−大学生の自己中ネタバレ映画評−
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新旧オールジャンルの濃い目の映画感想日記です、解釈分析ネタバレ有り。

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「9 Songs ナイン・ソングス」
2006年 11月 07日 (火) 02:22 | 編集
9songs ナイン・ソングス

「9 Songs ナイン・ソングス」 ★★★

9 SONGS (2005年イギリス)
監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:マイケル・ウィンターボトム
キャスト:キーラン・オブライエン、 マルゴ・スティリー、プライマル・スクリーム、フランツ・フェルディナンド、マイケル・ナイマン、エルボー、ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ、ザ・ダンディ・ウォーホルズ、スーパー・ファーリー・アニマルズ、ザ・ヴォン・ボンディーズ
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そういえばSEXとLIVEの持つ高揚感はどこか似ている。同じ興奮を分かち合いその瞬間に生きている喜びが迸る、ただそれだけの爆発的なエモーション。

本作は男が別れた恋人の記憶を手繰り寄せていくというとてもシンプルでパーソナルな話、台詞や説明が少なくモロ出しのHシーンだらけという非常に実験的な要素が多い作品である。
物語は女の肌の感触や匂いといった生物的な記憶の断片から始まり、二人が情熱を傾けたライヴシーンと次第に貪欲になってエスカレートする愛情表現を時系列に交互に紐解くことによって、一つのラブストーリーの行方を紡いでいく。そしてこれ等の過去を収拾する現在は南極という広大なる極寒の地だ。

とにかくこのウィンターボトムという監督は映画に音楽を乗せて表現するのがとても上手い監督だと思う。「24アワー・パーティ・ピープル」では音楽そのものをモチーフの一つとして描き、マイケル・ナイマンと組んだ「ひかりのまち」やコールドプレイを使った「CODE46」にしても音楽の持つ力が十二分に引き出された作品という印象がある。
この「9 songs」の場合は、BGMとしてというよりは主人公が恋人と過ごした日々に参加した思い出のライヴという形で、まるで音楽もこの作品の主要キャストであるかのような位置づけになっているのが面白い。登場する9つの曲は、愛情の高まりから別れの沈静への過程で主人公の心をそのまま投影した追憶の欠片なのである。

この作品で最も見逃せないのがロンドンのライヴハウスで撮影されたというライブ映像とその9曲だ。プライマル・スクリーム、フランツ・フェルディナンド、スーパー・ファーリー・アニマルズ等、UKロックシーンを代表するバンドのライヴを次々に観る事が出来るのだから音楽好きには堪らない。しかもそれ等9つの曲の歌詞がちゃんと映画を物語る心憎い仕掛けになっている。唯一この映像をフルスクリーンで観る為にやっぱり劇場に足を運ぶべきだった、残念。
それからR-18を喰らったかなり過激な、あんなことやこんなことまでする本番SEXシーンも当然見所の一つ。どうやら海外版はぼかし無しらしいが、だからと言って作品全体がポルノ然としたイメージで覆われることはない。それはおそらくウィンターボトムの作家性が明確に現れていることに拠るだろう。即ち、主演二人がアドリブで作っていったというシーンをドキュメンタリー風にごく自然体で演出した監督の手法と軸のぶれないテーマ性、またいかにも普通の風貌や裸体の二人をキャスティングしていること等の点に窺うことができる。特にマルゴ・スティリーという女優の中性的な印象さえあるスレンダーな裸体は、現実感のある生々しい存在感とウィンターボトムらしいクールな官能美を体現するものだ。
監督は所謂映画のラブストーリーにおいてシンボル化されて決して描かれる事のないラブシーンを、本作では敢えて描くことを選んだという。個人的にはライヴという熱狂と高揚の対になるものをSEXとして描いた一つの試みは悪くないと思う。しかし当然そこまでスクリーンに映し出す必要があったかどうか、映画として客観的に考えれば必然性についての議論もまたあって然るべきだ。

孤独な南極の地で別れた恋人を思う男の心情が淡々としかし確かに観る者の胸に届く。大陸から離れた氷山がやがて溶けてしまうように、愛情も消えていったのか。
デジタルビデオを使って撮られたコンパクトで濃厚な69分は、野心作ではあるが哀切なラブストーリーのベースを外れるものではない。逆に69分という潔さが若干漂うプライベートビデオみたいな雰囲気には非常に良かったと思う。

