュ
音楽:ジョン・ルーリー
キャスト:ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン、セシリア・スターク
  ⇒ Trailerを観る
  ⇒ IMDbでTrailerを観る
  ⇒ ブログランキングへ
  ⇒ ストレンジャー・ザン・パラダイス@映画生活

アメリカン・ドリームの欠片も見えず、歯切れのいいアクションも定番の恋愛ドラマも、勿論スペクタクルだって一切ない。社会や時代からドロップアウトしている若者3人のある出会いと別れを淡々と切り取った青春映画である。
可笑しくて、うら寂しくて、ジャームッシュの長編第1作にしてしかし紛れもない普遍性を持つ傑作だ。

よくある青春映画の汗と涙の感動、なんていう抑揚はここには微塵もない。1シーン1ショットで撮影され、エピソードは4~5秒もあろうかと思われる長い黒コマの暗転で繋がれる。そしてカメラは最後まで切り返しをしない。(最後まで!w) どこまでも日常の風景が流れ、素っ気無くてすれ違ってばかりの映画。ジャームッシュの美学が貫かれた作品と言っていいだろう。

この作品を初めて観た4年前、こんな面白くない映画があっていいのかとさえ思ったものだ。しかし映画の他愛もない1シーンや台詞の一言は奇妙なことに何度もフラッシュバックし、感動して興奮したはずの数々の映画以上に、いつのまにか自分の中から消し去れない鮮烈な記憶になっていることに気づく。そして本当は、黒コマで暗転する度に次のシーンを期待し、映画に釘付けになっていたことを思い知らされてしまった。
よくあるハリウッド映画のドラマティックなストーリー展開を、また所謂映画的なエピソードやシーンを常に予期して、凡そ先入観と既成概念で凝り固まっていた自分の映画観というものを、ジャームッシュとの出会いは見事に根底からひっくり返してくれたのである。

そんなわけでジャームッシュ作品がスタイリッシュだとかオフビートだなんていう散々言われている評価は、彼の徹底した美学とも言うべき作風に対する称賛でもあると思う。そしてこの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の何が凄いかというと「何にも起こらない」ということ。いや、厳密に言えば映画では何もまだ起こっていないけれど、想像できる映画の未来では何か起こるのかもしれないし変わるのかもしれない、そんなところだ。2人が出会って3人になってまたバラバラになる。単純化された人生の出会いと別れの構図がどうしようもなく心地良い。
思うに人の出会いと別れは、バラバラのベクトルが出会って離れる瞬間みたいなもので、その接点がとても長い時間になるか、ほんの一瞬の間で終わるのか、それは後に振り返って初めてわかることだ。ジャームッシュ作品の原点が全部この映画に詰まっていると言われる所以はそんな所にもあるように思う。

そしてジョン・ルーリー演ずるウィリーは言う、「新しい所に来たのに、何もかもが同じに見える」
何かを求めてハンガリーからやってきた移民のウィリー、10年NYに住んでも新天地のアメリカは彼にとって未だ異国の地なのだろう。新しい発見を求めて旅に出たはずなのに、クリーブランドもマイアミも驚くほどNYと風景が変わらない。それはあたかも非生産的な彼等の退屈で凡庸な人生を象徴しているかのようだ。
そんな異邦人の葛藤や疎外感も見え隠れさせつつ、能動的な生き方を選択できない彼等の変わり映えしない日々の孤独や退廃が実に鮮烈に描き出される。そうかと言って映画には少しも暗さがなく、むしろ噛み合わない気まずい会話の端々に笑ってしまう、そんな軽妙さも魅力の一つだろう。

ジャームッシュの友人で、作品によく登場するNYのミュージシャン、ジョン・ルーリーが主演と音楽を担当、84年のカンヌ映画祭でカメラ・ドールを受賞した。
自分の中で大切に思いたい映画はいくつかあるがこの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」も勿論その一つである。まぁいつもはウダウダと勝手に解釈とか分析とかはっきり言ってどうでもいい不毛なことばかりこのブログには書いてるわけだが、ジャームッシュの映画に限ってはあまりそういうことをしたいとも思わない。でれーっと観てため息ついて、感じるままでいいと思わせてくれる辺りも好きな理由かな。
製作年が何と自分が生まれた年ですw、でも全然古くない。

■当ブログのジム・ジャームッシュ監督作品感想LINK
   ・ ダウン・バイ・ロー ★★★★☆
   ・ ブロークン・フラワーズ ★★★★
   ・ コーヒー&シガレッツ ★★★☆
   ・ 10ミニッツ・オールダー ★★★
   ・ ナイト・オン・ザ・プラネット ★★★★


人気Blogランキング 映画ランキング エンタメ@BlogRanking
ブログランキングネット HPランキング bloog.jpランキング ブログコミュニティくつろぐ
記事が気に入って頂けましたらClickお願いします!好みのブログ検索にもどうぞ



■関連記事としてTBを送らせて頂いたブログ様(TB返し除く):(順不同敬称略)

■サウンドトラック
ストレンジャー・ザン・パラダイス
   ⇒ Amazon.comでサントラの試聴をする

■ジム・ジャームッシュ作品
ブロークンフラワーズデッドマン スペシャル・エディションナイト・オン・ザ・プラネット
コーヒー&シガレッツダウン・バイ・ロー コレクターズ・エディションパーマネント・バケーション


■ジャームッシュ初期のBOX
ジム・ジャームッシュ / アーリー・コレクションDVD-BOX (初回限定生産) ジム・ジャームッシュ / アーリー・コレクションDVD-BOX (初回限定生産)
copyright (C) The Door into Summer all rights reserved.
designed by polepole..
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。