-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「やさしくキスをして」
2006年 05月 06日 (土) 20:21 | 編集
やさしくキスをして やさしくキスをして

「やさしくキスをして」 ★★★☆

AE FOND KISS...、UN BACIO APPASSIONATO、UN BESO CARINOSO、JUST A KISS
(2004年イギリス/ベルギー/ドイツ/イタリア/スペイン)
監督:ケン・ローチ
脚本:バリー・アクロイド
キャスト:アッタ・ヤクブ、エヴァ・バーシッスル、アーマッド・リアス、シャムシャド・アクタール、シャバナ・バクーシ
挿入歌:「奇妙な果実」/ビリー・ホリデイ
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ やさしくキスをして@映画生活

そうだ、これはケン・ローチの作品だった。彼が甘ったるい恋愛物で終始するわけがないのだ。

SWEET SIXTEEN」のケン・ローチ監督初の本格的ラブストーリーであるそうだが、ラブシーンがあろうと甘い題名があろうと、やはりそこには厳然たる重いテーマを包含していた。保守的な社会の中に潜む偏見や互いの無理解という問題を抉り出したこれは甚く辛口のラブストーリーである。
今回彼が主人公達に選択させた現実は今までの作品群のような半ば打ちのめされるものとは少し違う。「ある鉄道員の物語」で労働者の尊厳を問いかけ、「SWEET SIXTEEN」で少年を取り巻くスコットランド社会の閉塞した現実を描き、「ブレッド&ローズ」ではアメリカにおける移民労働者の権利を訴えたケン・ローチ。そこには常に社会の現実と闘う主人公達の姿があり、搾取される社会的弱者に対するケンローチ的客観視と寛容があった。
しかしながら今作「やさしくキスをして」の家族や文化、宗教に関する問題を包括した国際結婚というテーマにおいては、その最たる苦悩を引き受ける側は当事者だけではないということが孕む問題の大きさを物語っているように感じた次第だ。
旧態然とした社会的呪縛に屈しずその愛情を貫くことによって主人公二人は人間としての権利を再認をすることにもなる。だが、それは同時にカシムの家族が守ってきた誇りの喪失を意味しイスラム社会での孤立をも示唆する。一方でロシーンはカトリック教区の学校の職を失うという差別の現実に直面するのだ。
即ちこの愛情は、当人だけではなくて、彼等が背負うバックボーンである閉じられた社会そのものにも多大なる影響を及ぼすことになるのである。
思うにこのストーリーの根幹にあるものは、変わっていかなくてはならないグローバリゼーションというテーマなのではないか。異質なる物を受容し認め合うということは、取りも直さず個人だけではない社会全体の意識の変革を意味するのだから。

管理人は恋愛物は避けたいジャンルだったりするのだが、この作品には非情に感銘を受けた。
異なる肌の色と民族、宗教、そして愛する家族、慣習、背負うものが全く違う現実を前にして、純粋に愛し合うことの難しさを映画はストレートに語って見せる。自分の持つアイデンティティー自体が障壁となって立ちはだかる、そんな苦悩に直面した事がない人間には想像だにし難い。それは言い換えれば、異文化を受容することにいかに我々が無知であるかということを如実に示すものでもあるように思う。

社会のひずみに苦悩する人間を描き続けるケン・ローチ、様々な社会問題を提起する一貫した姿勢は、映画というものが持ち得る可能性のテーゼでもある。描かれるテーマは重く辛辣でもあるが、その真摯なメッセージには率直に共感させられるところが多いのだ。
原題「Ae Fond Kiss…」(やさしいキス)は劇中挿入歌の曲名で、スコットランドの詩人ロバート・バーンズによる詩だそうである。

「あなたの愛が多くの人の人生を破壊する」
「何年ここにいようと私たちはブラック」
「君にはわからない」
重い言葉が逆説的に心に響いて止まない。


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