-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


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「Dolls ドールズ」
2005年 12月 20日 (火) 03:01 | 編集
Dolls [ドールズ] Dolls [ドールズ]

「Dolls ドールズ」 ★★★

DOLLS (2002年日本)
監督:北野武
音楽:久石譲
衣裳:山本耀司
キャスト:菅野美穂、西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、大森南朋、津田寛治、深田恭子、岸本加代子、大杉蓮、武重勉、ホーキング青山
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ Dolls ドールズ@映画生活

男女の情念を人形浄瑠璃のストーリーになぞらえて、いやそればかりか「つながり乞食」によって完全に文楽的人形の世界を現代に蘇生させようと試みた作品である。
ここでは文楽は単なるモチーフというより、赤い紐で繋がれた男女のラブストーリーが象徴する全篇の基軸となっている。それが逆に映画の収束を困難なものにしていることもまた確かだろうが、ユニークな実験的作品として非常に魅力的だと思う。

登場する人々は皆愛し過ぎたが故に何かを喪ってしまった者たちだ。男の行動は修復できないものへの贖いでありけじめとして描かれているように思う。だが壊れてしまったものは再び元に戻す事ができない、それを映画は我々に淡々と知らしめる。羽根を失った蝶や或いは潰れてしまった玩具のように、人生にも二度と取り戻せないことがあるのだ。
捨てられて精神の均衡を喪って錯乱を来した女に自責の念で寄り添い続ける男。菅野美穂と西島秀俊の現代の文楽的心中物を中心に、他に二つのエピソードが交錯していく。

だが歪な形ではあれど彼等が喪った物は僅かな時間だけ取り戻す事ができたのかもしれない、ということも感じないだろうか。
任侠の男は名乗る事もなく男を待ち続けた女の弁当を食い、追っかけの男は目を潰すことで再起不能の元アイドルとの出会いを叶えた。相変わらず少々極端な設定を取るエピソードではあるが男と女の愛情の形、情念の深さを上手く切り取って見せてくれる。そして腰の紐を結びつけた二人は雪の中で過去の思い出と向き合う。男の号泣、そして女の微笑、全く美しいクライマックスである。

ただそのクライマックスが殆どあっさりと彼等の未だ終わらない道行きに封じ込められてしまっていたのは正直残念だった。あのシーンこそこの映画の真髄であり魂ではなかったのだろうか?
死に場所を探すようにどこまでも歩き続ける彼等の彷徨は衣裳共々完全な「Dolls」、文楽の世界の写し絵であることは明らかだ。だが悲劇への道行きがあまりにも冗長過ぎた結果、若干くどくて全てに過多な印象を受けてしまう。文楽の映像をあれだけ長くプロローグで入れて、さらに終盤で延々と二人の姿を映し続ける必要があったかどうか。結局他のエピソードに比較して中心のエピソードがどうも上手く捌けていない、着想は素晴らしくいいのだが作品全体に漂う消化不良な印象はそのせいかもしれない。

で、この作品を観て一番インパクト大な要素はやはり衣裳と色使いだろうと思う。山本耀司の衣裳の良し悪しについては個人的には賛同し難いが、あれを着せることによってリアリティと古典が上手く同居して文楽が再現されることを監督は狙ったのだろう。その意図を理解はできるから、ズルズルだとか何処から持ってきたんだとかそんな追及はしませんw。
そして色と言えば、本作で画面に映える色はとにかく「赤」である。女と男を繋ぐ腰紐、深紅のバラ、紅葉、まるで血のように鮮やかな赤が移ろう日本の風景美に溶け合い、人間の脆い魂と絆を表象する。色彩を効果的に使った映像の美しさはこの作品の大きな魅力だ。
ただ「HANA-BI」でもその兆しを少し感じたようにやはり映像が過多である。以前の北野作品のような思い切りのいい省略は影を潜めて、作品全体が何かと饒舌になっているように思えてならない。メタファーとなるモチーフの見せ方も少々あざといというか安易というか、それだけ監督としてはこなれて来たのかもしれないが、若干北野監督の良さがトーンダウンしている印象も受ける。
個人的には「ソナチネ」や「あの夏、一番静かな海。」等の初期の作品の演出や編集の方が好みなのだが。


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■北野監督データ
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     ソナチネ ★★★★☆
     キッズ・リターン ★★★★
     HANA-BI ★★★☆
     Dolls ★★★
     TAKESHIS' ★★☆

■サウンドトラック
Dolls ~ドールズ~ オリジナル・サウンドトラック Dolls ~ドールズ~ オリジナル・サウンドトラック

JOE HISAISHI MEETS KITANO FILMS JOE HISAISHI MEETS KITANO FILMS

北野作品の中の久石譲の楽曲を集めたアルバム。
名曲が揃っているので北野・久石ファンには嬉しい一枚w

■北野武監督作品お薦めDVD
ソナチネその男、凶暴につきキッズ・リターン
あの夏、いちばん静かな海。Dolls [ドールズ]3-4×10月
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