-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「TAKESHIS’」
2006年 06月 26日 (月) 23:24 | 編集
TAKESHIS' TAKESHIS'

「TAKESHIS’」 ★★☆

(2005年日本)
監督:北野武
脚本:北野武
キャスト: ビートたけし、京野ことみ、岸本加世子、大杉漣、寺島進、渡辺哲、美輪明宏、六平直政、上田耕一、武重勉、ビートきよし、高木淳也、木村彰吾、津田寛治、芦川誠、THE STRiPES、石橋保、松村邦洋、國本鍾建、内山信二
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ TAKESHIS’@映画生活

 悪夢なのか、単なる悪い冗談なのか。だが自身のパロディで埋め尽くしたこの映画は、監督自身に張り付けられた作家性を自己破壊する試みなのかもしれない。

 芸能界で成功したタレント「たけし」と、売れない役者「北野」。本作は両者の世界が奇妙なカオスの中で融合した夢の世界の物語だ。
それは現実にも監督としての名声を得て今日の地位を得た「北野武」と、芸人ビートたけし、或いは映画の中で俳優として登場するたけし、様々なペルソナを持つ監督自身を表象するかのようでもある。それを映画の中の現実と虚構に封じ込めてまるで子供の悪戯みたいな「夢」として描いてみせるのだ。

 作品で最も印象的なことは、「座等市」や「ソナチネ」「HANA-BI」といった彼の代表作からのモチーフを、笑えないギャグで愚弄し嘲笑する監督の冷めた視線だろう。しかもその明らかに確信犯的に繰り出される一連の行為を北野監督は実に楽しんでいるようにも感じる。いつもならカッコつけたままクールに終わるシーンを敢えて俗っぽいリアリズムで覆ってみせたり、銃撃シーンが星座になるなんていうこの上なくナンセンスで安いロマンチシズムにすり替えて観客を煙に巻く。
 さて、これをどう受け取るべきだろう?

 我々は二つの側面からこの映画を考えることができると思う。
一つは、虚構即ち非現実の世界を映し出す「映画」という鏡を捉えた側面である。「たけし」と「北野」という分裂したペルソナに、或いは既視感のあるシーンの半ば記号化されたリピートに、虚構と現実、観客と映画の間にある距離感を知らぬ間に意識させられているように思う。
 そしてもう一つは監督自身の作家性への自己否定、自己破壊という側面である。分裂した自己との対峙という局面を描き、築いてきた北野映画を木っ端微塵にするという作業が何を意味するのか。作家としての方向性を模索する表裏としてそれ等を当てはめた場合、もしかすると北野監督は次のステージに進もうと逡巡しているのかもしれないと感じるのだ。
 乾いた音を立てて鳴り止まない銃声、撃ち続けられた対象は過去の栄光なのか。さながらこの映画は「巨匠KITANO」という虚像へのアンチテーゼにも思えてくる。

 この映画単体としては迷いと歯切れの悪さを感じさせられる為★マイナス。確かに興行的にも難しい作品だろうと思うし、作品自体が面白いかと問われれば否定せざるを得ない。
 だが多くの北野作品を観てきた観客に様々な思いを抱かせる作品であることもまた然りで、監督北野武の仕事を考える上では注目すべき一作であることは間違いないだろう。
 本作が北野作品の中で総括、或いは訣別としての意味を持つのであれば尚更、次回作ではどう観客を裏切ってくれるのかとても楽しみではないか。

【追記】
 フェリーニの「81/2」を観直して、改めてこれはかなりフェリーニを意識している作品だと思う。
 創作に苦悩してその追い詰められた作家の中から断片的に溢れ出たイメージ。そういえばトリュフォーの「アメリカの夜」やゴダールの「軽蔑」にもそんな産みの苦しみを伺わせるものがあった。
 だけど「TAKESHIS'」はたけし一流の照れや遠慮のせいで一つの作品として昇華されていない印象があることに変わりはない。上記のような御大の作品群に無茶を承知で比較してみるとw、どうにも歯切れの悪さがもどかしい、そして困った事にやっぱりあまり面白くない。だって「81/2」は強烈に面白い映画なのだ!もしフェリーニ風の作品を撮る目的で試みたのであれば残念ながらこれは完全な失敗作だろう。


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