-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「ソナチネ」
2006年 03月 30日 (木) 23:17 | 編集
ソナチネ ソナチネ 

「ソナチネ」 ★★★★☆

(1993年日本)
監督:北野武
脚本:北野武
キャスト:ビートたけし、国舞亜矢、渡辺哲、勝村政信、寺島進、大杉漣、北村晃一、十三豊、深沢猛、森下能幸、永井洋一、安藤裕、津田寛治
   ⇒ ソナチネ@映画生活
   ⇒ 動画を見る

 「あんまり死ぬのを怖がってると、死にたくなるんだよ
 歌い、踊り、笑い、遊び、そして死ぬ。それ等はここではすべて同列で等価値だ、いや、初めから同列なのを我々が気づかないだけなのかもしれない。

 淡々とした展開、小気味良く削ぎ落とされたストイックなまでのカットの連続、様式としての北野カラーが完成された作品だろう。またその後の北野作品に見受けられる独特の呼吸、リズムというものが、この作品でほぼ完全な形として提示されていることも注目すべき点だと思う。
 ストーリーは抗争に巻き込まれたあるヤクザ幹部の男の生き様を描くもの。下手なことをすればただの安っぽいバイオレンス映画に陥る可能性もあったモチーフだ。だが任侠物に留まらない普遍性が、「ソナチネ」という作品を紛れもない最高傑作に昇華させている。

 本作で素晴らしいのは、対照として用いられる緩急、静と動、光と陰のコントラストであろう、そしてそれ等によって、我々の隣り合わせにある「生と死」というテーマが鮮烈なまでに焙り出されていることだ。
 コントラストの一つは突然の銃撃に始まるはりつめた緊張と、あまりにも当たり前の日常との弛緩の対比である。ところどころに笑いを交えた和んだ空気を一瞬にして切り裂く、有無を言わさぬヤクザの世界の暴力性。それは子供のように楽しげに笑いながらこめかみに銃口を当てる村川自身の姿に収束される。
 もう一つは沖縄の原色に彩られた陽光溢れる「生」のイメージと、全篇に満ち溢れる確信犯的な「死」の羅列だ。美しい青い空と海、無邪気に遊び呆ける若者、似合わないアロハシャツ、帰りを待つ女、何気なく並べられているようでそれ等は総て「生」というものの具現化である。対して登場する殆どの男がいとも簡単に死んでいくというこの皮肉なまでの構図、紙相撲の人形のように儚く脆い「死」がここにあるのだ。

 「あの夏、いちばん静かな海」に続く四本目の監督作品であるが、白いシャツを着たまま無造作に人を撃つ村川の孤独は、逃げ場のない人生に疲弊する監督自身に重なって見える。それ程あまりにも死が近くにあり過ぎる作品である。
 監督の事故後の北野映画は少しその趣を変え、「キッズ・リターン」では人が死なない。自分は「生」の苦悩と拘泥を綴った泥臭くも熱い「キッズ・リターン」が北野作品では一番好きだが、どの映画が最も強烈な光を放って記憶に残るかというとやはりこの「ソナチネ」以外には考えられない。無駄のないカット、潔い編集、心を揺さぶり脳裏に焼付く映像。媚びを少しも感じさせることなく観る者を最後までその世界に浸らせてくれる、「ソナチネ」との出会いはまさに衝撃ですらあった。
 その後撮られた「HANA-BI」はこの作品の死生観(厭世観とでも言うべきか)や孤独感を踏襲しつつ、生きることを選択する苦悩と愛情という方向性を模索しているようにも感じるが、映画としての上手さとは相反して「ソナチネ」に感じた圧倒的なカリスマ性を失ってしまったようにも思ったものだ。

 呆気ない命の終焉が積み重ねられていく度に、人生の儚さが鮮やかに浮かび上がり、全篇を貫く凶暴性をどうしようもない孤独と哀愁がユーモラスに包む。
 エンディングはわけもなく泣けてしょうがなかった。久石譲の音楽も素晴しい。この乾いたタッチの静かなる映画が持つどうしようもない哀しみ、重さ、抉られるような痛みをおそらく生涯忘れる事はないだろう。圧巻。
 
 思いっきり中途になっていた北野映画祭り、DVDを買ったので改めて「ソナチネ」再見、ホントに凄い映画だ。

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■サウンドトラック
   ・ ソナチネ(サントラ)
   ・ Joe Hisaishi Meets Kitano Film
       久石譲が担当した北野作品の音楽を収録したアルバム。「ソナチネ」や「あの夏、一番静かな海」「キッズ・リターン」などのテーマ曲を厳選、これはかなりお薦めのアルバム。
       ⇒ TSUTAYA onlineにて全曲一部試聴可能

■北野武監督作品お薦めDVD
あの夏、いちばん静かな海。キッズ・リターンその男、凶暴につき
HANA-BI3-4×10月座頭市 <北野武監督作品>

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