-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「隣人13号」
2006年 02月 04日 (土) 22:16 | 編集
隣人13号 隣人13号

「隣人13号」 ★★★

THE NEIGHBOR No.THIRTEEN (2004年日本)
監督:井上靖雄
原作:井上三太「隣人13号 1 (1)
キャスト:中村獅童、小栗旬、新井浩文、吉村由美、石井智也、松本実、劇団ひとり、村田充、三池崇史
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ 隣人13号@映画生活

ネタバレ有り
この手の題材は実は少なくない、だからいかにして新鮮さをアピールして差別化するかとなると意外に大変なんだろうな、と正直思った。
原作はまたしても人気コミック、井上三太の同名漫画「隣人13号」、公開時ネオ・サイコ・サスペンス・ムービーと銘打たれて評判になっていた作品だ。

結論から言えば同じ様なテーマの「ハサミ男」よりも余程映画としての完成度が高い、劇場に行かなかったことを悔やまれる。スタイリッシュな映像、飽きさせない展開、観る者に様々な思いを抱かせるエンディング、個人的には非常に面白かった。

この13号と十三との関係は、明らかに解離性人格障害(多重人格)の一種だろう。幼い頃の虐めが引き金となってそれに耐え得る凶暴な13号という人格が作り出され、あたかもドッペルゲンガーのように一人歩きし暴走し始めたということなのだと思う。欧米の症例の多くが幼児期の性的虐待が原因となっているという説もあるようで、この場合も所謂自我防衛の為の心理的逃避や置き換え、過剰補償という理論で説明できなくはない。
このようなテーマの作品における恐怖感や絶望感というものは、解離した人格が本人の人格を凌駕し始めるという点に集約される。塩酸をかけられ、虐めの悔しさや哀しさ、心の苦しみを総て引き受けたのは13号だったのだが(塩酸は実際にはかけられていないようだがw)、その点から言えば13号の存在に怯えながらもそれを利用して復讐しようとする十三もまた存在したというべきだろう。別人格を自制できないと言う事は、復讐したいという欲望を抑制できなくなった心理或いは元人格消滅の脅威の具現化でもある。荒野に孤立する血の様に赤い部屋で対峙する十三と13号の姿はまさに十三自身の深層心理の投影であろう。この描写は心を病む人間の苦悩と葛藤を表現した実に出色なものだと思う、まぁ別な意味で裸の小栗旬萌えな人には嬉しい映像かもしれないがw

新鮮とは最早言えないテーマであるが、中村獅童と小栗旬という配役で極端な人格交代が上手く表現されていたのは良かったと思う、特に獅童のエキセントリックな演技には注目だ。暴力描写や映像のグロさ、エグさも人によっては賛否あるところだろうがこの作品の世界観には重要な部分であろう。三池監督の死にっぷりには笑えたがw。
またエンディングはパラドックスのもう一つの未来を映し出し、この作品に余韻と深さを与えていると思う。たった一言の謝罪の言葉に救われ、13号という人格はまた十三の意識下に閉じ込められる。しかしこの物語を13号が隔離されるまでを総て現実と考えるか、または苛めを克服できたか否かによって全く違った人生を選択するという一つの喩え話と考えるか、或いは十三の心理的な欲望即ち妄想の映像化と受け取めるか、それは観る者それぞれの判断と解釈に委ねられているのだ。

そして全く惜しむべきは終盤の13号と新井浩文の対決である。緊張感の欠片もない長い追いかけっこのグダグダな展開はこの映画を台無しにしてしまった。肝心のクライマックスで眠くなってしまうのは痛いなぁ、勿体ない限りだ。

井上靖雄監督はPVやCMを手がけ映画は本作が初めてらしいが、今後も非常に期待できる監督だと思う。まぁ暴力描写を否定される向きにはお薦めしません、こういうのが嫌なら最初から観ないという選択ができるわけで避けりゃすむ話だからねw。


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■原作コミック
隣人13号 1 (1) 隣人13号 1 (1)
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