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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「悪い女 青い門」
2006年 02月 13日 (月) 00:29 | 編集
悪い女 悪い女

「悪い女 青い門」 ★★★☆

Paran daemun、Birdcage Inn (1998年韓国)
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
キャスト:イ・ジウン、イ・ヘウン、アン・ジェモ、 チョン・ヒョンギ、ソン・ミンクス、チャン・ドンジク、イ・イノク、チャン・ハンソン、パン・ウンジン

舞台は青い門を持つ海辺の売春宿「鳥かご」、そこで客を取る娼婦ジナと彼女を取り巻く周囲との間の人間模様と心の交流を描く。

男を受け入れる女ジノとモラルに潔癖な女ヘミというキャラクターが非常に対照的な存在として位置付けられ、ストーリーを最後まで牽引する素材となっている点が大きな見所であろう。
男の弱さや狡猾さ、身勝手さを総てその身に引き受けるジノは、男にとっては都合がいい半ば「サマリア」の聖女の如きある意味理想的な存在として描かれる。周囲の女からは蔑まれ疎まれ孤独な自分自身を癒す術を知らないジノは、男にとってのエロスとアガペーの象徴的な女性像でもあるのだろう。それ故に男は皆ジノに惹かれ、一人の娼婦への愛着で繋がるのだ。作品の中でこの女性像は、限りなく与え続ける包容力と共に女の極限的な美しさと醜さの両方を体現する存在ともなっている。

本作は痛みを抱える者を癒す術を知る女と、その女が持つ腕の優しさに肉薄し、女同士の愛憎から「性」という人間の根源に触れようとする、やはりギドク作品らしいアプローチであるように思う。
宿屋の娘ヘミはジノと同等の立場になることで、ジノを理解しまたヘミ自身の中の「女」を理解したのだろう。・・・そういえば「サマリア」でもこういう展開があったが、貶めて蔑んでいたものに自らが取って代わるという行為によって、理解だけでなく償いや贖いの感情をも表しているように感じられる。自己を穢し貶め、罪をその身に引き受ける彼女達に、宗教的な寓意性を感じずにはいられない。

そしてラストシーン、二人の女が総てのわだかまりを超えて微笑み合う姿が水面に映し出される。酷く不思議な安息に満たされていく印象的なエンディングは、とても美しくある種の浄化に近い感覚を我々にもたらすのである。即物的で俗っぽい現実からパンするこの水面の映像は作品のテーマを最大限に物語る絵となって観る者の心に染み入ってくるのだ。
鳥かごと名づけられた売春宿、金魚、不浄を包み込むかのような水。ギドク監督の作品に特長的な寓意的な比喩表現は本作において既に登場する。それ等のモチーフに着目しながら観てみると、作品全体のテーマ性がより顕在化するだろう。しかし本当に面白いなぁ、この監督の映画w

で、一番のインパクトは毛虫つけてるみたいな主演女優の眉毛だったりするわけだが、やっぱり最後まで見慣れなかった、いいのかあの極太!

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■同監督作品のその他の感想は此方 → キム・ギドク監督作品

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