「CODE46」からラブストーリーが2作続いたが、ウィンターボトム監督最新作はアメリカ政府による人権無視の象徴“グアンタナモ”の実態を描いた社会派作品「グアンタナモ、僕達が見た真実」である。2007年正月に日本でも公開を予定されているようで、個人的にはとても楽しみだ(⇒「グアンタナモ、僕達が見た真実」の情報をIMDbで見る、⇒公式サイトを見る)。
尚、「グアンタナモ〜」は2006年ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞している。

   ◆このブログのウィンターボトム作品感想LINK
     ・ CODE46 ★★★☆
     ・ 24アワー・パーティ・ピープル ★★★
     ・ イン・ディス・ワールド ★★★☆ 
     ・ ひかりのまち ★★★★
     ・ バタフライ・キス ★★★★

   ◆ライヴシーンの詳細をCheckする(音が聴けます)
   ◆9 Songs の曲目(Linkの貼ってあるものはフル試聴可)
     1 "Movin' On Up"(Live)
         Performed by Primal Scream
     2 "Whatever Happened To My Rock and Roll"(Live)
         Performed by Black Rebel Motorcycle Club
     3 "Fallen Angel"(Live)
         Performed by Elbow
     4 "Nadia"  
         Written and Performed by Michael Nyman
     5 "Slow Life"(Live)
         Performed by Super Furry Animals
     6 "The Last High"(Live)
         Performed by The Dandy Warhols
     7 "C'mon C'mon"(Live)
         Performed by The Von Bondies
     8 "Love Burns"(Live)
         Performed by Black Rebel Motorcycle Club
     9 "Jacqueline"(Live)
         Performed by Franz Ferdinand


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Comment
この記事へのコメント
これ単純に良かった。
別れた恋人を思い出す要因がルックスとか言葉じゃなくて、SEXだったりLIVE。
南極で飢えているから余計になんだよきっと(w
2006/ 11/ 07 (火) 08: 34: 22 | URL | CR # 5AsKuy2.[ 編集 ]
22歳童貞の僕が来ましたよ
<SEXとLIVEの持つ高揚感はどこか似ている
<別れた恋人を思い出す要因がルックスとか言葉じゃなくて、SEXだったりLIVE

へぇ似ているんですかそうですか
このウィンターボトムヲタどもが!
ところでプライマルスクリームって美味しいの?(゚∀゚ )
2006/ 11/ 07 (火) 17: 02: 29 | URL | kkk # c1ds2r8g[ 編集 ]
28歳童貞のぼk

面白そうですね〜この作品。いや、エロシーンじゃなく音楽面でw

>歌詞が映画を物語る
こういうのツボです。映画と音楽が一体になったような作品ってなかなか無いですもんね。音楽だけがいい作品はイッパイあるんですけども。

音楽映画は大好物なのでそのうち観てみます。
2006/ 11/ 07 (火) 23: 47: 26 | URL | baoh # JalddpaA[ 編集 ]
>CR
南極みたいな辺りに何も無い所でパートナーと暮す、それが周囲の世界が見えなくなっている盲目的な恋人同士の状況に似てるってウィンターボトムが言ってたよ。
まぁ確かにあんなに見せたり本番までやる必要があるか、やっててもそりゃいいけどそれをモロ映しするべきかどうか、っていうのは残るんだけど、全体には悪くなかったな。
ライヴ映像良かった。

>kkk
童貞乙!
抜くにはちょっと乳不足だが
普通に面白いから観てみ

>baohさん
祝カミングアウト!(違
そうなんですよ、音楽がBGMだけじゃなくて二人の愛情の行方を描くことにもなってるんです。
エロというか全部見せなので最初はおぉ♪って感じでしたが、鑑賞後の印象は初めとかなり違ってました。

