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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「恐るべき子供たち」
2006年 11月 29日 (水) 02:31 | 編集
恐るべき子供たち (トールケース仕様) 恐るべき子供たち

「恐るべき子供たち」 ★★★☆

LES ENFANTS TERRIBLES  (1950年フランス)
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 
原作:ジャン・コクトー
脚本:ジャン・コクトー、ジャン=ピエール・メルヴィル 
キャスト:ニコール・ステファーヌ、エドアール・デルミ、ルネ・コジマ、ジャック・ベルナール
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誰かを愛することを知って子供は大人になる、否、望まずとも大人にならざるを得ないのだ。

 美しい姉弟の、毒に満ちた享楽と破滅的な愛情の行方を鮮烈に描き出したジャン・コクトー原作の映画化作品。モノクローム映像に詩的なナレーションが非常に印象的である。

 本来であれば幼い子供時代の狭小な世界というものは、他者との出会いによって徐々にその空間を拡げ、社会生活の中に収斂されていくべきものであろう。だが映画は、他者という存在の侵入を最後まで拒み、閉じられた姉弟関係を守り続けようとした愚かなる純粋を究極まで描き出すのだ。
 美しい姉と弟、彼等が秘密の隠れ家のように過ごした部屋は、残酷な子供の秩序によって支配された云わば聖域であった。普通の姉弟愛を越えて弟ポールを独占しようとし続ける姉エリザベスの偏愛。だが、二人だけの幼い世界は、ダルジュロスという破滅の使徒によっていびつに歪みながらこじ開けられていくのである。

 近親相姦を匂わせる危うい姉弟関係に同性愛的憧れ、また嫉妬と罠、毒薬や自殺といった、非常に当時としてはセンセーショナルであろうテーマを幾つも包含していることにまず着目すべきであろう。ナルシシズムを秘めた激しい台詞の応酬には、思春期の屈折と退廃、或いは死を喚起させる子供の残酷性が具現化されている。
 しかし友人という他者を迎えた奇妙な家族ごっこは皮肉にもこのゲームに終焉をもたらすことになるのだ。愛するが故に互いを傷つけて命まで投げ出してしまう激情に、我々は最早それが子供の世界を逸脱していることを知る。

 本作は扱うテーマが禁忌的な要素を含む為、思春期どころか何処から見ても完全な大人が子役を演じなくてはならなかったらしい。そのアンバランスさは最後まで尾を引いて、今の映画に見慣れた我々には物足りない部分だ。勿論逆に言えばそれだけ映画表現の時代性を孕んだ作品とも言えるわけだ。
 だが、時に仰々しくヒステリックで極論に終始する人物の台詞の裏側に、我々は甘美で強烈な痛みをも感じずにはいられない。この「恐るべき子供たち」という作品が放つ毒は、青春期を鮮烈に象徴して決して色褪せることのない普遍性をも携えているのだ。

尚、コクトーはジャン=ピエール・メルヴィルの初の長編映画である『海の沈黙』を見て感銘を受け、自身の小説『恐るべき子供たち』の撮影を依頼したらしい。撮影所のシステムから抜け出し、自然光を取り入れたメルヴィルの映像は、後のヌーヴェルヴァーグの作家にも多大な影響を与えたとされる。(Wikipediaより)またダルジュロスは、コクトーの少年時代の友人の名であり、彼自身の芸術の源に関る存在でもあるそうだ。

 まぁやっぱりいかつい男と成熟した女が子役を演じるという奇妙さは、個人的には映画に乗れないポイントであった。もうちょっと線の細い役者を選んだら良かったのにな。 
   ◆参考資料
     ・ ジャン・コクトー
     ・ ジャン=ピエール・メルヴィル


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