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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「殺人の追憶」
2005年 08月 24日 (水) 11:34 | 編集

殺人の追憶

「殺人の追憶」 ★★★☆

Memories of Murder (2004年韓国)
監督:ポン・ジュノ
キャスト:ソン・ガンホ、キム・サンギョン
公式サイト

後味は最低だが観る者の心を釘付けにする脚本の面白さには素直に賛辞を送りたい。

実話ベースの未解決猟奇殺人がテーマの秀作。
連続する殺人事件に次第に焦燥感を憶え苦悩する刑事達の心の動き、解決への糸口を見失わせる村という閉鎖的な空間、次々と捜査陣の裏を書くように起こる事件の謎と緊迫感、これ等を畳み掛けるように一気に描いていくドラマ性は全く見事としか言い様がない。テンポのいい展開も手伝って、おそらく観る者は皆映画の最後まで全く目が離せないだろう。
迷宮入りの結論が解っているにも拘わらず、これだけ鑑賞者をラストシーンまで捉えて放さない演出は素晴らしい。

また、韓国の古い警察制度の問題点が露呈されている部分も見逃せないだろう。拷問や自白偏重という捜査方法がこの殺人犯を捕まえられなかった原因の一端を担っていることも浮彫りにされているのだ。

秀逸なのは映画の最初のシーンとリンクする、元刑事の行動を描いたエンディングであろう。年月を経て同じ行動を取らざるを得なかった彼の心境や未解決事件の謎の深さというものを、このたった一つのシーンによって観客ももう一度なぞることになる。
刑事が覗き込んだ暗闇は、捕らえられるはずだった犯人が消えていったあのトンネルの暗闇と重なりながら、この猟奇殺人事件が永遠に闇に葬られたことを暗示するのだ。晴れ上がった田舎の風景と全くそぐわない忌まわしい過去の事件が、冷や水を浴びせられるかのように蘇る、戦慄の走るラストシーンではないか。
何故逮捕できなかったのか、あの男は犯人ではないのか。
これ以上ない絶望感と無力感に支配された終幕ははまさに圧巻の一言に尽きると言えよう。

キャスティングも今の韓流ブームからは若干離れた(笑)所にいるソン・ガンホ、キム・サンギョンという演技派の二人が、焦りと怖れに苛まれていく対照的なキャラの刑事の表情を実に上手く演じていると思う。
韓国映画の勢いと凄味を兼ね備えた絶品のサスペンス、必見ですw。


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