−大学生の自己中ネタバレ映画評−
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新旧オールジャンルの濃い目の映画感想日記です、解釈分析ネタバレ有り。

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「運命じゃない人」
2006年 03月 24日 (金) 00:57 | 編集
運命じゃない人 運命じゃない人

「運命じゃない人」 ★★★☆

(2005年)
監督:内田けんじ
脚本:内田けんじ
キャスト:中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ 運命じゃない人@映画生活

重層的に練られた脚本の良さが光るサスペンスコメディ。
但しキャラクターの魅力とドラマ性の点では今一つ。

この作品の複数の視点から一つのエピソードを撮って見せる手法は、古くは「羅生門」とかタランティーノの傑作「パルプ・フィクション」で使われたものだ。
今更斬新さはないが、時間軸を弄る作品に見られるこの手の構成を、全然スタイリッシュとは言えないタッチながら緩急織り交ぜた展開で見せてくれる、久々に楽しい作品だった。しかも内田監督はこれが長編デビュー作だそうである。

ただ惜しむべきは全体的なスピード感不足。たった一時間半の上映時間以上に長さを感じさせられたのはそれ故だろう。複雑で込み入った構成をこれだけ解り易く見せる脚本の巧妙さは際立っているだけに、特に最初の30分に象徴されるテンポの冗長さが全体の出来から見ると少し残念だった。
そしてどうしてもこの作品にもう一つ突き抜けた魅力を感じなかったのは、やはりキャラクターの魅力とドラマ性の欠如という点なのだろうと思う。本作を繰り返し観たいとは思わない作品の類にカテゴライズせざるを得ないのはこれが決定的な理由だ。
そもそもストーリー自体が地味で非常に狭小な世界で展開されるスケール感のない話だし、同じ様な手法を用いた「パルプ・フィクション」や「レザボア・ドッグス」のような立ちまくった映画的キャラや、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のような作品自体から出てくる強烈な色気や遊び、なんていうものを求めるのは無理があるだろう。しかし巧妙な脚本の仕掛け以外に、この映画に後々思い出して再見したくなるようなエンターテインメント性やドラスチックな印象、キャラクターの魅力が存在するかと問われれば答えはNOだ、残念。
この作品で初めてこのような手法の映画を観たという方には、是非前述のような傑作を観て欲しいと思う。

勿論三十過ぎの男の哀感を上手く描き出している所は好感が持てる。この映画を観ながら全力で頷く男もいるんだろう(笑。タクシーの運ちゃんにレストランの店員、ショボいヤクザなおっさん、名もないキャラ達が低予算のデビュー作を支えていることは確かなのだ。
去年公開の作品の中では実によくできた良質な邦画、遅ればせながら渋谷に観に行った甲斐は十二分にあったと思う。
第14回PFF(ピアフィルムフェスティバル)スカラシップ作品、2005年カンヌ国際映画祭〈批評家週間〉正式出品作品、フランス作家協会賞(脚本賞)受賞作品。

