-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「時をかける少女」
2006年 09月 16日 (土) 11:07 | 編集
時をかける少女 通常版 時をかける少女 通常版

「時をかける少女」 ★★★★

(2006年日本 アニメ)
監督:細田守
原作:筒井康隆 『時をかける少女 〈新装版〉
脚本:奥寺佐渡子
キャラクターデザイン:貞本義行
キャスト(声の出演):仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵、谷村美月、垣内彩未、関戸優希
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あまりにも有名な筒井康隆の傑作を2006年の現代を舞台にアレンジして、初恋のほろ苦い痛みと少女の成長物語に帰結させたスピーディなアニメ作品、面白い!

8月中に83年の大林版をDVDで観てから鑑賞、久々に爽快感の残る良質な作品だった。
過去に時間を遡ってやり直せるタイムリープ能力を身につけたヒロインの恋物語と成長を描いた、という点は大林作品と同じ。だが2006年バージョンはエネルギッシュに肯定的未来へと突っ走る。

バタフライ・エフェクト」同様やり直した過去によって現在が上書きされていくストーリーだが、過去に戻ったらいるはずのもう一人の自分は存在していないという設定である。即ちヒロインはある時点の過去の自分にそっくり戻っているということ。過去に戻る度にその時点で生きるもう一人の自分(ダブル)が必ず存在する「プライマー」等とはここが全く違うところで、非常に単純で解りやすい図式ではある。その設定には突っ込まないとしても、ヒロインが過去に戻って災厄を無きものにすると他の身近な人間にそれが降りかかるという流れはちょっと安直過ぎる嫌いもあるし、千昭が時間を止めるエピソードも未来人間だから為し得たことなのか疑問が残るところだ。
だがタイムリープ等この手のモチーフの作品にありがちな矛盾に拘泥することには意味がない、何故なら本作の観るべきところはそれではないからだ。夏休みからロングランでしかも拡大公開されているのはそれだけの理由がある。

やり直された「過去」、無かったことにされた「現在」、選択されたどの「未来」が正しかったのだろう?
本作の最大の見所は手前勝手な自分の都合でやり直されてしまった過去によって永遠に失われてしまうものがあるということ、そしてそれがかけがえのない一瞬かもしれないということだ。自分も含めたゲーム世代の安直なリセット感覚に待ったをかけつつ、タイムリープという特殊能力を通して「大切なことは何か」というベタだが理に適った青春感動ドラマにきっちり帰結している。もうやり直せない過去の尊さに気づいてヒロインは号泣するが、その見事なまでの号泣っぷりに共感させられてしまうのは、誰しもが「あの瞬間をやり直せたなら」という過去への逡巡に思い当たるからなのだろう。
そして、だからこそたった一度の「今」を見失ってはならないという、真っ当過ぎて若干気恥ずかしくなるような正論にも泣かされてしまうのだ。

またキャラクター面では、力技でドタバタなタイムリープの方法にしろその号泣っぷりや全力疾走にしろ、完全に2006年の新しいヒロイン像が完璧に構築されている。誇張されたそれ等は実写では到底表現しきれない程のパワーを持って登場し、荒っぽいけれども圧倒的な「若さ」の表象として映し出されるのだ。真琴というヒロインは稚拙で愚かなその若さ故に一度は「自分の気持ちと向き合う」ことを拒む、しかし失いかけた大切な言葉を最後の最後に彼女は取り戻すのである。言い換えればこの作品にはタイムリープという痛快な魅力に加え、忘れかけた初恋の痛みや二度とは戻らない日々への思いを想起させてくれる要素と、それに留まらない希望的未来への限りない躍動と肯定があるのだ。

大林版「時をかける少女」がアイドル映画でチープな特撮作品であろうとも、あの情緒豊かな尾道の風景が醸し出す独特のノスタルジーと作品全篇に漂うファンタジックで甘やかな青春の記憶の情景描写は見事だと自分は思った。そういう要素は少なくなっている2006年版だが、「通過儀礼」的なテーマと共に、この作品は過去への逡巡や後悔を乗り越えて明日に目を向けさせてくれるという芯の通ったエネルギーを湛えていることに是非注目されたい。半ば理想を込められて描かれたであろう生命力溢れるヒロイン像は、20年前のヒロインから脱皮して我々の前に颯爽と登場するのである。そういう意味でも原作の芳山和子が叔母として要所でヒロインの心の迷いと葛藤を支えている点は見逃せないところだ。

キャラクターデザインがエヴァンゲリオンの貞本義行であることからエヴァヲタの集客を狙った作品として穿って見ていたが、その予想は完全に外れたようだ。本作は限りある命を持って生きる宿命の人間が必ず通る道を見事に凝縮してみせる。青春ドラマとしての普遍性を携えるその魅力が多くの支持を受けた所以であろう。ジブリにもいたことがあるという細田監督だが、ジブリの「ゲド戦記」に比較しても作品の出来の違いは歴然。今後も大いに注目の監督となることは間違いない。
作画については凝った背景描写に相反してアニメーション部分はかなりデフォルメされている点など非常に独特な個性がある。その手抜きっぽくさえ見える人物の描き方が無性にツボにはまって自分は結構気に入りましたw

・・・真琴の全力疾走シーンの息遣いにあらぬ想像をしてすみません(猿、アハハン

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■記事内で紹介した作品DVD
時をかける少女バタフライ・エフェクト プレミアム・エディションプライマー
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■筒井康隆原作本
時をかける少女 〈新装版〉 時をかける少女 〈新装版〉

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時をかける少女 オリジナル・サウンドトラック 時をかける少女 オリジナル・サウンドトラック
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