-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「そして、ひと粒のひかり」
2006年 06月 05日 (月) 23:59 | 編集
そして、ひと粒のひかり そして、ひと粒のひかり

「そして、ひと粒のひかり」 ★★★☆

MARIA FULL OF GRACE (2004年アメリカ/コロンビア)
監督:ジョシュア・マーストン
脚本:ジョシュア・マーストン
キャスト:カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェニー・パオラ・ベガ、ギリエド・ロペス、ホン・アレックス・トロ、パトリシア・ラエ
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ そして、ひと粒のひかり@映画生活

南米コロンビアのドラッグ問題と貧困の現実を実にリアルに描いたサスペンスタッチのドラマ。「ひと粒のひかり」が未来への希望であることを祈りたくなる。

題材は実にショッキングなものだ。この作品に登場するヒロインは麻薬の運び屋である、しかも体内に収めて運ぶ「ミュール」という。
まだ17歳の少女にのしかかる生活苦と妊娠、運び屋を安易に引き受けてしまうだけのコロンビアの閉塞した社会というものがいかばかりのものか、そんな一端を窺える作品だと思う。
一個丸飲みするだけでもきつそうな大きさのドラッグを62粒胃に収め、途中で排泄されたらまた飲み込む、もし中で破裂したら命を落とす、そんな想像以上に苛酷な運び屋稼業の実態、或いはそれを選択せざるを得ない人間が確実にこの国には存在するというそのシビアな事実にまず驚かされる。
家族・恋人・仕事、取り巻く世界に傷つけられ、押し潰されそうになったヒロインのギリギリの行為を説得力溢れる描写で描き出し、犯罪であると解っていてもそんなことをしないと生きられない、また子供を育てる環境もない社会背景を観る者に納得させ共感を呼ぶ、この脚本と展開はなかなか上手いと思う。

そして忘れてはならないこの作品のもう一つのテーマは、一人の女性が希望を見い出せる未来を選択していくということにある。
子供を宿していたが為にかろうじて入国審査のX線検査を免れ、そしてその子供の未来の為にNYに残るヒロイン。原題は"MARIA FULL OF GRACE"、アヴェ・マリアの祈祷文の一節(Wikipediaより)で、「恵みあふれる聖マリア」と口語で訳されている。
妊娠したヒロインをNYでの新たな人生に向わせたものこそ、彼女の胎内に宿った「ひと粒のひかり」に他ならない。汚れも愚かさも併せ持ちながら、未来への希望と勇気を抱いて生きる凛とした一人の女性像が、ここでまさに21世紀の聖母マリアとなって輝くのである。邦題も作品内容と噛み合っていて素晴らしい。

ヒロインを演じたカタリーナ・サンディノ・モレノはコロンビア人としては初のアカデミー主演女優賞候補にノミネートされたが、女性の中の強さと弱さを生き生きと瑞々しく演じ、その表情は清々しい印象が残る。
監督はジョシュア・マーストン、この作品が長編デビュー作であるが、今後も期待したい監督の一人になりそうだ。公式サイトによれば、物語に信憑性を与えるため、麻薬の運び屋について精査し、服役中の元運び屋に留まらず空港の税関職員、運び屋の体内から麻薬の粒を取り除く手術に呼び出された外科医などからもリサーチしたそうである。この作品の生々しい描写はそのようなリアルな声を繊細に反映したものなのだ。事実に裏打ちされたドキュメンタリー的描写は作品の大きな魅力の一つではないだろうか。
また、NYがこうした移民達にとっての希望の象徴でもあるということの対照として、ドラッグを巡る金に依存する国の暗澹たる現実があるということを忘れてはならない。それにしても南米物はハードな作品が多いなぁ、平和な日本でボケてる場合じゃないぞと感じさせてくれる一遍でもある。「バス174」「セントラル・ステーション」等の秀作と並んで想像以上に見応えのあるドラマだ。

2004年ベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)及びアルフレード・バウアー賞受賞、インディペンデント・スピリット賞主演女優賞・新人脚本賞受賞作品。


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