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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「ナイン・ソウルズ」
2005年 08月 24日 (水) 15:02 | 編集
ナイン・ソウルズ ナイン・ソウルズ

「ナイン・ソウルズ」 ★★★

9SOULS(2003年日本)
監督:豊田利晃
キャスト:松田龍平、原田芳雄、板尾創路、マメ山田、千原浩史、伊東美咲、鬼丸、北村一輝、國村隼、麿赤兒、藤木悠、京野ことみ、
作品詳細

遣り残したことはもうないか?
社会からドロップアウトした男たちの魂の残滓。

9人の囚人の脱獄劇とその顛末を描いた作品。
素晴しいのはとにかく役者の個性がよく生かされていたということ。社会的不適格者の烙印を背負って生きるそれぞれの人生の最期は、哀愁に満ちていて酷くやるせない。それでも破滅に向う道程と知りつつも、彼等が一瞬咲かせた花は美しく輝く。凝縮された「生」そのものが熱く語りかけてくる、そんな映画だ。

ただ、これだけ9人の生き様を丁寧に追った割には、その収束はあまりにも肩透かしである。折角8人までは其々のユニークな人生を辿っているのにも関らずどこにも感情の持って行き場がないエンディング。
それはおそらく肝心の9人目である松田龍平のエピソードが如何せん弱いということに尽きる。手に入れたあの鍵で彼自身の心のドアは解放され魂が救済されたと捉える事もできなくはないだろう。しかし殻に閉じ籠って逃げ続けた彼が、最期に自分自身に真正面から対峙できたとまではどうしても思えないのだ。敢えて含みを持たせた象徴的なエンディングではあるのだが、それまでのトーンとかけ離れたファンタジックさにもやはり違和感を禁じ得ない。

もしかしたら松田龍平に集中して描かれていればおそらくストーリー自体はもっとまとまったのだろう。だがそれではあの個性的な9人のキャラと生き様を生かすことは難しかったかもしれない。結局ストーリーを収束すべきエピソードに説得力と求心力がなかったことが、この作品自体の致命的な弱さになってしまったように思う。惜しいなぁ。

途中まではいい展開で物凄く面白かった。それだけにラストは若干残念だが、この監督の視点はやはり鋭利でユニーク、素晴しいものがあると思う。映像的にもストーリー的にも「青い春」ほどの圧倒的な牽引力はないが、どう生きることが幸福なのか、じわりと沁みる魅力のある作品だと思う。
何はともあれ、ストリップ小屋の異世界を覗き込む様な映像はリンチやクローネンバーグを思わせて非常に面白かったし、そして板尾は最高なのだった。


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■ナインソウルズ音楽:dip
ナイン・ソウルズ ナイン・ソウルズ

「ポルノスター」の音楽のdipが本作でも再び担当している。
   ⇒ dipについての情報は此方から(Listen Japanより)
   ⇒ dip公式サイト

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