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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「バッド・エデュケーション」
2005年 12月 27日 (火) 23:48 | 編集
バッド・エデュケーション バッド・エデュケーション

「バッド・エデュケーション」 ★★★

LA MALA EDUCACION、BAD EDUCATION (2004年スペイン)
監督:ペドロ・アルモドバル
キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル、フェレ・マルティネス、ハヴィエル・カマラ、ルイス・オマール、ダニエル・ヒメネス・カチョ、レオノール・ワトリング、ナチョ・ペレス、ラウル・ガルシア・フォルネイロ
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ バッド・エデュケーション@映画生活
   ⇒ IMDbのTrailerを観る

盛り込まれた題材は扇情的だが、結局何も残らない不思議な映画。

アルモドバル監督の半自伝的な作品であるらしい。
オール・アバウト・マイ・マザー」では広い意味での「女性」というものへの強い憧憬と礼讃、「トーク・トゥ・ハー」では禁断の愛のかたちを描いた同監督。この監督の考える愛とは、性別や年齢といった、おそらく我々が一般的に考える愛情においては障壁となるような柵からとても自由なのだろう。

本作においても全篇ホモセクシュアル(ショタコン&オカマ含むw)という決してノーマルではないキャラクター設定から愛と欲望の普遍性に肉迫するという大胆な狙いを感じる。また、所謂メタ映画の体裁を取り、映画の中にもう一つの映画が展開する劇中劇と、エンリケとイグナシオという二人の男の過去と現在が錯綜するという非常に凝った構成や、サスペンスタッチで終盤まで観客を魅了する展開も見事なものだ。
だが映画の中核と捉えるべきは何なのか、そしてこの作品から何を受け取ればいいのか、どうも捉え難い印象が残るのである。
アルモドバルの作品にいつも感じる事だがノーマルもアブノーマルも混然一体のアンバランスを一つの世界に成立させる技量は確かに素晴らしいと思う。しかしながら、本作の場合もエピソードの多さによってテーマは拡散しているように感じざるを得ない。イグナシオとエンリケの愛、性的虐待による少年の成長の行方、或いは神父の歪んだ欲望とアンヘルの野心等、観るべき要素はそれぞれあるのだが作品全体の着地点は絞りきれないまま酷く曖昧だ。

また、イグナシオがいかにしてあのようなヤク中状態に到ったかという説明が皆無であることや、弟が兄に殺意を抱く動機付けの弱さもストーリー的には物足りない点であろう。構成や展開に凝った分だけ掘り下げられなかったのかもしれないが、結果的にあっさりとした印象のまま帰結し若干不完全燃焼、悪くはないのだが心を揺さぶられるようなものもない。

個人的には全然見たくないアナザーワールドではあるが、性的マイノリティーへの何の抵抗もない描写や、旬なガエル・ガルシア・ベルナルの女装と白ブリーフ(゚Д゚;)なんていう見せ場(多分)も満載なのでこってりした世界に浸れる事は間違いないだろう。
それにしてもガエルが一段とミニミニ大作戦なことになっていた、ちっちゃ!
で、何気に「トーク・トゥ・ハー」のベニグノだった彼(ハヴィエル・カマラ)もオイオイまたかよ、な熱演。


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