-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「アワーミュージック」
2005年 10月 27日 (木) 00:20 | 編集
アワーミュージック アワーミュージック

「アワーミュージック」 ★★★★

NOTRE MUSIQUE(2004年フランス)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
キャスト:ナード・デュー、 サラ・アドラー、ロニー・クラメール、ジャン=クリストフ・ブヴェ、ジャン=リュック・ゴダール、サイモン・エイン、ジョルジュ・アギラ、ルティツィア・グティエレス
公式サイト

世界が奏でる「対立と抗争」のシンフォニーを聞け。

争いの原点とも言うべきサラエヴォに立ち返って9.11以降の世界の今を描いた作品。
「地獄編」「煉獄編」「天国編」という3つのパートによって構成されるゴダールの最新作である。

「地獄編」では凄惨な戦争映像の数々のコラージュによってまさにこの世の地獄を印象づけ、続く「煉獄編」はサラエヴォという対立の街から、「地獄編」で炙り出された現実世界の矛盾と哀しみを論理的に辿って行く。
特に「煉獄編」では「切り返しショット」と修復される橋のエピソードが非常に象徴的である。聞き手と話し手の対立的なショットというメタファーによって説明された相対的な対立の構図。また二つの岸を結ぶ一つの真実としての橋の存在。橋はまさに、イスラエルとパレスチナ、ユダヤとイスラムの対立を包括し自ら血を流し続けたサラエヴォそのものなのかもしれない。だが橋が壊されたならば無から作り直すのだ、という力強い言葉にはこの地への否定を感じるものではない。
そして「天国編」である。おそらくオルガが死して訪れた地としての表現であろうが、それは寓話の如き精神世界としての天国が静かな佇まいで語られるのだ。この穏やかな描写に、混沌と衝突の火種となってきたサラエヴォという存在へのレクイエムを想起させられると同時に、不条理に奪われてしまったオルガという魂の安息の地は、半ば我々が選択するべき一つの未来のあり方の表象でもあるかのように脳裏に焼きつくのである。だが岸辺の対岸を守るアメリカ兵とは額面通りの国境のない平和を示すのか、もしくは逆説的にシニカルな意味を持たせて存在させたのか、これもまた矛盾と欺瞞に満ちた世界の混沌或いはゴダールの複雑性そのものを映し出しているように思う。

結局のところやはりこの作品は"our"という言葉で一つに収束されるゴダール流の現代の「神曲」なのかもしれない。オルガがゴダールに託すという行為は、歴史の目撃者として語り部となるべき存在即ちゴダール自身(或いは目撃者と成り得る我々という総ての存在)への逡巡であろうか。地獄編は後で追加されたものらしいが、3パートであることによってこの作品は無益な闘いに明け暮れる人間そのもの、その有様をより鮮明に映し出す結果になっているようだ。
かと言ってゴダールが説教臭く語る、人間かくあるべきなどという映画でもない。80分という短い作品ではあるが、「ランド・オブ・プレンティ」よりも更に世界の今を俯瞰した、客観的普遍性を持ち得たテーマと見せ方になっていたように思う。勿論それが映画の価値や優位性を決定するわけではないだろうが、心に重く、そして深く響く作品であることは確かだ。この作品のどの程度を理解できているのかさえも判らないが、いつかまた時間をかけて再見したいと思う。

ただ、唯一言えることはとても魅力的な作品だということだ。映画がその全体で観る者に語りかけてくる、どうしようもなく心の深い所を揺さぶられる、そんな作品である。
未だゴダールを論ずる知識も持ち合わせていないので多分に的外れな方向性で書いているかもしれない。鑑賞された方、TB・コメントで補完修正して頂けると幸いです。
ゴダールやアンゲロプロスの作品を観て感じることは、作り手が意図した映画の意味或いは発せられたメッセージを正確に(可能ならばw)理解できないことへの憤懣と失望だったりもする。だが映画を通して自分の中に湧き上がった感情を押さえつけたくはない。
と、半ば諦念に塗れつつこんな駄文を書いているわけだ。

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