-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「初恋」
2006年 06月 15日 (木) 01:37 | 編集
初恋~三億円事件の犯人は女子高生だった~ 初恋~三億円事件の犯人は女子高生だった~

「初恋」 ★★★

(2006年日本)
監督:塙幸成
原作:中原みすず「初恋
脚本:塙幸成、市川はるみ、鴨川哲郎
主題歌:元ちとせ「青のレクイエム
キャスト:宮崎あおい、小出恵介、宮崎将、小嶺麗奈、柄本佑、青木崇高、松浦祐也、藤村俊二
   ⇒ 公式サイト初恋公式ブログ
   ⇒ 初恋@映画生活

大人になんかなりたくない。これは誰にも訪れる通過儀礼の物語だ。

つまりジャンルとしては青春物であり、初恋、肉親との別れ、自立という云わば少女の成長物語なのである。だがそこに三億円事件という稀代の迷宮入り事件と、60年代という混沌の時代背景を絡めて描かれるという点がこの作品のユニークさと言えよう。三億円事件が実行されるまでの展開はテンポもまずまずで悪くない。

生きる目的を探し出口を求めて足掻く、大人になることへの漠然とした焦燥と憤り、そんな思いは誰にも少しはあるだろう。いつの間にか社会と折り合いをつけて生きなければならない諦念に抵抗しつつ、自分もまたそんな状態真っ只中だったりするw。映画では、学生運動や街角の風景、「B」に集まったある種のニヒリズムに支配されて鬱屈する若者達の表情は、アンダーグラウンドな時代の象徴として登場する。
中原みすずの原作は未読だが、そんな時代の翳りや閉塞感を解放するものとして、また大人に成長するステップとして「三億円事件」が位置付けられている点は非常に大胆で面白い試みではあると思う。

本編ではヒロインの表情をアップで捉える時間が非常に長く、あくまで彼女の純粋さと淡い初恋、そして成長という部分が軸である事は明らかだ。ただ思うのは、もう少しこの時代が抱えていた苦悩や迷いを具体性を持たせて描くことが本作のテーマには必要だったのではないかということである。ヒロインみすずがジャズ喫茶で出会った若者達や彼等が反逆する対象にしても、そして当時の社会背景風俗の描写にしても、全体に薄く浅くどこか物足りなさが残る。
ドラッグや学生運動に手を出し既存の権力や社会への嫌悪と反抗を示す、しかし親の庇護なくしては未だ生きていけない、そんな若者の抱える鬱屈こそが、本作で描く三億円事件を引き起こす澱んだエネルギーの一つだったのではないのだろうか。その点ではせめて学生運動に挫折した岸という人物像に厚みが欲しかったと思う。
それが実現されていたならば、ヒロインが兄の死に直面するエピソードで閉じて、そのまま本編のエンディングで流れた仲間達の其々の行末に繋げて終幕でも良かったはずだ。自分を捨てた母親に声をかけることなく踵を返すヒロイン、それが何よりも彼女の自立と成長を表すのだから。三億円事件実行後のダラダラした展開はこの映画の魅力を半減させてしまっている。

宮崎兄妹の共演を観るのは「EUREKA」以来だが、宮崎あおいは相変わらず上手い。但しそれがこの役に合っているか否かとはまた別問題であって、実行犯として宮崎あおいの声色や佇まいで成り立つのかどうかというリアリティの欠落部分はやはり疑問も残る。小出恵介が東大生らしい知性をあまり感じさせないのも主要キャストとしてちょっと痛い(慶応出らしいんだけどねw。
時代考証は「三丁目の夕日」を想起させられたがあちらはCG、60年代の風物を再現する為のスタッフの努力は相当のものがあったのではないか。この時代を知らない自分にとって、「光の雨」のような作品や本作は時代の匂いを色濃く感じさせてくれる映画でもある。だからこそ演出にはもう少し「重さ」が欲しかったのだが、総てにおいて少女漫画風のチープさが漂っていることと、終盤のだらけた展開が非常に勿体ないと感じる作品だった。

この映画を観たという話を友人にしたら、どんだけ宮崎あおい好きなのよ?と言われる。ま、返す言葉もありません(・∀・)、それにしてもジャズ喫茶「B」に集まっていた連中の死にっぷりは見事だったなぁ・・・。

【参考資料】(Wikipediaより)
    ◆ 三億円事件 
    ◆ 学生運動


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■中原みすずの原作本
初恋 初恋

■サウンドトラック「初恋

■本文で紹介した作品DVD
    「光の雨 特別版
    「ALWAYS 三丁目の夕日 通常版
    「ユリイカ(EUREKA)
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