-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「キッチン・ストーリー」
2006年 08月 14日 (月) 22:51 | 編集
キッチン・ストーリー キッチン・ストーリー

「キッチン・ストーリー」 ★★★☆

SALMER FRA KJOKKENET、KITCHEN STORIES
(2003年ノルウェー/スウェーデン )
監督:ベント・ハーメル
脚本:ベント・ハーメル、ヨルゲン・ベリマルク
キャスト:ヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールシュトローム、ビョルン・フロベリー、リーネ・ブリュノルフソン、スブレエ・アンケル・オウズダル、レーフ・アンドレ
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国籍や立場を超えて通じ合う心。台所調査というユニークなモチーフから描かれた男の友情物語。

「キッチン・ストーリー」という題名だが、出てくるのは独身の冴えない男ばかり。しかも舞台は1950年代の北欧、スウェーデンで実際に行われたという「ノルウェーとフィンランドにおける独身男性の台所での行動パターン調査」をモチーフに、調査される側と調査員との間に芽生えた友情をオフビートなテイストでコミカルに描いた佳作だ。

赤の他人が調査にやってきて地味で質素な独身男の台所に常駐、会話も交わさず互いの存在を見て見ぬ振りをして暮らす、まずこんな奇妙で嘘のようなシチュエーションが絶妙に面白い。特に「いかなるコミュニケーションも取ってはいけない」というナンセンスなルールに乗っ取って気まずい空気を共有する二人の男の表情、そして調査される側が調査員を監視する覗き穴を作ってしまうエピソード等、人間心理の描写の上手さには脱帽させられてしまう。

会話を交わし酒を酌み交わす、それは親密な間柄になって互いを理解するということだ、眺めているだけでは互いの溝は埋まらない。最初はビジネスライクに互いの存在を無視して反発し合っていたそんな関係が、タバコと一杯のコーヒーから少しずつ融解していく過程が実に心地良い。そして風邪をひいた調査員フォルケをイザックが親身に世話したり、ろうそくだらけのケーキで誕生日を正装して祝うエピソード等、まるで家族のような距離になっていく二人の関係を感じながら、観る者は彼等の「孤独」に気づくのだ。
ノルウェーの片田舎で一人暮らしのイザックにしても、そんな独身男の台所を調査する仕事を請け負ってわざわざスウェーデンからやってきたフォルケも家族がいない。イザックとフォルケの関係に嫉妬したグラントにしてもそんな事情はあまり変わらない、彼等は孤独なのである。
思うに台所とは家族の象徴そのものではないか。其処はいつの日も日々の暖かい糧を料理し、愛する人間と共にする「食」を司る場所だった。
「キッチン・ストーリー」という作品の豊かさは、この偶然の台所の出会いを通して、変わらぬ人の触れ合いの暖かさと世代や国籍を超越した男の友情をしみじみと感じられる作品になっていることである。

また映画に見受けられる興味深い点の一つに、国家間の軋轢と確執というテーマがある。第二次世界大戦ではスウェーデンは武装中立を守り、ノルウェーはナチスドイツに侵攻され非交戦の姿勢に疑問を抱くようになり、集団保障国家となったらしい(参考資料有り)。ついでにこんな近い国だけど、スウェーデンは左側通行でノルウェーは右側通行だったりもする。
日本に住む我々は北欧というくくりによってこの2国を同列に捉えがちだが、この作品では大戦直後の互いの国に対するわだかまりの一端を覗うこともできる。アジアの中でも其々の国の人間が抱く思いがあって些細なことですったもんだするのと同様、実際色々あるのだろう。このような視点も本作の非常に面白い部分だと思う。

人と人というものは不思議なものだ、話さなければいつまでも他人で互いの距離は決して狭まることがない。だが何ということのない日常の会話と笑顔が赤の他人を大切な友人に変えることもある。こういう味わいのある佳作に出会えると映画を観ていて良かったと実感せずにいられない。ケーキのシーンで泣きそうになってしまいました、うへー。
北欧の監督といえばカウリスマキ監督を思い出すが、このベント・ハーメル監督の作品は初見だが非常に面白かった。ポップでキッチュなトレーラーが欲しくなったのは俺だけではないだろう、踏切りのシーンだけはちょっとシュール過ぎだがw

◆スウェーデンとノルウェーについての参考資料(Wikipediaより)
     ・スウェーデン
     ・ノルウェー


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