-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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「ボクと空と麦畑」
2005年 09月 26日 (月) 01:09 | 編集
Ratcatcher ボクと空と麦畑

「ボクと空と麦畑」 ★★★☆

RATCATCHER (1999年イギリス)
監督:リン・ラムジー
キャスト: ウィリアム・イーディー、トミー・フラナガン、マンディ・マシューズ、リーアン・マレン、ジョン・ミラー
公式サイト

「モーヴァン」のリン・ラムジー監督のデビュー作だそうである。
舞台は1970年代スコットランド、グラスゴー。不況に喘ぐ荒れた街を背景に1人の少年の心の軌跡とその社会的な閉塞を鮮烈に描き出した作品。
原題は"Ratcatcher"「ネズミ駆除人」。誤解を受けるような少々能天気な邦題は全くどうかと思うが、この作品ははっきり言って物凄く重い、観る時はそれなりに覚悟した方がいいだろう。

すべての出来事の原罪とも言うべきエピソードがこの作品の柱となっている。それは友人の死に自らの過失を背負った少年の幼い心の痛みだ。少年の秘密は観客に共有され、観る者は少年の視線でこの貧困の街とそこに生きる人々の生々しい息遣いをリアルに感じることになる。
暗く湿ったスコットランドの空気を漂わせる映像と、ケン・ローチ的なアプローチが非常に印象的だ。それはゴミが放置されネズミを殺すことが子供の遊びになるような薄汚れた街でも人は其処に生きなければならないという現実を表象する。水路で溺れるエピソードのリピートは息を詰めてこの街で暮らす人々の象徴そのものなのではないだろうか。本作は少年も含め人々の心が荒み疲弊していく閉塞した社会状況を淡々と浮き彫りにして見せるのだ。
濁った水路の水、暗く陰鬱な街と全く対照的に表現されるものが、明るい日差しが降り注ぐ麦畑である。この別世界のような美しい麦畑は少年の未来への希望と救いとして我々の心に強烈に焼付く映像である。
麦畑が見える新しい家では、彼の家族もマーガレットも皆が幸福になれると少年は信じていたのかもしれない。だがその淡い希望は風船に吊るされたネズミのようにはかなく終焉を告げる。傷つき果てた心に最期に映った風景が少年のただ一つの望みだったことを暗示しつつ、映画はエンディングを迎えるのだ。絶望に深く沈んだ沈痛なラストシーンには言葉もない。

暗くて痛くて哀しい作品ではあるが、個人的には「モーヴァン」よりこのデビュー作が繊細で美しいと思う。社会派のドラマとしても非常によく出来ている、殆ど笑う事のなかった少年の微笑があまりにも切ないエンディングである。

しかし"SWEET SIXTEEN"でも思ったがスコットランド訛りって凄いな。

 ボクと空と麦畑@映画生活
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