この宮田のようなやたら人のいい奴ってあまり友達にいないんだよね〜、俺(爆。


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Comment
この記事へのコメント
あー、やっとあたしが知ってる映画が♪
これレンタルで見ちゃった(〃゚д゚;A 
なかなか面白かったねー、そうそうパルプ・フィクションとかエレファントもこんな構成だった。
・・・・・・・見た目宮田君ぽいのはいるじゃない!?エヘヘww
2006/ 03/ 26 (日) 15: 19: 06 | URL | あゆみ # hHr8eLEw[ 編集 ]
>あゆみ
レンタル出てるのに劇場に行くのがいいんだろ!しかも円山町!(・∀・)b
宮田ってk林?レギュラーの左側の方が似てね?w
そそ、エレファントでもやってたね、一つの場面を色んな人物の視点からって結局「羅生門」なんだよな、黒澤監督は偉大だ(そんなオチ
2006/ 03/ 27 (月) 18: 59: 12 | URL | lin # -[ 編集 ]
お久しぶりです。如何お過ごしでしたか?
余計な突っ込みですが、
ただ「視点を変えた」のではなく「時間軸と視点を変えた」ではないでしょうか?
「羅生門スタイル」とは「1つの出来事を複数の視点で再現する」事で、描かれるのは必ずしも事実ではなく、また、主体となる人物が自分や特定の人物が有利になるように証言するので、「人によって話が違う」となります。
『運命じゃない人』は時間と視点を変えて「出来事の裏側と他の出来事への関連」を丁寧に描いた作品です。
久しぶりで突っ込み失礼しました。
2006/ 04/ 15 (土) 03: 13: 40 | URL | 健太郎 # y/MN7pSg[ 編集 ]
>健太郎さん
えーと、健太郎さんのご指摘の話を記事に書いているつもりですが解り難かったでしょうかね。3行目に「時間軸を弄る作品に見られるこの手の構成を・・・」云々と書いたのですがw。
「羅生門」と言うよりは「和製パルプ・フィクション」という印象だったですね。
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズとかパルプのようなスタイリッシュさはないですが映画自体はとても面白かったですよ。
コメントありがとうございますw
2006/ 04/ 15 (土) 03: 40: 51 | URL | lin # -[ 編集 ]
『羅生門』が気になったものでつつっこんでみました。
「羅生門スタイル」と書くと「個々が話している事が違う」となるので「時間軸と始点をいじったパルプフィクションスタイル」とは違うんですよね。
「1つの出来事を複数の時間帯、複数の時間」で描くか、
「1つの時間を個々の都合のいい様に様々な形で再構築するか」の違いなんですよね。

と、おせっかい又失礼しました。
とても読みやすく解りやすいレビューなので余計に気になってしまいました。
すみませんおせっかいで。
2006/ 04/ 17 (月) 22: 32: 14 | URL | 健太郎 # -[ 編集 ]
>健太郎さん
パルプと羅生門スタイルの違いの話は仰る通りだ思います。
羅生門スタイルと言えば最近の典型は「HERO」なんかがそうですね。
同じシーンやエピソードを複数の視点から描くという方法は「パルプ・フィクション」以降ポピュラーなものになったようですが、そもそもこの時間軸や時系列を弄って複数の視点から物語を構成していく手法自体、所謂「羅生門スタイル」という画期的な演出構成から派生して生まれたものと自分は理解しています。
そういう意味で「羅生門」を本文に載せたわけで、「運命じゃない人」が「羅生門」と同じだとは考えていませんよ、健太郎さんのブログの方にコメントさせて頂いた通り「和製パルプ・フィクション」といった印象ですねw。
2006/ 04/ 18 (火) 00: 32: 39 | URL | lin # -[ 編集 ]
こんばんは★

これ、面白かったです。
linさんもこの映画の記事書かれてたんですね!!
テンポ遅かったですか??
私はちょうど良かったようにも思いました〜。
時間軸が微妙にイジられてたけど、凄く分かりやすくて良かったですよね。
脚本が素晴らしかったと思いました。

トラバさせてください。
2006/ 07/ 23 (日) 21: 01: 11 | URL | マイコ # -[ 編集 ]
>マイコさん
自分は前半ダルかったですね〜w。
ま、話自体日常の延長でスケール感のあるものじゃないので、パルプ・フィクションやロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズと比較しちゃいけないんでしょうw。
ただ記事にも書きましたが、脚本の上手さ以外に、後々繰り返し観たいと思わせる魅力もインパクトもあまり感じませんでした。自分が映画を考える際に「残る」作品なのか否かという点は結構大きい要素なんですよ。これ既に内容忘れかけてますから!(爆
レザボア・ドッグスとか上の2作は似たような構造を持っていますが、面白いので激お薦めですw
2006/ 07/ 24 (月) 09: 25: 31 | URL | lin # -[ 編集 ]
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