■ Title Index : all ア カ サ タ ナ ハ マ ヤ ラ ワ A-Z・数字 監督別 |
■ ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ |
2006年
01月
28日
(土)
03:41 |
編集

「π」 ★★★☆
PI (1997年アメリカ)
監督:ダーレン・アロノフスキー
キャスト:ショーン・ガレット、マーク・マーゴリス、スティーヴン・パールマン、ベン・シェンクマン、サミア・ショアイブ、アジャイ・ナイデゥ、パメラ・ハート
⇒ π@映画生活
π(パイ)、そこに宇宙を支配し得る総てが隠されている。
・・・なんて数学好きな人にはかなり魅力的なモチーフだがw
この世界のあらゆる事象は単純な数とその法則によって説明される。そう信じた男が「π」に隠された謎を探し出そうとするエピソードと、それを利用しようと目論む株屋とモーゼの五書の秘密を探る胡散臭いユダヤの秘密結社が絡んでいくエキセントリックな物語。無茶苦茶金はかかってなさそうだが、独特の世界観が造り上げられているという点で出色な作品。
πという数に固執する男の神秘性や異常性を描き出すという点においては、男の独白による台詞の多用、モノクロの画面、そしてリンチの「イレイザーヘッド」風な雰囲気を漂わせるスタイリッシュな映像がよく効を奏している。繰り返し挿入される脳味噌やらせんのイメージが映画の世界観の醸成の為に意図されたものであることはよく解る。
但し、言いたいことをいかにこ難しくまわりくどく見せるか、ということに執心しているかのような展開や、虚構と現実が錯綜する男の苦悩と述懐のダラダラ加減、ラストの収束の仕方など、どうも見せ方のディテールだけに拘ってしまった印象は否めない。エンディングでは、おいおいこれで終わりかよ?だから何?と言いたくなってしまうわけだ。
言い換えれば「神の真の名が216文字」、宇宙を支配するものがπに隠されている、という、まさに究極の頭でっかち映画。
無理矢理解釈するとすれば、天才的数学者マックスが、πに隠された216桁の数字の謎即ち宇宙を支配する法則を解明することに挑み、その真理の究明を果たそうとした瞬間彼自身の脳が耐えられなくなって破綻したということか。惜しいのはやはりラストがあまりにも平凡なところに着地してしまったことだろう、男が一瞬踏み入ったであろう前人未到の神の領域を全く感じられなかったのは激しく物足りなかった、ちょっとでいいから見せてくれYO!
まぁ頭痛に苦悩する数学者が数字に心酔するあまりの幻想世界ともとれなくもないのだがw。
今観ると、細切れのカットをスピーディに繋いで見せる手際やノリのいいテクノなBGMはいかにも「レクイエム・フォー・ドリーム」の前作であることを窺わせるものだし、作品として成功しているとは言い難いにしてもこの監督の非凡さは十二分に伝わってくる映画だ。因みに塚本監督の「東京フィスト」にインスパイアされたものであるらしい、都市と人間再び?(爆。
数学とは規則性の学問だ。黄金比等の美しい単純な数式が物理学に応用され宇宙を紐解く理論となる、なんていうのは数学が好きな人間には堪らなく魅力的なテーマではあるかな。「イレイザーヘッド」程のインパクトはないし当然作風への好き嫌いはあるだろうが、着想と描写のユニークさは評価されて然るべきだろうと思う。








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