-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


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「浮き雲」
2005年 11月 01日 (火) 02:03 | 編集
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トータル・カウリスマキ Vol.1 真夜中の虹/浮き雲 トータル・カウリスマキ Vol.1 真夜中の虹/浮き雲

「浮き雲」 ★★★★

DRIFTING CLOUDS (1996年フィンランド)
監督:アキ・カウリスマキ
キャスト:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネン、エリナ・サロ、サカリ・クオスマネン

Drifting Clouds管理人さんの激お薦め映画をやっと鑑賞。

やっぱりカウリスマキは最高に(・∀・)イイ!!
無駄を排した隙のない脚本に哀愁のある音楽、テンポのいいシーンの切り替え、そして人の人生というものへの愛情を感じさせるストーリー、全くもって素晴らしい監督だと思う。

映画は終盤まで失業した夫婦の度重なる不運を淡々と追うことに専念する。慎ましく平凡な人生を送ってきた二人に襲った不幸は相当に悲惨だが、まず我々は台詞も役者の表情も必要最小限であることに驚かざるを得ない。だが説明的なシーンやナレーションが殆ど皆無であるにも関らず、観る者は登場人物のキャラクターや彼等が陥っている状況をいつのまにか当然のように理解するのだ。絵画のように静かな男と女の対峙するシーンを支配するのは実は繊細で巧妙な演出なのである。

若干物足りないとさえ思わせる衒いのないカットの連続と歯切れのいい省略。
リストラの可否はただカードの3が語るのみだ、だがそれで十分観客に伝わるという事をこの監督は熟知しているのだろう。怒鳴り声や悲鳴、泣き顔、あるいは説明的な補完、そういう派手な演出や芝居がなく無駄なもので飾り立てられてはいないが、この絶妙な「間」と圧倒的な判り易さはカウリスマキ監督ならではの魅力なのだと思う。

そして何よりも語るべきはこの監督が描き出すテーマである。カウリスマキはここでもまた悲惨な人生を決してそれだけで覆い尽くすことはない。過去という苦悩を背負いつつ未来へ向うという意味では、「過去のない男」と同様に監督の平凡な人生への労わりと小さな幸福への愛情を感じずにはいられない。だが「過去のない男」が過去に囚われずに生きる選択、言い換えればリセットという選択を見せたのに対して、この「浮き雲」は過去は前提条件として厳然と存在させつつそれを反芻し飲み込みながら前に進むという、積み重ねの切なさや暖かさを包含していると思うのだ。

レストランがクローズされる前夜の無言の乾杯とバンド演奏、あるいはラストシーンで仰ぐ空。心に沁みるシーンが何と多いことか。カウリスマキ作品御馴染みの地味な役者陣が揃って実に美しく淡々と演じる芝居もいい。再開する店で客を待ちわびる思いに観る者もまた共感せずにはいられないだろう。
映画としての判り易さを失うことなく、澱みのない展開で人生を描く。カウリスマキという監督の非凡さを改めて感じさせられる傑作である。

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過去のない男
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