−大学生の自己中ネタバレ映画評−
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新旧オールジャンルの濃い目の映画感想日記です、解釈分析ネタバレ有り。

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「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」
2006年 08月 21日 (月) 00:32 | 編集
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マイライフ・アズ・ア・ドッグ マイライフ・アズ・ア・ドッグ

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」 ★★★★

MITT LIV SOM HUND、MY LIFE AS A DOG (1985年スウェーデン)
監督:ラッセ・ハルストレム
原作:レイダル・イェンソン
脚本:ラッセ・ハルストレム、レイダル・イェンソン、ブラッセ・ブレンストレム、ペール・ベルイルント
キャスト:アントン・グランセリウス、メリンダ・キンナマン、マンフレド・セルネル、アンキ・リデン、ラルフ・カールソン
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人が人を育てるというシンプルな構図がこんなにも温かく心を打つ。見上げた星空の下で少年はもう一人ぼっちではない。

最愛の母親の病と死、家族と愛犬との別れという不幸を乗り越えて、朴訥としたスウェーデンの村の人々との出会いによって少年インゲマルが成長していく物語である。
人生には様々なことが起こるのだ、悲喜劇交えつつちっぽけな人間の人生を宝物のように描くこの監督の視線には共感せずにはいられない。そっと背中を押して生きる為の力を与えてくれるようなそんな映画だ。

まず非常に感心させられるのが少年を取り巻く人々の人物描写だ。特に田舎の村に住む人々の豊かな個性はこの作品の大きな魅力になっていると思う。下着のカタログを朗読させる怪しい爺ちゃんに、オッパイフェチ気味の気のいい叔父、芸術の為にヌードになる村一番の美女、年中屋根修理の男、そして少年のように凛々しい少女サガ。不器用ながら絶望や孤独に押し潰されないように必死に生きようとする少年を、絶大なる間口の広さで温かくも実に淡々と包み込む。このコミュニティの雰囲気は、はにかんだ表情の少年が自分らしさを取り戻していく過程と共に、映画全体の居心地の良さに繋がっていると思う。

また雑然と重ねられたかのように見えるエピソードの中で重要なアクセントとなっているのが「満天の星空」と「母親との思い出」のシーンである。ついつい母親の気持ちを逆撫でしてしまう不器用な少年は、事ある毎に人工衛星で打ち上げられて宇宙で餓死したライカ犬のことを考える。彼が見上げた星空は、「ライカ犬の悲惨な運命に比べれば自分はまだまし」というモノローグと共に繰り返し作品の中に登場する。そしてそれと同時にライカ犬が見た宇宙の光景とオーバーラップして少年の心に蘇るのは、母親の目映いばかりの美しい微笑だ。最早叶わない理想の記憶と実に慎ましい幸福探しが彼の心を慰め、まるで人生哲学のように観る者の胸にも響くのである。
そして終盤で少年は東屋に閉じこもりたった一人で満天の星空を眺める。そのシーンが実はオープニングで少年が語るモノローグからリンクしているのだ。自然なエピソード展開に見えて実は見事に計算された構成の脚本になっていることが解るだろう。

ラッセ・ハルストレム監督と言えば、「シッピング・ニュース」や「サイダーハウス・ルール」「ギルバート・グレイプ」等、人生や人の成長を様々な出会いと別れの中から描き出すことが上手い監督だ。中でも本作は、子供を育むコミュニティのユーモア溢れる温かさ、大人へと成長しようとする少年の心の揺れを丁寧に映し出し、実にピュアな輝きを放つ傑作ではないかと思う。人生を肯定的に描き出す懐の深さには感動を覚えずにはいられない。

尚、インゲマル・ヨハンソンは1959年にフロイド・パターソンに3ラウンドTKO勝ちし、世界ヘビー級タイトルを獲得したスウェーデン出身の実在のボクサーだそうである。
この同姓同名のボクサーの奇跡的な栄光のエピソードが、映画の主人公インゲマルにとってもこの作品を観る多くの無名の人々にとっても、人生の応援歌として位置付けられている事は言うまでもない。
少年の夢の中で微笑んでいた母親の姿は、いつかしっかりと彼を受け止める現実に取って代わるのだろう。傍らには鮮やかに少女の姿に変身したサガが微笑むのかもしれない。
多くの人に観て貰いたい素晴らしい作品である。
1987年ゴールデン・グローブ外国映画賞、インディペンデント・スピリット賞外国映画賞受賞作品。


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Comment
この記事へのコメント
「月に行ったあの犬に比べたら、僕の人生はまだマシさ。」

仰々しくなく、普通に前向きに生きていく姿ってのは、いいもんだな、と。
でも、読んで、細部忘れちゃってる事を再確認。(爆

話は違うけど、学生最後の夏を満喫してるようで。
まー、社会人になれば地獄が待って(以下略
2006/ 08/ 21 (月) 10: 39: 07 | URL | 松 # -[ 編集 ]
>松さん
<仰々しくなく、普通に前向きに生きていく姿ってのは、いいもんだな
ほんとですね〜、何てことない映画なんですがやたら感動しました。
細部忘れるとCODE46みたいに突っ込まれますから注意!(爆
<学生最後の夏を満喫してるようで
実質もう夏休み終わりっす、もうマジに卒業制作やらないとヤバイんですよ
ブログも続けられるのか微妙ですが、松さんのように書きたいものを書くという方向にしていこうかなと思ってるところです。
2006/ 08/ 21 (月) 20: 55: 36 | URL | lin # -[ 編集 ]
linさん、こんばんわ。
エレファントへのTB&コメントありがとうございました!

ああ!良かった!!この作品、linさんもお気に召したみたいで!!
個人的にハルストレムの作品は全て好きなんですが、この作品はその中でも特別なものになりました。ホントに素晴らしくて・・・言葉にならないほどです。この作品は幸運なことに先頃行われたBOW30映画祭で鑑賞できました。だからでしょうか・・・その素晴らしさに余計拍車がかかったようで。涙が止まりませんでしたよ。
2006/ 08/ 23 (水) 21: 35: 21 | URL | 睦月 # -[ 編集 ]
>睦月さん
BOW30行かれたんですねw
地味ですがこの作品はいいですよね、ハルストレム監督作品では初期の方が自分は好みです。
子供が様々な人との関りを経て育まれていく姿がごく自然に描かれている所も素晴らしいと思います。TB・コメントありがとうございました。
2006/ 08/ 24 (木) 01: 34: 18 | URL | lin # -[ 編集 ]
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少年の成長を描く作品に共通なのは、極々淡々とといった内容の物が多い。これも然り。もし、この作品が良いとすれば、それは何も起こらないことなのかもしれない。いわゆる起承転結になっていないというか山場的なものはなく、結末的なものもないという感じ。
2006/08/21(月) 10:55:01 | しーの映画たわごと
【映画的カリスマ指数】★★★★★ この優しさに・・・抱かれてください  
2006/08/23(水) 21:31:47 | カリスマ映画論
←応援御願いします。子供だからつらくてかなしくてつたえられなくて。思えばオトナよりも純粋がゆえに抱えているものが大きかったような、そんな気がする。秋だからセンチメンタルにもなるんですよっ!というわけでそんな秋におすすめな
2006/09/23(土) 00:40:07 | にしえみの毎日イラスト日記
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