■ Title Index : all ア カ サ タ ナ ハ マ ヤ ラ ワ A-Z・数字 監督別 |
■ ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ |
2005年
08月
24日
(水)
15:26 |
編集
最愛の者の死を受け入れることの哀しみ。
亡き夫の姿も愛も総てはまぼろしの如く。
まずランブリングが絶妙に上手い。やり場のない孤独と重過ぎる愛情を抱えた女の喪失感や苛立ちを完璧に表現して見せる。
そして浮かび上がるものは実に残酷な愛の形である。女が拠所として信じてきた愛はまさに「まぼろし」であったことに観る者は愕然とさせられるのだ。
そしてこの映画のエンディングの鮮やかさは全く驚くばかりだ。
幻覚だと気付かされ現実を目の当たりにしたはずのヒロイン、しかし彼女が海岸を走り出すラストシーンは不毛な美しい悲しみに溢れている。
まぼろしの呪縛から逃れられない心への何とも言えないやりきれなさに支配されつつ、張り詰めていたものが音もなく切れていくような劇的なエンディングにはただ拍手するしかない。
現実の男ではなくまぼろしの夫を選択してしまう女の悲哀をほんの数カットで表現してしまう、オゾン監督の手腕が冴える終幕だと思う。
ただし内省的なドラマなので展開はこの上なく平坦、それはある程度覚悟して観ないと一瞬で眠りの底に落ちる、この手のヨーロッパ系の作品に見慣れていない場合は特に要注意だ。
(きっと途中で何分か寝ちゃってもその間の「見逃した感」はないだろうけどね)
尚、本作は死についての三部作の最初の作品である。愛する者の死が「まぼろし」、自分の死が「ぼくを葬る」で、三作目は子供の死をテーマにするらしい。
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・ スイミング・プール ★★★★
・ 8人の女たち ★★★








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