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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「ボーイズ・ドント・クライ」
2005年 10月 18日 (火) 22:45 | 編集
ボーイズ・ドント・クライ ボーイズ・ドント・クライ

「ボーイズ・ドント・クライ」 ★★★

BOYS DON'T CRY (1999年アメリカ)
監督:キンバリー・ピアース
キャスト: ヒラリー・スワンク、クロエ・セヴィニー、ピーター・サースガード、ブレンダン・セクストン三世、アリソン・フォランド、アリシア・ゴランソン、マット・マクグラス、ロブ・キャンベル、ジャネッタ・アーネット

性同一性障害への差別と偏見がテーマ。非常に痛い。
身体と心の性が一致しない苦悩の深さ、男であるという性、女であるという性について考えさせられる作品だ。というか男として正直観るに耐えない作品でもある。女が陵辱される痛みを男としても共有するものであるからなのか、主人公が男でも女でもない曖昧で危ういアイデンティティを抱えていた事実のせいなのか、再見する気になれないのはそういう根源的な性のアンバランスの問題が露呈されているせいかもしれない。
作品としては衝撃的な題材をテーマに、アメリカの田舎の堕落気味な若者達の素顔は赤裸々に描き出す。しかし、性同一性障害者の現実に肉薄できているかというとそれは疑問を持たざるを得ない。ショッキングなクライマックスが事実ベースであるにしてもその部分だけが強調された印象があるのは、脚本的にブランドンという人間が背負ってきた苦悩や葛藤、心の痛みの部分の掘り下げが浅いからに他ならない。思春期に変化する身体をどんな思いでブランドンが受け止め自己の障害と向き合うようになったのか、ラナとのほんの僅かな会話で彼が語る過去からだけではその真実は伝わってこないように思う。実際女遊びに明け暮れる軽いキャラ的な描かれ方は明らかに作品自体にはマイナスではないだろうか。またこのような障害を持った人間はブランドンに限らず「男である」「女である」という外見の形に拘泥しなくてはならないものなのか、という部分ももう少し説明が欲しいところである。

だが、楽しめる内容でもないし脚本には上記のような疑問が残るが現代社会が避けて通れない問題を扱った作品としての価値はあると思う。こういう映画が性同一性障害者の状況を改善していく一端となるならば尚更のことだ。またこの問題に限らずマイノリティを排斥しようとする心理の暴力性と危険性について問いかけられる作品であることも事実である。人間とはかくも残酷で狭量であるのか、唯一の救いはラナが人間としてのブランドンを愛したということだろうか。

ヒラリー・スワンクって元々何かに噛み付きそうな顔ではあるが、男を演じるという困難さに立ち向かった努力は買いたい。それにも増してこの作品のクロエ・セヴィニーの包容力と美しさに救われる、個人的には彼女に賞をあげて欲しかったくらいだ。
というわけで観直して書き直そうとも思ったのだがあまりその気になれないので、一応3年前位の以前の感想に付記してUPしてみた。アカデミー主演女優賞及びゴールデン・グローブ女優賞受賞作品。鑑賞の際には覚悟してどうぞ。

 ボーイズ・ドント・クライ@映画生活

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■「ボーイズ・ドント・クライ」サントラ
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