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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「ひかりのまち」
2005年 09月 29日 (木) 23:19 | 編集
ひかりのまち ひかりのまち

「ひかりのまち」 ★★★★

WONDERLAND (1999年イギリス)
監督:マイケル・ウィンターボトム
音楽:マイケル・ナイマン
キャスト:ジーナ・マッキー、シャーリー・ヘンダーソン、モリー・パーカー、ジョン・シム、スチュアート・タウンゼント、イアン・ハート、ミシェル・フォーブス
   ⇒ 公式サイト
   ⇒ ひかりのまち@映画生活

人は誰かと繋がり触れ合っていたいのだという根本的な愛情への欲求、その普遍性をイギリスの平凡な人々の日常から描き出す。何一つ特別な事は起こらない、だが、誰しもが抱える孤独と苦悩と小さな喜びが淡々と慎ましくそして愛しく語られたそんな作品である。

映像的には夜の風景が一つの見所だろう。喧騒の中でハンディカメラに映し出されるざらついた夜のロンドンの情景が非常に印象的だ。
明け透けな昼の光の下の街は夜にはその顔を一変させる。日常に追われるように生きる人々の疲れた心を暖かく闇に包み込み、これほどまでに夜をいたわるように美しく描いた作品を自分はあまり知らない。
暗闇に光るヘッドライト、ビルの灯り、煌めくネオン、夜の街の魅力とは其処に見知らぬ誰かが確かに息づいているという思念を人々に想起させることにあると思う。昼に見えなかったものが夜には光になって見えてくる、そういう意味では「ひかりのまち」という邦題も意外に的を射ているのかもしれない。「ナイト・オン・ザ・プラネット」の澄んで冴えた夜の映像とは対照的だが、どちらも必見だw。

そしてマイケル・ナイマンなのである。彼の曲と共に思い出される情景の数々は、この世界で誰もが皆必死に生きているという明確な人間肯定の姿勢になり得てしまう、それ程に映像との協調性が圧倒的だ。「ガタカ」の時も同じ様な感慨を持ったが本作もやはり音楽が素晴らしい。

美しいヒロインもカッコいいヒーローもここには登場しない。
名もなき普通の人々の上にどこまでも普通に流れる時間。
それが限りなく尊い瞬間であることを描いた珠玉の一篇、ウィンターボトムの作品の中で「バタフライ・キス」と並ぶ傑作だと思う、お薦めです。

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■マイケル・ナイマンの曲なら此方がお薦め
フィルム・ミュージック~ベスト・オブ・マイケル・ナイマン フィルム・ミュージック~ベスト・オブ・マイケル・ナイマン

「コックと泥棒,その妻と愛人」「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」 「ピアノ・レッスン」「ガタカ」「ひかりのまち」等、ナイマンが曲を担当した作品から全40曲を収録したベスト版。これ等の作品が好きな人には外せない充実のラインナップだ。

■「ひかりのまち」サウンドトラック(一部試聴可)
Wonderland (1999 Film) Wonderland (1999 Film)

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中でも"MOLLY"はお薦め、Clickで試聴可能(WMP)
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