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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「ニライカナイからの手紙」
2006年 05月 11日 (木) 00:23 | 編集
ニライカナイからの手紙 ニライカナイからの手紙

「ニライカナイからの手紙」 ★★★

(2005年日本)
監督:熊澤尚人
脚本:熊澤尚人
キャスト:蒼井優、平良進、南果歩、金井勇太、かわい瞳、比嘉愛未、斎藤歩、前田吟
   ⇒ ニライカナイからの手紙@映画生活

ネタバレ有り
郵便局が繋いでいた物は人の心だった、という、過去からの贈り物的な物凄くいい話。
この映画を観てシンプルに号泣できる人はある意味幸せだ。

これでもかとしつこい位に映し出されるポストや郵便局の映像、郵政民営化に進む現状を憂う今は無き郵政省御推薦映画に見えてしょうがない部分や、プロローグで登場するこの題名がストーリーの帰結を完全にネタバレしていることは、演出構成面でまず疑問に感じるところではある。
そして生前に書かれた亡き母の手紙が14年間秘密にされてきた事実についても観る側の受け止め方は別れるところだろう。が、映画自体は悪くない感動作である。

この少女を包んでいた物は確かに人の愛情や思いやり、慈しみであり、竹富の「うつぐみ」の優しさだった、ということがこの作品の美しさだ。
どこまでも予定調和の暖かさと切なさではあるが、1人の少女の心の傷を癒す為に寄り添う島の住人の思いや、郵便局の粋な計らい、総てが明かされるクライマックスはおそらく多くの涙を誘うのではないだろうか。
演出やカメラワークは非常に平坦、しかしストレートな感動を呼ぶ落ち着いた作品だ。蒼井優の素朴な魅力と詩情溢れる竹富島の美しい風景、逆光を効かせた映像に静かで抑揚の効いた音楽が映画の魅力であろうと思う。
エンディングではもう少し彼女の未来の選択を力強く見せてくれても良かったと思うが、ベタだがいい話であることは間違いない。郵政民営化反対推進の政治的なきな臭さには目を瞑って、映画のストーリーに素直に感動できる人には泣けてしょうがないドラマだろう。

個人的に引っ掛かったのは、この時期にわざわざこういう映画を作る政治的な意図は勿論のこと、やはり14年も前に母親は死んでいたという事実を隠し続けたことが本当に彼女にとっての最良の選択だったのかということだ。特に後者に関しては、もしも自分が彼女の立場であったならおそらく憤ることだろう。母の死際を看取るどころか、その生存を信じて心の拠所にしていた14年間は、彼女にとっての真の自立が遮られてしまった月日ではないのか。
勿論真実を知ることだけが正しいというわけではないだろう、幼い少女にその悲しみを突きつけることが忍びないという周囲の思いも、娘の中でだけは生きていたいという母の心も理解はできる。しかし、親を葬るということは子供にとっては大切な責任であり、それが次に進む為に必要な選択でもあるのではないか。ニライカナイからの手紙が少女の精神的支柱であったということは裏を返せば呪縛にもなっていた可能性はある、少なからずそういう思いにかられた作品でもあったことを追記しておきたい。

映画というものは情報操作も可能なメディアなのだ、時には観る側の資質も問われるということを忘れたくないものだ。


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