-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「都会のアリス」
2006年 12月 21日 (木) 03:08 | 編集
都会のアリス 都会のアリス

「都会のアリス」 ★★★★☆

Alice in the Cities(1974年ドイツ)
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ファイト・フォン・フュルステンベルク、ヴィム・ヴェンダース
音楽:CAN
キャスト:リューディガー・フォークラー、イエラ・ロットレンダー、リサ・クロイツァー、エッダ・ケッヘル
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男と少女それぞれの未来に広がる世界、そして見失った自分を取り戻す旅路。
今後のヴェンダース作品の方向性を決定付けるあまりにも美しいロードムービーである。

ストーリーは、仕事に行き詰った男と母親からはぐれた少女アリスが、アリスの祖母を探してアメリカからヨーロッパへとさすらう旅を描くものだ。
曖昧な記憶を辿るアリスの祖母探しという名目で続けられる彼等の旅だが、その旅の途で我々はこの二人に「喪失」という一つの共通点を見い出すことができる。

ジャーナリストである主人公はアメリカの風景を思うように写せない、即ち彼の見た世界を写真に写し出す事ができないというジレンマに陥っている。世界を自らの中に相対化できずに孤独と混迷の中にいる彼は、生きる目的を或いは自分自身のアイデンティティーさえもいつしか見失ってしまったかのようだ。
対して母親に捨てられた少女アリスは、男に託して頼りない記憶から気丈にも祖母の家を訪ねようとする。だが二人の旅路が実にアリス主導で進んでいくということに注目すべきだろう。

つまりそれは、男にとって写せなくなってしまった現実世界との融解点としてこのアリスが存在していたことを意味する。アムステルダムという異国でその町を知るアリスの役割はまさしく案内役であり、言い換えれば彼の自分探しの旅における「道標」としての存在なのだ。
“Alice in wonderland”ではなく“Alice in the Cities”。迷っているのはアリスよりもむしろ都会に疲れた男の方なのかもしれない。
カメラを手にしなくなっていた男は、旅の終わりに自らの手で少女を写す。たった一枚の写真はおそらく別れのメッセージであり、男が自分を取り戻して再生しようとする象徴でもあるのだろう。次第に和らぎ満ち足りていく男の表情、アリスの無垢な面差しから旅の列車を俯瞰するエンディングに、我々は未来に続く世界の限りない広さと、愛する他者によって相対化される確固たる自己を再認するのである。
人の出会いと別れの愛しさをモノクロームのフィルムに映し撮り、ロードムービーの魅力を余すところなく伝える傑作だと思う。二人が撮った証明写真の表情をおそらく自分は二度と忘れることはないだろう。

監督は「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」の名匠ヴィム・ヴェンダース。本作から「まわり道」「さすらい」とリューディガー・フォークラー主演によるロードムービー三部作を撮る事になる。
テーマ的には「ペーパームーン」「セントラル・ステーション」、証明写真のシーンは「バッファロー’66」も思い出す。
疲弊した心を癒す不思議な魅力を携えた70年代のファンタジーは今も少しも輝きを失うことがない。万感溢れるラストカットには本当に痺れた、・・・いつかこの作品を大スクリーンで観られることを願いつつw

■当ブログのヴェンダース作品感想LINK
   ・アメリカ,家族のいる風景 ★★★☆
   ・ランド・オブ・プレンティ ★★★☆
   ・10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス ★★★
   ・ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ★★★☆
   ・パリ、テキサス ★★★★★


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