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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「美しい夜、残酷な朝」
2006年 01月 03日 (火) 23:22 | 編集
美しい夜、残酷な朝 オリジナル完全版 美しい夜、残酷な朝 オリジナル完全版

「美しい夜、残酷な朝」 ★★★☆

THREE... EXTREMES (2004年香港/日本/韓国)
監督:三池崇史「box」、パク・チャヌク「cut」、フルーツ・チャン「dumplings」
キャスト:長谷川京子、渡部篤郎、イ・ビョンホン、カン・ヘジョン、イム・ウォニ、ミリアム・ヨン、レオン・カーフェイ、バイ・リン
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ 美しい夜、残酷な朝@映画生活

香港、日本、韓国共同制作によるオムニバス作品。人間の本質に潜む欲望の世界を生々しい質感で描き出す、云わば一見美しい仮面の下に隠された醜悪な真実とでも言うべきか。
どれ一つとして後味の良いものはないのでそういう作品が苦手な人は避けるべきだろう。個人的には異なったアジアの監督によるオムニバスという試みの新鮮さを評価したい。

「cut」:パク・チャヌク ★★★
「JSA」に復讐三部作と絶好調の鬼才。本作でもまた不条理な逆恨みに遭って苦しむ新進監督を描くが、どうも復讐三部作の番外編みたいで申し訳ないが新鮮味はゼロだった。
しかしパク・チャヌクが描く「痛み」とは肉や骨を切られる生身の痛みと、心を押し潰してしまうような精神的な苦痛の両面があるということを改めて感じる。本作の場合は良心的に生きてきたはずの人間が最悪の選択を前に愚劣に貶められ、その仮面を剥がされていくというものだ。"cut"されたものは女の指だけではなく、男の命であり繋ぎとめられていた夫婦の絆であり彼等が住んでいた偽りの幸福の世界でもある。無機質に演出された部屋とピアノ線が痛々しく、劇中の映画の1シーンに重なっていくラストは虚構と現実の狭間を表象し秀逸だ。
で、ジューサーミキサーと言えば「贅沢な骨」を思い出すわけだが、いとも簡単にスイッチを入れるのがやはり韓国映画だよな(;´Д`)、うへー。
因みにカン・ヘジョンがあり得ない程カワイクナイ・・・ orz

「box」:三池崇史 ★★★★
「妖怪大戦争」が記憶に新しいところだが、最近の三池作品とは打って変って内省的である。三作の中で一番余韻の残る作品だった。
プロットは鏡子という女の夢を二重構造にして彼女の欲望の真実に肉迫するものである。幼い頃育てられた奇術師の愛情が欲しいが為に実の姉を死に追いやった小説家鏡子。彼女の記憶を辿るストーリー展開が、一見鍵のかけられた箱にトラウマを持ち続ける女の苦悩の話に我々を導く。だがそれは実は双生児の共有された身体が見た夢の断片なのである。奇術師の叫ぶ「二人でなきゃ駄目なんだ」という台詞はまさにその現実の皮肉な象徴でもある。
夢として描かれた世界を言い換えるならば、姉に嫉妬し箱に閉じ込める行為は切り離されたいという欲望の具現であり、それを男になじられ自らが埋葬されるという夢は見捨ててしまいたい半身に抱いた悪意への償いにも似た思いが為せる妄想なのだろう。
双生児の叶えられることのない夢と愛憎が哀しく、妄想世界の双子のバレエとブルーに沈んだ画面が印象的だ。
話自体は欲望の妄想化というシンプルなものだが、見せ方が面白かった、長谷川京子もまぁ悪くない。

「dumplings」:フルーツ・チャン ★★★☆
うわぁ・・・食べる音ヤバ過ぎ、とにかく猟奇的だ。
この設定の特異性と湧き上がってくるグロテスクな恐怖感は三作品の中でも群を抜いている。特製餃子に入っていたものは予想通りと言うべきかあまり驚きはないが、まさか「堕胎児」とはね、いいのかこんな話書いて・・・w。
餃子の材料を知った後も「美と若さ」の為に以前と同様に料理を食べ続け、自らも堕胎までする女の表情が怖い。欲望に蝕まれた人間の狂気は留まる処を知らないということか。
フルーツ・チャン監督作品は初見だがクリアーな映像の美しさと音の使い方の上手さが印象に残る。


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