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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「イレイザーヘッド」
2005年 11月 14日 (月) 23:18 | 編集
イレイザーヘッド 完全版 イレイザーヘッド 完全版

「イレイザーヘッド」 ★★★☆

ERASERHEAD (1976年アメリカ)
監督:デヴィッド・リンチ
キャスト:ジョン・ナンス、シャーロット・スチュワート、アレン・ジョセフ、ジーン・ベイツ、ローレル・ニア、ダーウィン・ジョストン
   ⇒ イレイザーヘッド@映画生活
   ⇒ Trailerを見る(必見)
   ⇒ In Heaven-lady in the radiator を視聴する

この映画を観た衝撃は筆舌に尽くし難い、総てのリンチワールドの原点はここにある。
これはまさに謎は謎のまま答えが提示される事なく異様な非日常が次々と積み重ねられていく悪夢の世界だ。

しかし何度か本作を観て思うことは、この悪夢のような世界とは、現実の日常を歪曲化或いは極端に誇張した形で現出した人間の本能的な欲望や深層心理の象徴なのではないか、ということだ。
従って本作の場合は男が陥り易い最悪の悲劇のドラマと観ることもできるし男の結婚や出産への不安と躊躇いのドラマとも取れなくも無い。結婚して親になるというしがらみへの身勝手な嫌悪感、望んでいなかった子供は醜悪に映り、恋人の実家という理解し難い他人と付き合わねばならぬ肩身の狭さ、早まって結婚してみたもののやっぱり募る他の女への思い等々。奇形に見えた子供への行為は結局男にとっての苦痛の種を取り除きたいという願望であったのかもしれない。勿論悪夢の世界に整合性を求めて解釈すること自体無価値ではあるのだがw。

とは言え、どう考えても精子と卵子の結合にしか見えないカットや食欲減退な体液ドロドロピューのシーン、極めつけはイグアナみたいな赤ん坊と満面の笑みで微笑んでくれるこぶとりお姉さん、グロテスクで想像を絶する映像の連続に圧倒されてしまうことも事実なのだ。
そして常時流れ続ける神経に障るノイズ、モノクロの暗闇の深淵の気味悪さ。ドアの向こうにあるものがこれ程怖いという底なしの恐怖を演出するリンチの手腕には驚くばかりだ。In heaven~(In Heaven-lady in the radiator)の曲を聴きながら、何より異形の歪さの中に奇妙な哀愁さえも憶えてしまう実に魅力的な作品だと思う。

この作品を原点に「ブルーベルベット」「ロストハイウェイ」そして「マルホランド・ドライブ」へと開け放たれた非日常性への扉は、我々がふとした瞬間にいつでも陥る可能性のあるすぐそこにある狂気の世界でもあるのだ。

In heaven everything's fine・・・

新作も観てないことだし溜まりまくった下書きをたまには整理しよう祭りその2、でしたw。
因みにリンチといえばもう異様な世界が代名詞のようになっているが、「エレファント・マン」や「ストレイト・ストーリー」といった非常に一般性のある作品もきっちり撮っている監督でもあるので、それは追記しておきたいw


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■サウンドトラック Eraserhead (1976 Film)
Eraserhead (1976 Film)
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