-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「ギミー・ヘブン」
2006年 11月 10日 (金) 13:37 | 編集
ギミー・ヘブン スタンダード・エディション ギミー・ヘブン スタンダード・エディション

「ギミー・ヘブン」 ★☆

Gimme heaven (2004年製作2006年1月劇場公開)
監督:松浦徹
脚本:坂元裕二
主題歌:竹仲絵里 『gerbera』
キャスト:江口洋介、安藤政信、宮崎あおい、小島聖、鳥肌実、小木茂光、北見敏之、石田ゆり子、松田龍平
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他人は、ぼくが見てるように世界が見えているのだろうか。
共感覚というアイデアの点では斬新なミステリーなのに、それをドラマに生かしきれていない、残念だなぁ。

ネタバレが有ります
“共感覚 synesthesia”とは五感が未分化である人間の赤ん坊の様々な感覚が関連しあうことだそうだ。本来は成長するにつれて失われるこの感覚を大人になっても保持し続ける人間がたまにいるらしい。(Wikipediaより抜粋、下記参考資料有)具体的には特定の文字や音に色を感じたりするような、つまり対応すべき感覚以外の感覚が生じるということである。
本作はこれをモチーフにしたサスペンスだが、テーマは共感覚という特殊な感覚を持つが故に疎外感を抱いて生きてきた人間の孤独と哀しみ、そして救済、といったところだろう。

惜しむべき点はまず第一にこの共感覚が映像的に牽引力になっていないことだ。
我々が多少共感覚を具体的に感じることができるのはエンディングだけで、刑事の石田ゆり子が調査がてら時々言葉で説明するに留まる為、事前知識のない人間が観るにはとにかく抽象的で解り難い。共感覚が登場人物を繋げる重要なポイントで、しかもこれは小説じゃなくて映画なのだから、もう少し映像的な工夫が欲しいところだ。

そしてもう一つはサスペンスの組み立てが物凄く甘いことと、共感覚をミステリーに殆んど生かせていないこと、これが致命的である。
そもそも犯人の動機自体に全く説得力がない。百歩譲って、自分の真の理解者を探す為に人を殺めるしか方法を知らなかった少女が、最後にその存在に命を絶たれることで救済される、というテーマは理解したとしよう。そうであれば彼女の心の傷についてもっともっと掘下げた描写が必要だったはずだ。家族を失い兄を憎まなくてはならなかったヒロインが、どれほど心を病んで、痛みに耐えてきたのか、それが薄っぺらにしか描かれていないから特異な感覚への苦悩や孤独感も殺人の動機と乖離した印象しか受けない。結果的にはアイデアをテーマに生かしきれていないのである。
更にわけのわからんヒロインをかくまい続け、安藤政信がやたらヒロインに肩入れして守ろうとする理由も、はっきり言って説得力ゼロ。また兄役の龍平なんて何故かいつも先回りして何でも知っているし終いにはカメラまで仕込んである始末、妹フェチの兄が彼女の犯罪を隠匿しているにしてもこの展開は明らかに都合が良過ぎる。ラストの江口の選択だって、今まで普通に生活できていてしかも子供が生まれるという状況であることを考えるとかなり強引だ。
とにかく説明不足が甚だしいのと取って付けた様なご都合主義があまりにも目立つのである。

見所はネットという現代のコミュニケーションツールを利用した一味違う臨場感と、まるで異次元に降り立ったかのようなガーベラの雨によるクライマックスからのシークエンス。独特の鮮やかな色彩の美しさと儚くも残酷な帰結からは、あのシーンに全エネルギーを傾けたかったという監督の思いは伝わりました、でもそれだけじゃやっぱり映画としては厳しいだろう。松浦徹監督はこれが長編デビュー作らしいので次回作に大いに期待したいと思う。
そして江口洋介、安藤政信、宮崎あおい、小島聖、鳥肌実、石田ゆり子、松田龍平といったこれだけ豪華なキャストを集められたのも、題材自体に魅力があるからなのだろう。実際自分もこの「共感覚」は初めて聞いたし、普通の人間と具体的に感じ方が違う人々がいるということに新鮮な驚きがあったことは確かだ。キャッチにあるような孤独感や恐怖もいいが、観客が共感覚自体をもっと理解したいと願う自然な流れを想定した映像的な工夫や、また脚本にはサスペンスとしての緻密さ・ドラマとしての説得力が欲しかったと思う。

他人との違いによって苦悩し孤立する主人公を描いて、我々が生きる現実世界の醜悪さやアイロニー、そして脆弱さを抉り出すと言えば、そう、まさにデヴィッド・クローネンバーグの真骨頂ではないか。「ギミー・ヘブン」を観ながらクローネンバーグの作品を振り返って総括したくなるというのも何だか妙な話だが。
因みに、推定される共感覚者の中には宮沢賢治、リムスキー=コルサコフ、カンディンスキー、スティービー・ワンダー、マイルス・デイビス、物理学者のファインマン等の名前も挙がっていた。完成度は高くないが共感覚について知りたくなる映画ではある。

    ◆ 参考資料及び文献
       ・ 共感覚 
       ・ 共感覚とは何か 

       ・ 「共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人
       ・ 「共感覚―もっとも奇妙な知覚世界
       ・ 「ねこは青、子ねこは黄緑―共感覚者が自ら語る不思議な世界
    ◆ 当ブログ内のクローネンバーグ監督作品感想LINK

というわけで、早朝DVDで観た作品。大学行く前に速攻書きしたので後で細部直します。


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■共感覚についての書籍
共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人共感覚―もっとも奇妙な知覚世界ねこは青、子ねこは黄緑―共感覚者が自ら語る不思議な世界
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