ウィンターボトムの作品への思い入れは別にして、音楽とSEXが好きなbaohさんには必見です(・∀・)b
2006/ 11/ 08 (水) 08: 21: 51 | URL | lin # XHLKTYlo[ 編集 ]
僕もこの作品好きなんですが、特筆すべきはデジタルビデオで撮られてるんですよね!
というのもウィンターボトムは、「インディスワールド」以降デジタルビデオによって、かなりドキュメンタリーに近い形で撮影する手法にシフトチェンジしています。
なので、こういった実際のライブ映像を使うことに成功しているわけです。
そういった意味でもSEXとLIVEを生っぽく撮ることに成功しているのだと思います。
スタッフも3、4人でまかなえる撮影スタイルのお手本といった感じもします。
賛否両論といわれてますが、僕はこのミニマルな作品が非常に好きですね。ナイマンのライブ場面も少しですが、とてもいいし!
2006/ 11/ 15 (水) 19: 11: 10 | URL | ジョウ # -[ 編集 ]
>ジョウさん
こんばんは
デジタルビデオ長く撮れるからいいんだよね♪って嬉しそうにインタビューで言ってました、ウィンターボトムw。
別れた恋人の追憶を描く作品としては、ドキュメンタリーぽくてしかも限りなくプライベートな雰囲気が物凄く合ってたと思います。

ウィンターボトムの撮る映像が好みなので、作品にも全体に下駄履かせたくなるんですが、この映画自体は思っていたのとかなり印象が違っていました。一瞬高揚して波が退く様に冷めていく、そんな感じが恋愛とLIVEを上手く繋げている所なんか上手いなぁと思いますね。
賛否あって当然の作品ではありますが、LIVEシーンが重ねられていく途中でぐっとくる部分もありましたし、小品ですが面白かったですw 
2006/ 11/ 15 (水) 23: 57: 25 | URL | lin # XHLKTYlo[ 編集 ]
観ました!

いや、linさんの記事から相当過激なんだろうなとは思っていたんですが、まさかモロとは・・・おじさんびっくらこいてしまいました。

音楽との一体感としては個人的に24アワー・パーティ・ピープルが最高だったので少々物足りなかったんですけど、なかなか面白い作品ですね。極寒の地で思い出す温もりの始まりと終わり・・・という描写をSEXとLIVEで魅せきるというのは新鮮でした。

でも、とかモロまで映す必要があるのかと言われれば確かに疑問なんですが、それはそれでおいしいのでアリでしょう(ぇ)それにしてもあの男女の役者さんの体当たり演技に脱帽でした。
2006/ 12/ 21 (木) 00: 15: 11 | URL | baoh # JalddpaA[ 編集 ]
>baohさん
そこまで映すか?っていうのはかなり問題になったようですね。役者選ぶのも大変だったらしいっす。
その部分だけがセンセーショナルに取り上げられ過ぎると結局この映画にはマイナスなんじゃないかなって気もやっぱりするんですよね。映画自体が悪くないだけにw
これ劇場に観に行くか迷ったんですけど、家でDVDが一番っすね(爆
2006/ 12/ 22 (金) 00: 55: 33 | URL | lin # XHLKTYlo[ 編集 ]
はじめまして♪
シネマ・トゥデイのTBから来ました。とっても読み応えのある映画評ですね!楽しませていただきました。TBさせていただきますのでよろしくお願いします。
2007/ 01/ 10 (水) 20: 49: 48 | URL | プリシラ # -[ 編集 ]
>プリシラさん
はじめまして。
コメント・TBありがとうございます。
全然読み応えのない記事も沢山ありますが(爆、是非またお越し下さいw。
2007/ 01/ 12 (金) 00: 28: 40 | URL | lin # XHLKTYlo[ 編集 ]
音楽について・・・
私も9songs観ました。でも、この映画の中で出てきた音楽が、どうしても見つからないんです!上の9つの曲中にもないんです!!確か、主人公の2人が、ストリップ部屋みたいなパブに行ったシーンで流れていて、女性歌手が悲しげに歌う歌詞で、「夜のとばりが・・・」と言うふうに字幕ではでていました。この歌が、どうしても欲しいんです。どうか分かりましたら、教えていただけませんか?お願いします。
2007/ 07/ 16 (月) 04: 15: 08 | URL | saki # -[ 編集 ]
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