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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「HERO 英雄」
2005年 08月 24日 (水) 15:09 | 編集
英雄 ~HERO~ スペシャルエディション 英雄 ~HERO~ スペシャルエディション

「HERO 英雄」 ★★★☆

(2002年香港・中国)
監督:チャン・イーモウ
キャスト:ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー
衣装:ワダエミ

総ては国の大義の為に。
暗殺者と為政者の壮大なる物語が極彩色の絵巻物となって虚空を舞う。


この作品のCGやワイヤーアクションの多用をリアルじゃない云々と否定し始めたらきりがない。特にアクションはこの映画の観るべき点の一つでしかない。ファンタジックで幻想的な世界観は、現実にはあり得ないから面白いのである。

まず映画全体の印象として、3つの回想シーンをラストに収束させる展開は鑑賞者を惹きつけるという点では見事だと思うし、現実と仮想回想の部分の鮮やかな色彩の対照と変化には何より目を奪われる。特筆すべき映像の美しさは近年でも際立った作品だろう。この作品を思い起こす際にまず脳裏に浮かぶのはドラマ性以上にその若干京劇みたいであざといビジュアルだからだw。

しかしこれ等のビジュアル面と共に見落としてはならない点が壮大なるテーマ性である。暗殺者は歴史を動かそうと試み、為政者は国の泰平の為に統治する。本作では始皇帝の「大義」の前に暗殺者が刀を置くのだ。国を真に憂い思うという必然の結論が、ラストの無名の選択なのである。
勿論秦王の人物像については掘下げ不足もあり、為政者としての信頼に足る人物として描き切れているかと問われればそれは微妙だ。だが我々は始皇帝が暗殺されなかった歴史を、そして後に国を統一した歴史を知っている。無名の選択は歴史の裏側に生きた人々の一つの生き様を映し出しながら、現代に生きる我々には耳が痛い、個より全体を見るというテーマに到達するのだ。言い換えれば、暗殺者こそ国王の最大の理解者でもあったのではないだろうか。
派手なアクションやビジュアル部分にばかり目を奪われがちだが、軸のぶれない骨太なテーマを包括した脚本だと思う。

ただこういうテーマよりもどうしてもあの様式的な色分けに目が行ってしまうわけで作品自体損をしている部分もあるかもしれない。自分は中華思想を彷彿とさせる世界観や、エピソードを色分けしちゃう構成があまり好きにはなれなかったのだが、完成度の高い作品ではあると思う。


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