-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「LOFT ロフト」
2006年 09月 17日 (日) 23:30 | 編集
loft 映画「LOFT ロフト」オリジナル サウンドトラック

「LOFT ロフト」 ★★★(清ファンとしてw)

LOFT(2005年日本)
監督:黒沢清
脚本:黒沢清
キャスト:中谷美紀、豊川悦司、西島秀俊、安達祐実、鈴木砂羽、加藤晴彦、大杉漣
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総ては美しいミイラの呪いという見えざる手に掌握されながらゆっくりと破滅に向う。
これは果たして現実なのか幻想なのか、日常性に溶け込む不条理の世界に嵌まり込み煙に巻かれる感覚。
コアな清ファンの貴方、貴方の為の映画ですよ!w

生と死、或いは自己と他等の間の曖昧な境界を「回路」「ドッペルゲンガー」といった作品によって描き出した黒沢監督の新作である。
例によって解釈は様々に可能だ。
額面通りストーリーを受け取れば、ミイラの呪いによって出会った女流作家と考古学者とのホラー絡みのラブストーリーだ。ミイラの魂は洋館に以前住んでいた女の魂に成り代わり、作家の担当編集者や考古学者はミイラの虜となって錯乱を来す。考古学者は現実世界の作家との運命的な出会いによってあらゆる呪縛から逃れようとするが、しかしその解放の一縷の望みであったはずの作家も実は既にミイラの手の中に掌握されていたという悲劇で物語は終幕を迎える。運命的に引き合わされた二人は呪いに絡め獲られる様にその中に巻き込まれていくのだ。
この奇妙な非現実をもう少し現実的に捉えれば、これは女流作家の幻想と彼女が作り出した小説の中の虚構とも考えられる。即ちミイラの呪いに魅了されたスランプの作家が、洋館でインスピレーションを受けて(殺された女が書いた原稿にインスパイアされたかもしれないw)摩訶不思議なラブストーリーを創作したのではないか、というもの。そう考えると、急にストーカーに変身する編集者や、ミイラを家にお持帰りしてしかも他人に預かるわけのわからない考古学者、動き出すミイラに神出鬼没の女の幽霊等々の謎は意外と簡単に説明がつく。酷く芝居がかって違和感がある考古学者と作家のラブシーンや唐突な恋の展開などのエピソードはこれが虚構だとすれば辻褄が合うだろう。但しこれじゃまるでオゾン監督の「スイミング・プール」なわけで、黒沢監督がそんなストーリーを描きたかったとは到底思えない。また、もし虚構がドラマの展開の中に存在するとしても現実と妄想の境界の描写は酷く曖昧だ。

思うにこの作品において辻褄が合うことが重要なのかどうか。何年も美しいままのミイラ、そのミイラの呪い、幽霊、それ等は皆不条理を背負って我々に語りかける存在だ。信じる人間がいる限り彼等はそこにいて、日常の中に存在し続ける。扱うモチーフがホラーであるにも関らずあまり怖さを感じさせないのは、おそらくはその日常性に溶け込む不条理故であろう。奇妙で異様な出来事がごく普通の情景に重ねられて、我々は合理性や論理性だけで看破できないものにぶち当たることになる。そしてその恐怖と対になっているものが今作では「人を愛する」という行為でもあるのだ。理屈で説明のつかない抗えぬ力に支配され、慄き、それでも満たしたいと願う人間の愚かしさも純粋さも包含してこの「LOFT ロフト」は存在するのではないか。

ゴダールを思わせるような不連続なカット割、唐突なスペクタクルを併せ持つ編集、洋館とそれを取り巻く風景のダイナミズム、抑えた色調の画面が印象的だ。だが所謂ホラー作品にあるような逃げ出したくなる怖さは全く感じられないし、Jホラーとも一線を画している。言うなれば「大いなる幻影」を観た時の掴み所の無さにも似て、かなり実験的な作品であるように思う。
また何かとスクリーンに映り込むオバケ、効果音のヒュードロドロ、13金みたいなラスト等々コメディかと見紛うシーンが大真面目に錯綜し、「ドッペルゲンガー」のティストのような恐怖とユーモアの奇妙な共存がここでも繰り返される。
はっきり言えば黒沢清作品を初見でこれを観るというのはあまりお薦めできない。だがこれまでのどの作品とも違う「愛」というモチーフを扱い、監督としての新たな段階を感じさせてくれるという意味ではなかなか興味深いと思う。観客が抱く黒沢清様式という枠組をこの作品は足元から根こそぎ崩して、新たな世界を築こうとしているようにも思えた。「大いなる幻影」が「アカルイミライ」「回路」への指針となっていたことを鑑みても、次回作「叫」に「ロフト」がどういう影を落とすのかとても楽しみではないか。

・・・まぁ、やっぱりこれはラブストーリーと考えるとあまりやり方は上手くないんじゃないかなぁ(爆。
正直ホラーとしては不完全燃焼で物足りないしラブストーリーとしてもあまりに嘘っぽくて、自分の中では未だ消化不良感が残る状態だ。どこまでが黒沢清の確信犯的大芝居なのかそれすらもよく解らない。
キャストで特筆に価するのはやっぱり安達祐実、意外な顔を覗かせているのが印象的だった。
ガチで怖いのがお好みな方には同監督の「CURE」「回路」をお薦めします。因みに管理人は黒沢清監督の作風は結構好きだ、ブログの名前を「アカルイミライ」にしようと思った位w。


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