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■ ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ |
2006年
10月
28日
(土)
00:42 |
編集

「ワールド・トレード・センター」 ★★☆
WORLD TRADE CENTER (2006年アメリカ)
監督:オリヴァー・ストーン
脚本:アンドレア・バーロフ
キャスト:ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ、マギー・ギレンホール、マリア・ベロ、スティーヴン・ドーフ、ジェイ・ヘルナンデス、マイケル・シャノン、ニック・ダミチ、ダニー・ヌッチ、フランク・ホエーリー
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これが9.11と無関係の映画だったなら文句無くいい出来の作品だろう。しかしこんな話はドキュメンタリーに任せてオリヴァー・ストーンらしいWTCを撮って欲しかった。
9.11同時多発テロで崩落した世界貿易センタービルの瓦礫の中から奇跡的な生還を遂げた警察官の実話ベース作品。
確かにいい話である。決して確証があるわけではない「ユナイテッド93」が半ば美談としてアメリカの対テロ戦争の一種のプロパガンダになり得る危険性を承知で描かれたフィクションであったのに比較すれば、この話は実話という支柱に支えられ、きな臭い政治背景を殆んど無視することによってある意味安心感を持って観られる作品だ。無駄にお涙頂戴の脚色も加えられず地味な印象さえ受けるが、映画としては非常に王道の感動ドラマと言えるだろう。
だが、そんな映画を我々は期待していなかったはずだ。ここまで政治色を排した局地的な9.11であれば、「炎のメモリアル」のようなハリウッドエンタメと同列にカテゴライズされても仕方がない。その位オリヴァー・ストーンらしさや意図がよく見えない映画である。体制批判を微塵も感じさせる事なく単なる感動ドラマとしてこのモチーフを扱って映画を撮ることに果たして何の意義があるのだろうか?感動秘話なら生存者の証言で綴ったドキュメンタリーの方が余程説得力がある。
この映画は、あの日NYに一体何が起こったのか?という真実への肉迫と問題提起を抜きにして、上っ面だけ撫でた9.11にしか見えない。しかし、現実の重さは虚構を遥かに凌駕して存在するのだ。
“皆事件の真実が知りたい、誇りを持てる国にしたい、真実を殺す国では死にたくない、では国の為に一体何ができるのか?”
そう「JFK」のギャリソン検事に言わしめたこのオリヴァー・ストーンにして、9.11陰謀説を生む政治的な背景に楔を打ち込むことすら未だできない時期尚早という事実はあるだろう。或いは我々の中にずっと充満し続けている9.11への疑問をむしろ何も追及しないことで、悪意に蹂躙されたNYの現実をひたすら描き、事件に遭遇した人々の生の声を伝えたかったのか、そんな想像もできないことはない。
いずれにしても自分にとっては非常に不満の残る作品ではあった。本作はエンターテインメント作品としては良作かもしれないが、オリヴァー・ストーンが撮る9.11映画としては決して傑作とは言い難いものであろうと思う。
尚、監督の次回作は、元CIA工作員による暴露本『Jawbreaker』を原作としたものになるというニュースが飛び込んできた。『Jawbreaker』はCIAのビンラディン追跡チームのメンバーだった元CIA工作員が執筆したものだそうである。(ソース:映画生活)
次回作には監督らしい切り口とアプローチが観られるか期待したいものだ。
◆参考資料
・ アメリカ同時多発テロ事件
・ 華氏911:マイケル・ムーアによるブッシュ政権批判のドキュメンタリー
・ 消えたボーイング旅客機:ペンタゴンの謎を追うサイト
・ 自作自演説:Loose Change
・ オサーマ・ビンラーディン
◆このブログ内での9.11関連作品の感想
・ セプテンバー11
・ 華氏911
・ ランド・オブ・プレンティ








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