-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「博士の愛した数式」
2006年 01月 28日 (土) 03:51 | 編集
博士の愛した数式 博士の愛した数式

「博士の愛した数式」 ★★★

(2005年日本)
監督:小泉堯史
原作:小川洋子 博士の愛した数式
キャスト:寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ 博士の愛した数式@映画生活

オイラーの公式にこめられた、この一瞬への思い。

数式の持つ美しさの中に愛と人生の選択を投影した叙情あふれる作品である。原作は第一回本屋大賞に輝いた小川洋子の同名ベストセラー。
80分しか記憶が持たない天才数学者が愛して止まなかった数式、それこそがこの作品のカギであり、指数関数と三角関数即ち、自然対数の底eと虚数i、円周率πとの関係を示したオイラーの公式である。

   e=cosθ+isinθ

θにπを代入すると

   e = -1

という美しい等式ができる。

映画では e = -1  から e + 1 = 0 という形に表現方法が変化しているところがひとつの見所であろう。
それは全く同じオイラーの等式でありながらこの物語においては意味が違うのだ。
博士が未亡人に宛てた手紙に記された e = -1。この「-1」とは決して消えない負の過去を背負って生き続けなくてはならない博士の哀しみ(瑕疵)として表現されていたのではないかと思う。それが総ての無の表象である0(ゼロ)という答えを持つ等式の形に変化したことが、博士の「一瞬一瞬を生きようとする」人生の選択を鮮やかに表現することになっていると感じる。惜しむべきはこの点が全然強調されていなかったことだw

博士が杏子とルートと過ごす擬似親子的な関係は、過去には決して叶えることのできなかった「家族」「家庭」への愛着なのであろう。
常に「ゼロ」という無に戻り続ける記憶。だがその「ゼロ」のリピートが周囲には尊い記憶となって積み重ねられていく、現実を受け入れてこの瞬間をひたすらに生きる選択は痛ましくも暖かく我々の心を打つのだ。

阿弥陀堂だより」と同様、日本の四季の移ろいや風景美を撮るのは上手い監督であるが、本作でも80分でリセットされてしまう博士の記憶と対照的に淡々と過ぎ行く月日をその風景描写で描き出している。野球のエピソード部分が少し弱く感じたが、時間的な問題から省略されたのかもしれない。上記の数式部分の見所の他、√(ルート)の回想録として語られている部分を除けば、大筋は原作にかなり忠実な作品である。

但しこの監督の特徴なのか、何しろテンポが一定緩慢であり脚本に抑揚というものがない。擬似親子のほのぼの部分はまだいいが、博士の抱える悲しい過去についての描写までもあっさりと通り過ぎてしまうのはどうなのか?また細部に関して言えば、特に博士の記憶の「リセット」表現が、「君の靴のサイズは~」という例の台詞のみで終始してしまった点は、映画という映像表現であるが故に極めて物足りなさを感じる部分であった。病の為に注意深く生活をしていた博士の几帳面なメモ書きなどのエピソードが端折られてしまった点も人物描写の掘り下げ不足を感じるところだ。(メメントにして欲しいとは言わないがw)
悪くないのだが全体的にメリハリと盛り上がりに欠ける印象。数学が嫌いな人にも受けるのかどうかよくわからないが、叙情的で温かい、静かな作品が観たいならお薦めだと思う。

「完全数、28。」


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■原作「博士の愛した数式」
博士の愛した数式 博士の愛した数式

映画 「博士の愛した数式」 オリジナル・サウンドトラック (仮)
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