-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


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「誘う女」
2006年 08月 31日 (木) 01:34 | 編集
誘う女 誘う女

「誘う女」 ★★★☆

TO DIE FOR (1995年アメリカ)
監督:ガス・ヴァン・サント
原作:ジョイス・メイナード
脚本:バック・ヘンリー
音楽:ダニー・エルフマン
キャスト:ニコール・キッドマン、マット・ディロン、ケイシー・アフレック、イレーナ・ダグラス、アリソン・フォランド、ダン・ヘダヤ、ウェイン・ナイト、ホアキン・フェニックス
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勘違い女の強烈な個性で引っ張る、メディア社会を痛烈に風刺したブラックコメディ。邦題が内容と合ってないなぁ。

実際にアメリカで起きた殺人事件をモチーフにしたというシニカルなサスペンス風味のドラマだが、映画の構造や演出はコミカルでなかなか凝っている。野望の達成の為に夫を殺した女へのメディアの報道や関係者の証言によって事件の全貌を辿り、最終的には自分を売り込む為にヒロインが事件を語っているモノローグをオチとしてつける展開。このテンポのいいユニークな語り口は観る者を惹きつけるだけではなく、実は観客に常にカメラの介在を意識させるという効果をもたらしている。

見所の一つはやはりメディア命のお天気キャスターを演じたニコール・キッドマンの見事なはまりっぷりだろう。狡猾そうに見えて実は単に自分の能力を過信したバカ女、悪女というにはあまりにも愚かで薄っぺらな人間像をキッドマンは生き生きと演じ切っている。キッドマンという女優の持つ美しさには何処かこういう作り物めいたフェイクの胡散臭さが漂う、彼女をこの役に起用しその魅力をきっちりと引き出している点とキッドマンの熱演は評価されて然るべきだろう。
そしてもう一つがおそらくこの作品の核となる部分だが、マスメディアのあり方とそれに依存する大衆社会へのシニカルな観点である。TVに出て一人前、注目されて目立つことが人生の目的というヒロインの馬鹿げた価値観に呆れながらも、彼女に集まるマスコミ報道の過熱ぶりは、事件の度に報道合戦を繰り広げる日本のマスコミの状況にも重なってみえる。ヒロインの自己顕示欲に惹かれて途方もない夢を見た若者達にしてもヒロインの異常なメディア至上主義にしても、それは現代社会の産み落とした病巣を象徴するようなものではないか。あまりにも短絡的な犯罪行為と、カメラに追われるヒロインの何処かしら満足気な笑顔には、彼女が罪を犯したからTVに出たのか、いや、むしろTVに出る為に罪を犯したのではないかという奇妙な感覚にさえ捕われてしまうのである。皮肉なことに手段はどうあれ彼女はその夢の一歩をある意味叶えたわけだ。
難を言えば、ヒロインの価値観を育てたバックボーンや夫殺しに到る彼女の心の動きが作品のプロットの中で掘り下げられていないのが少々物足りなかった。この点が映画の中でマスメディアに明らかにされるという展開がどこかに欲しかったと思う。

ニコール・キッドマンはこの作品でゴールデン・グローブ女優賞を受賞、彼女のハリウッド女優としての地位を確実なものにした。他のキャストではかなり若いホアキン・フェニックスがネジ緩めのアホな兄ちゃんを好演しているのも注目だ。
監督は最近は例の生と死の三部作のイメージが強くて娯楽作からは縁遠くなっている印象のガス・ヴァン・サント。個人的にはこの頃の雰囲気の作風をまた撮って欲しいんだけどなぁ。
単なるサスペンスとしては物足らないが視点を変えてみるともう少し評価されてもいい作品ではないかと思う。因みに本作のアメリカ国内の評価はかなり高い模様w ⇒Metacritic.comへ 

【追記】
映画を観ながらふとヴェンダースのインタビュー記事を思い出した。彼が98年からアメリカに滞在した理由の一つとして「アメリカで起きた社会現象が数ヶ月、もしくは数年後には世界各地に広がってそれぞれの国の社会現象になる。アメリカで撮影することは、世界を基準にすれば近未来を撮影しているといって過言ではない」と述べている。総てではないだろうが今もそういう状況は多方面で続いているのではないか。

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