-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「乱歩地獄」
2006年 10月 15日 (日) 12:43 | 編集
乱歩地獄 デラックス版 乱歩地獄 デラックス版

「乱歩地獄」 ★★★

(2005年日本)
原作:江戸川乱歩
衣裳: 北村道子
エンディングテーマ:ゆらゆら帝国 『ボーンズ』
  ⇒ 公式サイトへ
  ⇒ 乱歩地獄@映画生活

江戸川乱歩原作のオムニバス・ホラーである。個性的な4人の監督を迎え、耽美的でアーティスティックな映像表現が全面に展開する。非常に独創的で斬新な「乱歩」っぽさを追求している印象。ストーリーも原作を忠実に再現した物ではなく、敢えて現代的な脚色を加えて新たな乱歩の世界の魅力を引き出そうと腐心しているようだ。とにかくアルバトロス・フィルム物らしく作り手が自由に色々挑戦している実験的な作品なので、観る方もそれを覚悟で観るべきだろう。万人受けなど絶対にしないだろうし、乱歩の小説ファンにも受け容れ難いかもしれないが、映像表現或いは作品解釈という点ではなかなか興味深い作品である。

まずこの作品は「乱歩地獄」という悪夢の世界を、浅野忠信演ずる男の視点から鑑賞者が覗き見るという形式になっている。
オムニバスではあるが4つのストーリーのテーマは究極的な愛情の形を包括し、バラバラに独立しているようでありながら其々のモチーフは関連性を持つことは明らかだ。
まず導入の「火星の運河」で男(浅野)が辿り着いたのは荒野の中の沼。男の裸体を映し出すであろう寂寥感に満ちた水面は、自己愛という世界、即ち「鏡地獄」の鏡に繋がっていくプロローグ的役割を果たし、この悪夢の世界「乱歩地獄」の扉となっているのだ。
そして、そのナルシシズムの狂気は「鏡地獄」の主人公が入り込んだ“球体という完全に外と遮断された世界”へと発展し、愛した者を傷つける行為は、「芋虫」の支配欲という愛憎世界に繋がって、最終的に相手の肉体の破壊による歪んだ愛情の極致に行き着いて終焉を迎える。
乱歩の悪夢と狂気の世界に足を踏み入れた浅野は明智となって事件を目撃し、また異常性愛の当事者として我々の前に登場する。彼が地獄のような悪夢の世界から覚醒することによって我々もようやく現実世界に引き戻されるのだ。言い換えれば、「浅野と巡る乱歩地獄」といったところかw

正直なところ「芋虫」「鏡地獄」に関しては、ストーリーの改変無しでオリジナルの乱歩の世界を再現して欲しかったので、ちょっと拍子抜けだった。しかし前述した全体の流れを考えるとこれはこれで決して悪くはない。但し全篇に言えることだが、どれももっと突き抜けたエログロや隠微な不気味さがあってもよかったように思う。まぁこういうオムニバス物というのは往々にして物足りなさを感じるものだが、中では「蟲」の諧謔的な異常性愛への客観視、主人公の現実と妄想とのギャップがシュールで面白かった。
浅野の白ブリーフ一枚とか、成宮のねっちょりSMや、全然大森南朋だと解らない大森南朋が観たい人は必見(何だそれ。
以下4作品の紹介と感想。

「火星の運河」 ★★☆
   監督:竹内スグル(プロフィール
   脚本:竹内スグル
   キャスト:浅野忠信、森山開次、shan、加賀谷香
ラルクのPVやユニクロのCMなんかを手掛けているPVディレクター、竹内スグルの初監督作品。
荒涼とした大地を彷徨い歩く全裸浅野のPV(爆。
全く台詞のない展開に暴力的なSEXシーンらしき映像とノイズが挿入され、男が入り込んで行く悪夢の世界(鏡のように静かな沼)の序幕となっている。
単体で観るとかなりシュール過ぎて何だかよく解らない作品だろうが、物凄くインパクトがあって印象的ではあるw。それだけで成功していると言えるかもしれない。

「鏡地獄」 ★★★
   監督:実相寺昭雄
   脚本:薩川昭夫
   キャスト:成宮寛貴、浅野忠信、市川実日子、中村友也、寺島進、寺田農
「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人事件」と乱歩作品を2本手掛けている実相寺監督作品。さすがに一番安定感があるというかw、危なっかしさがない。アングルやカメラワークも幻想的で映像的にも凝っている。SMとナルシシズムが錯綜した隠微なエロチシズムはよく表現されているし、本作の中では一番オーソドックスな乱歩という印象。鏡作りに取憑かれた青年を演じた成宮が結構頑張っているのだが、最も期待していた球体の映像と演出が今一つだったのが非常に残念。

「芋虫」 ★★★
   監督:佐藤寿保(フィルモグラフィー
   脚本:夢野史郎
   キャスト:松田龍平、岡元夕紀子、韓英恵、大森南朋、浅野忠信
監督はピンク映画界の鬼才として有名な人らしい。両手両足を失い胴体だけになった男とその妻というこの設定自体が怖いもの見たさの好奇心を大いに刺激してくれるものだ。
オリジナルストーリーが改変されて怪人二十面相まで登場するが、より一層愛する者を完全に支配し我が物にする為に女が陥った異様な狂気の世界というものが強調されている。の割にはエログロ度や閉塞感はそれほどでもないしむしろ映像はスタイリッシュな雰囲気で終始。
で、とにかくこの作品は、全然本人に見えない「芋虫」演技が強烈な大森南朋に尽きる。「ハンニバル」のゲイリーみたいな「誰?」状態だ。

「蟲」 ★★★☆
   監督:カネコアツシ(プロフィール
   脚本:カネコアツシ
   キャスト:浅野忠信、緒川たまき、田口浩正
さすがの浅野もブリーフ一枚だとカッコ悪いという映画、ではないw。愛する女優を手に入れる為に彼女を殺し肉体を無様に破壊していく男の狂気と妄執を描く。死体に湧いた蟲は男を煩わせる痒みと繋がって、妄想と現実の狭間を行き交う悪夢の世界を表象するものだ。腐乱死体に顔を突っ込んでいた浅野が現実に帰って顔を上げる、「火星の運河」を入口とした幻想の世界はとんでもない形で覚醒を迎えるわけだ。
漫画家だけあって色彩センスが魅力的だ。男の脳内における楽園のイメージ等、浮世離れしたポップな非現実の演出は出色。
これも緒川たまきが酷いことになっているが、子供の頃遊んでいるうちにおもちゃを加工していつしか破壊してしまうあのノリを思い出してしまった。結論この作品が一番面白かったということかなw、カネコ監督には是非また映画を撮って貰いたいものだ。

  ◆参考:江戸川乱歩フォーラム2005


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バンビ (1)SOIL (1)ビー・キューTHE MOUSE BOOK
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■サウンドトラック
乱歩地獄 オリジナル・サウンドトラック 乱歩地獄 オリジナル・サウンドトラック

 ゆらゆら帝国の「バーンズ」収録。
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