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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「魚と寝る女」
2006年 02月 14日 (火) 01:35 | 編集
魚と寝る女 魚と寝る女

「魚と寝る女」 ★★★☆

THE ISLE (2000年韓国)
監督:キム・ギドク 
脚本:キム・ギドク
キャスト:ソ・ジョン、キム・ユソク、パク・ソンヒ、チョ・ジェヒョン
   ⇒ 魚と寝る女@映画生活

離れる事のできない男と女の縁(えにし)。
激烈なる痛みを伴ったシュールな寓話である。

原題は"THE ISLE"小島、という意味だが、舞台となる釣り場で湖に点在して浮かぶ舟小屋を示しているのだろう。一見して詩情ある風景に繰り広げられるものは売春と殺人、そして「釣り」である。しかも「釣り」は魚だけを釣るのではなく、罪を逃れ死に場所を求めて釣り場にやってきた男が、「悪い男」の主人公同様一言も言葉を発しない女に捕らわれていく、という意味にも受け取れる。云わば獲物を捕らえるという行為に男女の関係を象徴的な構図で描いたファンタジーと言ったところか。

のんびりとした開放的な光景と相対して、絶句させられる「痛み」の映像がいくつもある。中でも釣り針のシーンは生半可なスプラッタ映画よりも壮絶に痛い。殺人という罪で繋がった男と女は、互いの身体に奥深く突き刺した釣り針によって死から生に引き戻され、離れられない関係に陥っていく。
圧巻なのはそれまで一言も発しなかった女が、自らを釣り針によって引き裂き絶叫する瞬間であろう。真っ暗な水面から浮かび上がり男を見つめる表情と合わせて、このたった一言の発声が男への情念となって見事に映画の中で昇華されるのだ。女を演ずるソ・ジョンの存在感が圧倒的である。

エンディングはカマキリの雌に食われる雄、或いは卵子に向う精子さえも想起させられる何とも象徴的なシークエンスが待っている。男が泳ぐ湖の草むらは最早逃げられない女の中にあるのだ。そしてこの世界観をもう一度考えてみれば、浮島のような舟小屋の存在自体女がいなければ成り立たない何とも脆弱なものであることに気づき愕然とするだろう。
男にとってはちょっと怖い空恐ろしさがあって、不気味さとシュールさが不思議なバランスを保って息づく、そんな味わいのある作品である。
ギドク作品が好きな人には必見、あー痛い痛い痛い、でも惹かれる映画。


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