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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「告発」
2005年 11月 07日 (月) 02:01 | 編集
告発 デラックス版 告発 デラックス版

「告発」 ★★★☆

Murder in the First (1994年アメリカ)
監督:マーク・ロッコ
キャスト:クリスチャン・スレーター、ケビン・ベーコン、ゲイリー・オールドマン、エンベス・デイヴィッツ、ウィリアム・H・メイシー
   ⇒ 告発@映画生活
   ⇒ IMDbでTrailerを見る

ケビン・ベーコンの渾身の演技に尽きる。
アルカトラズ刑務所を閉鎖に追い込んだ実話に基づく刑務所人権蹂躙物。

時代を反映する社会的な弱者に対する差別と虐待と言えば「カッコーの巣の上で」等も思い出されるが、まず触れておくべきは、3年という異常に長期に渡る独房への監禁生活を強いられた囚人をケビン・ベーコンがこれでもかという熱演を見せていることだろう。癖のある役を実に器用にこなす役者だがこの作品ははっきり言って彼の演技がなければ成立しない。

そして当時の報道(脚色があるだろうが)等を交えた裁判の展開が非常に面白い。ジェームズが弁護士としての未来を選ぶか、ヘンリーという男の真実を選びアルカトラズを告発するか。覆せるとは思えない状況でヘンリー自身を証人喚問するクライマックスは劇的だ。国家を敵に回して闘う裁判にしては少々上手く行き過ぎの印象も否めないが、この法廷シーンのエンタメ的見せ方で俄然映画としては盛り上がるという結果になっている。

しかし犯罪者に対する搾取と不当な懲罰描写のハードさにばかりつい目が行きがちだが、作品の本質は、後半から変わっていくジェームズとヘンリーの関係にあるように思う。単なる弁護士対被告人ではなく人間対人間として、同じ年代の男同士としての対峙へと二人の関係は変容する。それは友人も恋人もいない孤独なヘンリーの魂が求めた擬似的な友情の形であった。自身の命運を賭けた裁判ですら彼にとって最も大切だったのはジェームズと過ごす僅かな時間だったのかもしれない。若き弁護士にとってはアルカトラズの告発という目的が第一であっただろうが、ヘンリーという孤独な男がこの裁判で得た物は法廷での勝利だけではないだろう、本作の人間ドラマとしての深さはおそらくそれに起因するのだ。
ジェームズという友を得て胸を張って地下牢に下りていくヘンリーの姿には、観る者は彼が取り戻したものの大きさ、即ち「人間としての誇りと尊厳」の意味を考えずにはいられないだろう。

ただ若干物足りないと感じた部分も多かった。ヘンリーの脱獄の経緯の詳細や二人の関係がヘンリーの一方通行的な友情に見えなくもない描写は、ナレーションだけではなくもう少し突っ込んでじっくり描いて貰った方が良かったと思う。あと判決後のジェームズがヘンリーのフォローをしなかったのか或いはできなかったのか、とか。
まぁ見応えのある刑務所物であることは確かなのだが、ドラマの柱に多少ぶれを感じさせ、あちこち引っ掛かる部分が気になったことも追記しておきたい。


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■「告発」サウンドトラック
Murder in the First Murder in the First
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