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The Door into Summer
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「トリコロール/赤の愛」
2005年 10月 20日 (木) 01:00 | 編集
トリコロール/赤の愛 トリコロール/赤の愛

「トリコロール/赤の愛」 ★★★★

TROIS COULEURS: ROUGE (1994年フランス/ポーランド)
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
キャスト: イレーヌ・ジャコブ、ジャン=ルイ・トランティニャン、フレデリック・フェデール、ジャン=ピエール・ロリ、サミュエル・ル・ビアン、マリオン・スタレンス
   ⇒ トリコロール 赤の愛@映画生活

最終章となる博愛の「赤」。
この作品でトリコロール三部作のテーマがはっきりと見えてくる。

一匹の犬を轢いたことによって、盗聴を趣味にする孤独な男と出会った若い女。愛を失い疑心暗鬼になり人間不信に陥っている男に「人間は寛大なものだ」と女は答える。
女の憐れみにも似た感情が男の心を徐々に開いていく。愛というにはあまりにも特異でエキセントリックな関係であるが、存在が互いの癒しになり閉ざした心への光となることもあるのだろう。人を裁くことへの罪の意識を持ち続け、他人の秘密を探ってきた男には、この「博愛」の象徴と言うべき穏やかな女が感情の吐露を為せる唯一の相手だったのかもしれない。
鳴り続ける電話、盗聴という秘密の覗き見、人は人の心を知りたい、誰かと繋がりたいのだ、そんな孤独を具現するモチーフに溢れた切なくも美しい作品である。

圧巻はやはりエンディングであろう。ラストのフェリー惨事のニュース映像により、このトリコロールの三話の登場人物が事故の生存者であったことを我々は知ることになる。
この三部作とは彼等が其々に背負った愛のかたちと運命の巡り合せを映し出して見せる物であったことに気づいた時、人と人の繋がりの不思議、そして運命という糸で紡がれた偶然(時として必然なのかもしれない)を観る者は静かに理解するのである。

キェシロフスキ作品を彩る音楽は女や男の心の揺れを表現する要所で流れ、映像はやはりまた赤が差し色として何度も使われる。ただそれは我々が「赤の愛」と意識して色を探すから気づき易いということも多分にあるが、映像全体はすべての翳が濃色の赤であるかのように暖かさを感じさせる色合いとなっている。「青の愛」の哀しみに満ちた怜悧な色彩と非常に対照的なことにも着目されたい。

「青」で映し出された孤独と解放、
「白」で描かれた総てを捧げても復活させたい愛、
これ等を一つのアンサンブルとしてまとめる最終章は、実に寛大で穏やかなトーンで「博愛」というテーマに肉薄し、それぞれの運命と愛の形を見事に収束して行くのである。

また三作に共通して登場するシーンがあるのもなかなか意味深で興味深い、瓶を捨てる老婆への登場人物のリアクションもテーマに繋がるヒント的な映像となっている。
尚、フランス国旗の色の順に「青(自由)」「白(平等)」「赤(博愛)」と三作共に鑑賞されることをお薦めする。この「赤の愛」がキェシロフスキ監督の遺作となったそうだ、間違いなく傑作である。


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トリコロール/青の愛 ★★★☆
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