-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「カナリア」
2005年 11月 20日 (日) 03:04 | 編集
カナリア カナリア

「カナリア」 ★★★

CANARY (2004年日本)
監督:塩田明彦
キャスト:石田法嗣、谷村美月、西島秀俊、りょう、つぐみ、甲田益也子、水橋研二、戸田昌宏、品川徹、井上雪子
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ カナリア@映画生活

この作品はオウム真理教事件の真相に迫ったり事件の責任の所在を問うようなものではない。是枝監督の「ディスタンス」同様、視線を向けられているのは重篤な事件の加害者側の方にいる被害者であり、その中心は精神的な拠所をカルト教団に求めた大人の利己的な選択に付き合わされた子供である。
子供は親を選んで生れ落ちることができない、という話は「誰も知らない」の記事でも以前触れたが、再びこの映画は明らかに社会が産み落とした暗闇の犠牲者となった子供達を映し出してみせる。「誰も知らない」では言葉にされなかった「子供は親を選べない」という現実の惨さを言葉にしてみせ、或いは「誰も知らない」のエンディングで明と孤独な女子中学生、茂、京子が寄り添い擬似親子のように歩くシーンをなぞるかのようにまたここでもラストシーンは繰り返される。この二つの作品は家族という社会に閉じ込められた子供の心の彷徨と解放を描くという意味で、結果的に似通ったテーマとしてシンクロしているのではないかと思う。
繋いだ手に「生きていく」という未来への決意があろうとなかろうと、彼等は生きなくてはならないという現実があるのだ。

但し脚本はあの帰結に一直線に向い過ぎて多分に性急過ぎたり、ご都合主義な部分があるように感じられたのが残念でならない。児童相談所を脱走したカルト教団の少年の前に現れる人間たちの寛容さといい、生き直そうとする元信者達のどことなく安穏とした暮らしぶりといい、どうにも現実離れした違和感がつきまとう。さらに少年の内なる心の葛藤は常にユキという存在が保護者のようにそれを受け止め理解者となる辺り、あまりにも都合良過ぎて安易だ。エンディングでは母の喪失という哀しみに打ちひしがれつつも少年は逞しく未来に向う、少なくともそんな風に我々の目には映る。しかしながら彼が魂の拠所としてきたカルトへの帰依は結局どうなったのかわからず終いだ。「我は赦す」等という極めて宗教的台詞から、どう考えても未来の無い3人の逃避行で「生きていく」と結論付けるような性急さも、魂の呪縛と解放というテーマを表現するには乱暴な印象しか残らない。白髪という表現も本来必要であったのかどうか、絵的なインパクトはあるが突飛過ぎないか?

そして、結局オウムは未だ終わってはいないという現実がやはり途方もなく大きいということをこの映画で改めて感じざるを得なかった。終わってはいないからこそその扱いは非常に難しい。信者やその家族に理解を示す事があたかも真の被害者を冒涜するかのように論じられるマスメディアの論調もその困難さに拍車をかける。題材として実際の事件をモチーフとする作品は数多いし、扱う事自体その事件の本質を世に問いかけ再考する意味で有意性を持つと思う。だが、軽んじてはならない或いは観る者にそう思わせてはならない重い現実があるという事を映画の作り手はいつも意識の底に置くべきであろう。本作がたとえカルト教団が産み落とした家族の問題を問いかけるという切り口であろうとも、信者が信者たる所以を上っ面を撫でるようにしか描かないフィクションはやはりどこか絵空事のような軽薄さを拭えない。
だとすれば「」「A2」或いは「アンダーグラウンド」の如くに明確なドキュメンタリーの方が余程罪が無いようにも思う。
「誰も知らない」が、実際の事件より甘い帰結に見えて実は“子供達だけの生活の継続”という更に残酷な未来を映し出し、取り巻く社会の責任を問いつつ明という少年の成長をも映し出したのに対し、本作はそこまでの域に到達するには至っていない。事実をモチーフとしたフィクションであるなら事実を凌駕するくらいのテーマへの希求性がなければ結局その重さを観る者に伝える事はできないということだろう。

題材的にも非常に興味深いし難しいテーマに挑んだ真面目な邦画としては評価されるべきだろう、でも正直温かった。でもパンクな白髪とエンディング曲の妙に浮いた感じはホントはOUTなんだろうけど嫌いじゃなかったり(爆。


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