-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


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「ランド・オブ・プレンティ」
2005年 10月 27日 (木) 00:02 | 編集
ランド・オブ・プレンティ スペシャル・エディション ランド・オブ・プレンティ スペシャル・エディション

「ランド・オブ・プレンティ」 ★★★☆

LAND OF PLENTY (2004年アメリカ/ドイツ)
監督:ヴィム・ヴェンダース
キャスト: ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディール、ウェンデル・ピアース、リチャード・エドソン、バート・ヤング、ショーン・トーブ
公式サイト

9.11、あの日に踏みにじられてしまった心を取り戻す為に始まる旅。

この映画はスタートなのだ、ヴェンダースはアメリカの痛みと抱える問題を凝縮してスクリーンから語りかける。
ベトナムの敗残兵としてのトラウマに苦悩し、9.11の惨劇に出会って過去の悪夢を蘇らせてしまった男ポール。たった一人で戦い守り続けようとしたものは彼自身の中の強く美しく豊かなアメリカという一つの理想だ。そのポールを訪ねて10年ぶりにアメリカに戻ったラナもまた、中東で9.11の映像に上がる歓声を目の当りにして、祖国の持つ矛盾と誤謬に心を痛める。二人の立場は極端な妄想愛国主義者と平和主義者という対極的な位置で描かれるのだが、猜疑心と憎悪に満ちた戦いの歴史の象徴である「グラウンド・ゼロ」でその思いは一つに収斂されていく。

9.11をモチーフとする幾つかの映画で、どんなに傷だらけで愚かであろうと愛して止まない、そんな祖国アメリカへの思いを感じたものだったが、グラウンド・ゼロに真正面から向き合った作品は今までなかっただろう。映画はどれ程戦いがそして9.11が人々の心に深い傷を残したのか、果てる事のない報復という愚かしい行為に振り回される哀しみを映し出しつつ、残骸としてではなく再生へのスタート地点としてのグラウンド・ゼロを描き出すのだ。

「もっと心に迫ってくるはず」だったそれは、ただ沈黙してあの日の現実を告げる。
勿論グラウンド・ゼロとの邂逅は、単純に総てが融解しラナに表象される理想的な平和が簡単に訪れるわけなどないことも改めて再認させられる。だが帰結としては甘いのかもしれないが性急に何らかの答えを出そうとする立場を映画は取らない。唯一あらゆる憎悪と怒り、悲嘆を包括するあの場所が、模索すべき道への最初の地として存在する厳然たる事実の重さを語るのだ。

たった16日間でハンディカメラで撮影されたというロードムービーだが、「パリ、テキサス」を彷彿とさせるこの上なく優しい光に満ちた作品である。アメリカという国を批判するだけではなく、抱える苦悩を静かに見つめ希望の糸口を温かく映し出したそんな映画であるように思う。アメリカに暮らし、他の何処にもない風景の広がりを愛して止まなかったヴェンダースの思いが伝わってくるかのようだ。

若干ラナとポールの人物対比が極端でステレオタイプなイメージである事と全体的に脚本は散漫な印象を受けるしテンポの冗漫さも否めない。しかし短期間で撮られたというのにこの作品の完成度はとても高い。空間の広さを感じさせるヴェンダースらしい映像は健在であり、Land of Plentyを始めとする楽曲はしみじみと心に沁みる、相変わらずの映像と音楽の魅力も注目だ。

これまでに9.11を扱った作品としては「11'09''01/セプテンバー11」も非常に印象に残る作品だった。
これからも沢山の9.11が描かれていくのだろう。
そしてその度に9.11という事件の重さを改めて思うことになるのだろう。
エンディングで流れるレナード・コーエンの「ランド・オブ・プレンティ」は穏やかな旋律で少しばかり感傷的な気分にさせてくれるが、同時に世界は未だ9.11の深い闇の中に彷徨っていることにも気づかされるのだ。

I lift my voice and pray:
May the lights in The Land of Plenty
Shine on the truth some day.

僕は声を上げて祈る
この豊かな国の光がいつの日か
真実を照らし出しますように


2004ヴェネチア国際映画祭ユネスコ賞受賞作品。

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ランド・オブ・プレンティサウンドトラック

■Land of Plenty収録アルバム(試聴可)
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