-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「HAZE ヘイズ」
2007年 01月 28日 (日) 20:10 | 編集
ヘイズ/HAZE-Original Long Version ヘイズ/HAZE-Original Long Version

「HAZE ヘイズ」 ★★★☆

HAZE (2005年日本)
監督:塚本晋也
脚本:塚本晋也
キャスト:塚本晋也、藤井かほり、村瀬貴洋、神高貴宏、辻岡正人、さいとう真央
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49分間の恐怖と苦悶の連続、これは死を前にした人間が踏み入ってしまった地獄なのか?

映画は何故か身動きのとれない狭いコンクリートの空間に閉じ込められた男の接写から始まる。そこにいる理由もそれが現実か夢なのかも明らかにされぬまま、「人型地獄」「天井床隙間地獄」「口開き地獄」「ハンマー地獄」「くの字地獄」等の恐怖の空間が口を開けて男を待っている。
例えば『CUBE』のようなサスペンスの展開を予期し、不条理な脱出物としてこの作品を観ることも不可能ではない。しかし死体だらけの血の池地獄を掻き分けて進んだ男が抜け出した出口は、女と男が暮していた部屋という現実に繋がるのだ。即ち先程の地獄絵図とその脱出に到る彷徨は、瀕死状態の男が見た夢、言い替えれば臨死体験に近いものなのだろうと考えられる。

出口を探して彷徨う意識下の幻想からの覚醒。男が正気を失っていた時間は僅かだったのかもしれないが、我々はこの現実と幻想との裂け目に奇妙な親和感を覚えずにはいられない。何故なら男が嵌り込んだ地獄は、現実が様々な形に歪められて現れる夢の世界そのもので、人の潜在意識や深層心理に関わるものを包括しているからだ。

灰色のコンクリートに覆われた暗闇、男に与えられる様々な苦痛、夥しい血を流して転がる死体の山。そもそもこの狭くて閉鎖された空間は一体何を意味するのだろうか?
ここで思い浮かぶのは塚本監督がずっとテーマにしている「都市と人間の肉体」のイメージだ。どこに行こうと他人と思うように間隔を保つことができない都会の生活は、この作品に満ち溢れる圧迫感や閉塞感、他から突然にもたらされる恐怖といった感覚と根本でリンクしているように思う。
そして見逃せないことは監督の視座の変化であろう。極端なシチュエーションといい激烈な描写といい、作風は今までの塚本作品と変わらないように見えるかもしれない。だが監督が目を向ける対象は今や肉体だけではなく人間の内面へと大きく変容しているのだ。人の潜在意識というものをエンターティンメントの方向性で追求し描いたものが『悪夢探偵』ならば、この『HAZE』はドラスティックにカルト作品だが、『悪夢探偵』の布石としても、更には塚本作品の転調を感じさせる作品としても実に興味深い。

いつものように製作、監督、脚本、編集、主演、総てを塚本晋也監督自身がこなし、オールデジタルカメラで撮影されたカルトホラーである。共演には『東京フィスト』の藤井かほりを迎え、かなり観る者を選ぶ作品に仕上がっている事は確かだが、初期の塚本作品のようなエネルギーを感じさせられたことが印象に残った。「死」を前にした者が見た夢と言えばデヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』の世界観を思い出すが、『HAZE』は「死」から「生」に向かおうとする覚醒のイメージや、現実と夢の対照的な演出が上手い。

そしてたった49分の短編作品だが、心に焼付いて離れないのが、青空の下で翻る真っ白なシーツの中に男が佇むシーンだ。苦痛の描写がどれ程生々しく恐ろしくても、そのショットの美しさと哀しさは少しも曇ることがない。
老いた男を包み込む乾いた現実の清々しさと寂寥、その総てが凝縮されてそこに在る。そして、閉塞からの解放。
一瞬のこんなカタルシスが欲しくて自分は映画を観るのかもしれない。

   ◆当ブログの塚本晋也監督感想LINK
     ・ 悪夢探偵 ★★★★
     ・ 六月の蛇 ★★★★
     ・ ヴィタール ★★★
     ・ バレット・バレエ ★★★
     ・ 双生児 ★★★
     ・ 東京フィスト ★★★
     ・ 鉄男 ★★★☆


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■関連記事としてTBを送らせて頂いたブログ様(TB返し除く):アロハ坊主の日がな一日ネタバレ映画館瓶詰めの映画地獄(順不同敬称略)

■塚本晋也監督作品
六月の蛇鉄男~TETSUO THE IRON MAN~東京フィスト
バレット・バレエヴィタール スタンダード・エディションヒルコ 妖怪ハンター


■記事内紹介作品
マルホランド・ドライブCUBE キューブ
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