-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」
2006年 10月 05日 (木) 00:41 | 編集
エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版 エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版

「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」 ★★★☆

ELI, ELI, LEMA SABACHTHANI?(2005年日本)
監督:青山真治
脚本:青山真治
キャスト:浅野忠信、宮崎あおい、中原昌也、筒井康隆、戸田昌宏、鶴見辰吾、エリカ、川津祐介、 岡田茉莉子
  ⇒ 公式サイトへ
  ⇒ エリ・エリ・レマ・サバクタニ@映画生活へ 

ゆっくりと終わろうとする世界、その断末魔の瞬間に一筋の希望を我々は見い出せるだろうか?
現代社会へのアイロニーを秘めた寓話的作品。

舞台はレミング病の蔓延で滅亡に近づいている世界。
まず映像に表現された終末観が素晴らしい。「生」を感じさせない砂浜の情景から始まる虚無と退廃。うら寂しく枯れた風景を包み込むのは、冬に向かって朽ちていく鄙びた秋の午後の緩やかな日差しである。静かに横移動するカメラが長回しで映し出す無音の風景は、まさに消え行く世界の静寂そのものだ。

オーバーラップするのは黒沢清「回路」の世界である。生と死の狭間で得体の知れない恐怖に捕り憑かれていく絶望感と身近な者が消えていく孤独感。生きながら死んでいるようなあの感覚だ。しかし「回路」であたかも方舟を駆るかのように海へと進んだ役所広司はここにはいなくて、あるのは大地に据えられたスピーカーから飛び出すノイズ、爆音である。
凡そ意味を持たず我々の脳髄と精神に直接響く轟音のノイズの連続。旋律を持たぬ生の音のエネルギーとその不協和音に、様々な感情が渦となって沸き立つ。嫌悪、苛立ち、恍惚、陶酔、拒否、不安、興奮、怒り、歓喜、祈り。抜けるような空と緑の草原に、加工されない音達が響き渡るシーンは、不快ながら奇妙な親和性に新鮮な驚きを感じずにはいられない。
結局浅野と中原が拾い集めた様々な音が奏でる音楽は、虚無の世界へ響き渡る一つの「兆し」であり「道標」としての存在なのだろう。それ自身が病を治す特効薬ではなく、音楽を求めた人間の心に(或いは死に覆われた冬眠状態の社会に)生への風穴を開ける、云わば音叉のような役割を果たす「道標」である。

Eli,Eli,Lema,Sabachthani?神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや
イエスが十字架に張り付けられながら唱えた最期の言葉だそうだ。
人は「生」に拘泥し「死」を怖れ救いを求める。生きること、生きたいと願うこと、そこに本来理由なんていらないはずだ。ここでは単純なる音の重奏が神に成り代って救済への扉を開く。
閉塞した現代社会への警鐘かアイロニーか、それとも青山監督の映画への新しき試みなのか、「ヘルプレス」「EUREKA ユリイカ」同様ある種の寓話性を備えた作品であるように思う。
いずれにしてもシンプルに生に向う共鳴と、確かな希望を感じさせられることは確かだ。

自分の思う青山真治が青山真治らしいスタイルで帰ってきたこの作品は紛れもない「映画」で、死に行く世界の絵に、生を惹起する音が重ねられて、その構図がとても心地良かった。「ヘルプレス」の浅野と「ユリイカ」の宮崎あおいが出会っているというのも、二つの作品の交錯を感じさせられて興味深い。
まぁ「レイクサイドマーダーケース」なんかよりはよっぽど映画として面白かったわけだが、娯楽性というものに気持ちよく全く無配慮な点は評価の分かれるところかw。しかし、いかにも意味深に現代社会を標榜してみせる辺り上手いんだろうけど、本作の中の音に突き動かされるほどの感動を覚えないのが何とも歯痒くてしょうがなかった。ちょっと前の塚本晋也ならどんな風に撮っただろうな、とかテキトーなことを考えつつ観終わった次第。
漫画チックな中原昌也とやたら芝居がかった筒井康隆をキャスティングした試みだけは完全にアウトだと思うが、劇場の大スクリーンで轟音を聴きながら観たらもうちょっとはまれたのかもしれない。

【追記】
因みに“レミング”でググったら寺山修二のこんな作品が1P目に。「世紀末への向けての寺山修司のメッセージ」だそうで、何か物凄くインスパイアの匂いを勝手に感じたが関係あるのかなw。
尚、Wikipediaによると、レミングという種のネズミが集団自殺するという説はディズニー映画が作った神話みたいなものらしいが、群衆に不注意に続く人々を示唆するために「レミング」という用語自体はよく使われるとのこと。へぇ~

◆注目のニュース
  【青山監督&浅野忠信で“続編撮る”
10年前、青山監督の鮮烈なデビュー作となった「Helpless」で高校生・健次を演じた浅野が、再び「健次」としてスクリーンに戻ってくる。
青山監督の書き下ろし小説を原作にした「SAD VACATION」では、浅野忠信と、「EUREKA ユリイカ」の宮崎あおいも「ユリイカ」での役名「田村梢」として共演するとのこと。
オダギリジョーの青山作品初登場など注目の「SAD VACATION」だが、2007年5月のカンヌ国際映画祭も視野に入れて11月に北九州でクランクインの予定だ。


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■記事内の作品DVD
回路 デラックス版ユリイカ(EUREKA)Helpless
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■サウンドトラック「エリ・エリ・レマ・サバクタニ
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