-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
 Title Index : all           A-Z・数字 監督別 

 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


スポンサーサイト
--年 --月 --日 (--) --:-- | 編集
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「リンダ リンダ リンダ」
2006年 05月 01日 (月) 01:01 | 編集
リンダリンダリンダ リンダリンダリンダ

「リンダ リンダ リンダ」 ★★★☆

(2005年日本)
監督:山下敦弘
脚本:向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
主題歌:ザ・ブルーハーツ  『終わらない歌』
音楽:ジェームズ・イハ(元スマッシング・パンプキンズ)
キャスト:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織、三村恭代、湯川潮音、山崎優子、甲本雅裕、松山ケンイチ、小林且弥、小出恵介、三浦哲郁、三浦誠己、りりィ、藤井かほり、浜上竜也、山本浩司、山本剛史、近藤公園、ピエール瀧
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ リンダ リンダ リンダ@映画生活

絶対忘れられない時間を愛しく抱き締める、そんな映画だ。

すれ違い、解り合えない心、近づいたようでやはり遠い他人との距離、自分と他人は繋がっているのだろうか?

山下監督の作品にはいつもそんな微妙な関係や距離感というものが表現されているように思う。「リアリズムの宿」や「ばかのハコ船」で描かれたぎこちなくて気まずい、理解し難い他人という感覚は、本作でもぎくしゃくしたままの友情や、思いが上手く伝わらない恋愛の行方に具現化されている。だが今までの作品と違うのは、それを象徴的に示した人物が登場するということだ、即ち韓国人留学生のソンという少女の存在なのである。留学生である彼女と周囲の間には明確な隔たりとして「言葉の壁」或いは「文化の違い」が存在する。「さっきから全然わかんないんだけど?」で一蹴される通じない言葉は厳然たるギャップだ。ブルーハーツを聴きながら後ろ向きで涙を流した彼女の表情が切り返されることなく少しも見えないのは、他人の心というものの理解の困難さを表しているように思う。

しかし、偶然のきっかけで誘われたバンドヴォーカルを通じて彼女は一気にそのハードルを乗り越えて行こうとする。思うにこれは今までの山下監督作品にはなかった展開でもある。"人はそんなに簡単に解り合えやしないんだよ"、とリピートされるようなあのどうしようもない空虚さが、ここでは小さいが暖かい希望になって映し出されるのだ。あの時泣いていたソンの後姿の表情をリアルに見られなかった我々は、最後のステージの上で仲間の方を振り向き立ち尽くす彼女を目の当りにすることによって気づくのである。
どんなに不確かなものであってもたとえ一時の錯覚であろうとも人は人と繋がっていると信じたい生き物なのだろう、そしてここではそれが「リンダ リンダ」だったのだ、と。

例えばよく比較されるところの似て非なる「スウィングガールズ」的青春映画で描かれる、絵に描いたような映画的なカタルシスや青春の熱気。それをこの作品に求めてしまうのは多分違うのだろうと思う。

役者の表情を簡単にクローズアップせずに、カット割りしないカメラ。会話する人間を横から、或いは正面から、一つの風景として切り取る構図。廊下を移動しながら次々と教室を映し出す映像に象徴されるように、どこまでも情景の連続であり客観視である。ここにはほとばしる感情を具現化する絵というものは存在しない。それは極めてTVドラマ的な安心感のある「スウィングガールズ」のような演出やカメラワークとは全く異なるものだ。
だが本作の学園祭の喧騒の中で繰り広げられるさりげない時間のように、日常の世界というものはこんな何気ない瞬間の積み重ねだ。互いの心と心はそう簡単にぶつかり合ったりしない、だからこそほんの一瞬の衝突や感情の高まりが途方もない輝きを持って記憶の片隅に残っていくのではないだろうか。エンディングで流れる「終わらない歌」で、あの体育館に集まった人間と観客が終わって欲しくない今という時間を思って同調していく。言い換えればそれは一つの共鳴にも似た感覚に満たされる瞬間であり、心地良い余韻となって残るラストシーンだ。

そしてとにかくペ・ドゥナという異質な存在を迎え入れたことはこの作品の最大の魅力であることは間違いない。
子猫をお願い」「吠える犬は噛まない」でユニークな個性を見せてくれた彼女のストレートな視線の輝き、意志的な表情の強さ、淡々とした山下監督の演出の中に凛とした彼女の魅力が冴えている。殆んど表情を捉えることがなかったカメラは後半になって少しずつではあるが彼女達をクローズアップし、文化祭の発表を巡るたった数日間の出来事がソンにとっては留学生というハードルを踏み越えた出会いの瞬間であったことを映し出す。退屈で建前的な日韓交流の教室に書かれた青い文字はソンが見つけた幸福の欠片なのだろう。

自分はTHE BLUE HEARTS世代ではないので甲本ヒロトと言えば既にTHE HIGH-LOWSだったわけだが、余りにも有名な「リンダ リンダ」等の曲位はさすがに知っているw。この音楽の魅力は本作の魅力と同化して観る者の心を鷲掴みにしてしまう。山下作品でペ・ドゥナが出ていなければおそらくこの作品を観ることはなかったかもしれないが、音楽は元スマパンのジェームズ・イハが担当していたり、今までの山下作品にはなかった一端が見えたという点では非常に楽しめた作品だ、勿論このオフビートな持ち味は万人向けとは言えないかもしれないが。
(そういえば文化祭っていう奴も今年で最後になるなぁ、とか思いつつ。

終わらない歌を歌おう クソッタレの世界のため
終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために


人気Blogランキング 映画ランキング エンタメ@BlogRanking
ブログランキングネット HPランキング bloog.jpランキング ブログコミュニティくつろぐ
記事が気に入って頂けましたらClickお願いします!好みのブログ検索にもどうぞ



■関連記事TB送信ブログ様(TB返し除き):ネタバレ映画館まつさんの映画伝道師Drifting Clouds(順不同敬称略)

■このブログ内の山下監督作品の感想
    くりいむレモン ★★
    リアリズムの宿 ★★★
    ばかのハコ船 ★★★☆

■THE BLUE HEARTS
SUPER BEST SUPER BEST
1995年に解散したTHE BLUE HEARTSのBESTアルバム。
「終わらない歌」「リンダ リンダ」「トレイン-トレイン」「人にやさしく」等のヒット曲が収録されている。何から買うか迷っているならお薦めなアルバムかもしれないw

■山下敦弘監督作品DVD
   ・ばかのハコ船 No One’s Ark
   ・リアリズムの宿
   ・くりいむレモン スペシャルエディション

■ペ・ドゥナ出演作品DVD
子猫をお願い 子猫をお願い

パク・チャヌク リベンジ・トリロジー (初回限定生産) パク・チャヌク リベンジ・トリロジー (初回限定生産)
copyright (C) The Door into Summer all rights reserved.
designed by polepole..
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。