-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「青い春」
2006年 04月 02日 (日) 01:28 | 編集
青い春 青い春

「青い春」 ★★★★☆

Blue Spring(2001年日本)
監督:豊田利晃
原作:松本大洋「青い春―松本大洋短編集」
脚本:豊田利晃
エンディング・テーマ:THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「ドロップ」
キャスト:松田龍平、新井浩文、高岡蒼佑、大柴裕介、山崎裕太、忍成修吾、塚本高史、EITA、鬼丸、KEE、マメ山田
   ⇒ 青い春@映画生活
   ⇒ 「青い春」Trailerを見る
   ⇒ THEE MICHELLE GUN ELEPHANTを試聴する
   ⇒ 挿入歌「赤毛のケリー」を聴く

自分が何者なのか解らない、そんな迷いを抱えて生きる青春の日々がずきずきと疼く。

以下感想には若干ネタバレが有ります。
 突っ張って虚勢を張りながら学校生活という日常に苛立つ男子高校生を描く群像劇である。松本大洋の同名漫画を「ポルノスター」の豊田利晃監督が映画化。
 印象的であるのはこの作品の脚本の潔さであろう。所謂青春物で語られるような其々の家庭環境や生い立ちにこの映画は殆ど触れることなく、学校の中の彼等だけをカメラに写し撮る。
その明確な視点によって描かれたものは、学校という社会の中で作られた上下関係の秩序や鬱陶しい友人同士の付き合いに引き摺られ、ふとした瞬間に弾けて暴走してしまう若さそのものだ。一歩退けば何も起きないことが解っていてもそれがどうしてもできない閉じられた世界、或いは絶対敵わない相手を見つけてしまったときの憧憬と幾許の絶望と挫折。やり場のない焦りとジレンマに身の置き所がない青春の足掻きをこれ程鮮烈に描き出した作品もまた他にはない。

 そして凡そ映画の総てはあの校舎の屋上で繰り返されたゲームに象徴されるのである。
″しあわせなら手をたたこう″
 死ぬ程怖くてしょうがないゲームをあたかも通過儀礼のように彼等はリピートし続ける。後に退けないのは彼等の世界のルールがあるからだ。だがベランダ・ゲームは甘くない。無謀で無軌道な青春の猛りと共に、自分というものの器の大きさもまた嫌と言うほど思い知らしめる。駄目な者はどれだけ虚勢を張ろうが所詮誰からも認められない。繰り返し訪れる残酷なまでの破綻の予感と、危うい生の煌めきが観る者の言葉を失わせる。

 しかし主人公の九條は堕ちる恐怖に少しも怖気づくことがない。そればかりか彼はあらゆる出来事に己が感情を鈍化させて、他人と向き合おうともしていないように映る。大人びてクールな表情には能動的に生きることへの諦念さえも見え隠れするのだ。九條にとってはベランダ・ゲームさえも自らの「生」を確かめる術とはなり得なかったのか。そして青木にとっての九條はどうしても敵わないものを持った絶対的な存在に見えたのに違いない。

確かに極端なストーリーではある、漫画が原作であるということがその一端にあることは確かだろう。しかし自分の生きる世界の価値観に絶対的に支配されて、愚直にもそれが拠所だった時代というものも人にはまた確実に存在するのではないか。雪男や青木のように破綻してしまう人間はほんの一部かもしれない。だが、誰しもそんな危うい瞬間を抱えて答えを探し大人になるのだと思う。

「九條、俺も連れてってくれよ」
九條に近づきたい思いと越えられない圧倒的な壁を前にして、青木はあまりにも危険な賭けに出た。映画のクライマックス、殆ど感情を露にしてこなかった九條は青木を失う恐ろしさに咆哮し彼を追いかける。その九條の叫びを聞きながら青木は堕ちていくのだ。
 あの瞬間青木は彼の命を賭けて、九條と初めて対等に向き合おうとしたのである。そして同時に九條は最もかけがえの無いものに気づき、それを永遠に失った。

 ここで我々はこの青春群像劇が、九條と青木のすれ違い続けた友情を描いた作品でもあるということに気づかされて慄然とするのである。互いに求め合っていたはずの友情に気づけない幼さとあまりにも残酷な終焉。言い換えれば、青木が描いた真っ黒な長い影を一生胸に抱いて生きなければならない九條の新しい人生の始まりでもある。

松田龍平(NANA恋の門ナインソウルズ)、新井浩文(血と骨ラブドガン)、高岡蒼佑(春の雪、パッチギ!)、忍成修吾(リリイ・シュシュのすべて、ガチャポン)、瑛太(サマー・タイムマシン・ブルース、アンフェア)等、今はかなり名前が売れている若手俳優が出演し、全篇をTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのスピード感溢れるリズムとチバユウスケの荒々しいボーカルが彩る。エンディング・テーマは「ドロップ」、松本大洋の原作の持つエネルギーにも後押しされて素晴らしい青春ドラマに収束していると思う。

そしてその場所はいつかは立ち去らねばならない。
昨日一緒にいた仲間達は皆別の道に向かって歩き始める。

誰もが通り過ぎた高校時代の閉塞感や苛立ちをこの作品はどうしようもなく蘇らせる。「取り返しのつかない一球」がヒリヒリと心を苛む、切なくて切なくて堪らない、そんな映画だ。



【映画と全然関係ない話】
この映画の感想はきっとまともに書けない気がしてずっと放っぽっていた、それはあまりにも自分のリアルな高校時代と重なるせいなのだと思う。まぁ男子校とはいえ自分の温い高校ではこの映画みたいなことは微塵もなかったがw、ゲーセン行ってナンパしに自由が丘に行ってフラフラした挙句親に殴られたりとかそんな中途半端な事は自分もやっていたので、無性に共感できてしまったり少し前の自分を見ているような錯覚に襲われてしまう痛い作品なのだ。
映画が劇場公開された時、その頃はまだTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTは解散してなくて、"Life goes on"を出したDragon Ashもかなり元気で、世の中はサッカーワールドカップの日韓共催で盛り上がっていた。高校生の自分は恥ずかしくなる位幼かったが、チバユウスケはヒーローに見えたよ。
たまにはちゃんと拳を握って真剣に自分の未来を考えたい、臭いけどそういう気分を思い出させてくれる映画でもある。
・・・で、やっぱりまともに感想は書けないのだ orz


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■関連記事TB送信ブログ様(TB返し除き):(順不同敬称略)

■松本大洋の原作漫画
青い春―松本大洋短編集 青い春―松本大洋短編集

■「赤毛のケリー」「ドロップ」が収録されているアルバムは此方。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT GRATEFUL TRIAD YEARS 1998-2002 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT GRATEFUL TRIAD YEARS 1998-2002

ここからTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの曲が試聴できる、興味のある方は是非Checkを。

■Dragon Ash「Life goes on」
Life goes on Life goes on
日本ではパクリと騒がれたが所謂サンプリング。過去の有名曲を使う手法は別に珍しい話ではない。まだDAが元気だった頃だなぁ、懐かしい。
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