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■ ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ |
2006年
09月
05日
(火)
01:12 |
編集

「イケルシニバナ」 ★★★☆
(2005年日本)
監督:TORICO
脚本:TORICO
キャスト:深水元基、戸田昌宏、河田義市、漆崎敬介、FLIP-FLAP、花原照子、不二子
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現代日本の問題をブラックながら実にアーティスティックなホラーティストで描き出した快作。
なかなか面白い。
脱出不可能な状況下、ゲーム開始後12時間以内に6つの問題から正解を導き出さなければ死が待っている。勿論不正解の回答を出した場合は即悶絶死、苦しみたくない者は渡された薬で死を選ぶ事も可能。
もしこんなゲームに問答無用で参加させられたら、貴方はどうするだろうか?
本作は会員制ゲームサイトが行う死を賭けたゲームをモチーフに描かれたサスペンス、監督は「ミガカガミ」で注目された新進気鋭のTORICO監督である。
前半は伏線を張りまくる描写が多いことと、ゲームの進行が緩慢なせいであまりテンポが感じられない。だが中盤主人公が真剣にゲームと向き合う所から物語は大きく動き始め非常に面白くなる。
見所は「CUBE」ばりに目的も明かされぬまま続く奇妙なゲームの謎解きというサスペンスの部分、それからこの作品が持つ現代社会を投影したテーマ性だろう。
まず何と言ってもこのゲームの出題者と彼等が出す問題の独特な味わいが印象的だ。芝居小屋のようなノスタルジーを湛えつつそれは酷く不気味でシュール。6つの問題が主人公の置かれた状況と絡んでいるという設定なのだが、鑑賞者も主人公と一緒に謎を解くスリルも味わえるだろう。そしてこの最終的なゲームの目的と大いに関るところに掲げられたテーマにもなかなか趣向が凝らしてある。
以下ネタバレ、観る予定のある方は反転に注意して下さい
【結局このゲームは心理学的カリキュラムによるニート更生プログラムである。託された手紙がゲームの成功を告げる合格証になっていた時点でこれが完全に作られたゲームだったことが明らかになるが、イケルシニバナ=NEET、とは何とも皮肉だw。この展開と落ちはフィンチャー監督の「ゲーム」とよく似ている。
ゲームの最終的な回答は退廃的な4人の女が「嘘に決まってる」と話すあのヒントに答えればいいわけだ。必然的に答えはこの話のトリックそのものに繋がることになる。】
また切羽詰ったギリギリの状況下でゲーム参加者が選択した道は実に寓意的だ。諦めて自殺する者、他人を搾取しても生き延びようとする者、そして初めて生きることの重さを感じる者。生きる目的を見失って真剣に「生」に向き合えない人間が増えている現代社会の問題をこの作品は見事に浮彫りにして見せるのである。
映像的には小道具に古い日本の伝統的要素が多く取り入れられ古風な「和」の印象である。それが最先端のネット社会や今時の風景と実に好対照となって、浮世離れしたゲームの世界観を構築するのに一役買っているのではないだろうか。特に度々登場する寸劇の赤い幕などのビビッドな色彩が仮想現実的ゲーム世界のフェイクな雰囲気を醸し出し、作品の魅力的なアクセントになっていると思う。
「リアル鬼ごっこ」的な不条理な怖さと謎解きの楽しさ、時間制限付きのスリル溢れるサバイバルゲームの感覚、ユニークな映像、85分の作品だが様々な要素で楽しめる。
但し若干ヒントが多過ぎるのでちょっと先が読めるのが残念。特にラストの種明かしの仕方はあんなに見せないでもうちょっと控え目にした方が個人的にはいいと思う。
だが、この監督の作品は今後も目が離せないことだけは確かだ。








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