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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「アイランド」
2005年 08月 29日 (月) 18:47 | 編集
アイランド アイランド

「アイランド」 ★★★

THE ISLAND (2005年アメリカ)
監督:マイケル・ベイ
キャスト:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャイモン・フンスー、スティーヴ・ブシェミ、ショーン・ビーン、マイケル・クラーク・ダンカン、イーサン・フィリップス 
公式サイト

クローンが自己のアイデンティティに目覚め生きる道を模索する、これは言い換えれば生命創造という神の領域に踏み出した人間の傲慢な欲望の行方を描いた近未来アクションSFだ。

「人に在らぬ物」として切り捨てられたクローン達、その彼等のDNAに刻まれた記憶の蘇生によって人間は破綻する、云わば人間の生命の源となる情報によって愚かしくも人間は復讐されるのである。
と言うとクローン社会の問題を問う深いテーマの映画っぽいがそんなことは微塵もない全くのお気楽映画(爆。だって監督はあのマイケル・ベイなのだ、深さなんてあってたまるかw。
このようなテーマのSF作品は色々あるので、アクションもどこかで観たような感覚(途中から完璧バッドボーイズだしな!)は否定できないものの、有無を言わさぬ怒涛のアクションとスピード感溢れる圧倒的なテンポで136分飽きることなく楽しめる、というか半ばねじ伏せられてしまうだろう。この監督ならではの飽くなきエンタメ追求の姿勢だけは褒め称えておきたいと思う、「宇宙戦争」なんかよりよっぽど娯楽作品としての面白さを兼ね備えてはいるからね。

とはいえ色んな部分で脚本は大雑把だし、エンディングの放置ぶりもやはり如何ともし難い。このテーマ自体実は非常に重苦しく、考えれば考えるほど深刻なのだ。結局このクローン達はすべてオリジナルの意思によって作られ、彼等が踏み出そうとする新しい現実の世界とは、クローンを自らの命の糧とする為だけに利用しようとした人間の住む世界でもあるということなのだから。
救いのない絶望的な未来に向って逃げ続けたリンカーンとジョーダンはクローンを解放することに確かに成功したが、アイランドという夢を失った彼等に、オリジナルと共に生きる未来は果たして存在するのだろうか?映画は解放されたその他大勢のクローンの未来を描く事はないので倫理的な問題は残ったまま、ザ・放置プレイ(・∀・)b、やはり中途半端な印象は拭えないのである。

またジョーダンの瀕死のオリジナルと息子登場エピソードなんて、誰しもクローンの献身的犠牲を予感するだろうが、そんなもの全然お構いなしというのもさすがマイケル・ベイ。大体さっきまで「アイランドマンセー」だった癖にクローン話をあっさり鵜呑みにするジョーダンとか、厳しく管理している割には甘甘なセキュリティとか、ラスボスはタイマンなのネ♪とか、この辺も無茶苦茶ご都合主義、で、観客に考える猶予を与えずアクションシーンに突入するという強引な展開w。
振り返ってみればクローン側からの視点による描写は非常に効いているし、クローンはオリジナルの所有物ではなく彼等にもアイデンティティーがあるのではないかという人間の傲慢さを焙り出すメッセージ性も解る。倫理的に重いテーマを追求することなくあっさりエンタメ作品として見せてくれる点は、そこそこ楽しむには丁度いいかもしれない。但し、アクション部分がかなりのウエートを占めるのでDVDで観ると今一つ乗れない映画だろう。

で、どう見ても途中ジェダイになったのかと見紛う程不死身なユアンの、「生き残るためなら、何でもする」と吐き捨てるシーンが一番印象的だった。
そうそう、何でもしたよなぁ、二人の逃走で一体何人殺したんだ( ゚Д゚)ゴルァ!、と突っ込みたくなったが、意外に面白く観られた作品だったのでもう文句は言うまい(ここまで言っておいて何。
主人公二人のキャラの掘下げが薄いせいか共感も感情移入もできなかったのだが、やっぱり本作で最高なのはブシェミ。物凄くいい人だが案の定あっさりお亡くなりであっという間にスクリーンから消え。・・・お約束だよなぁ、もうブシェミ死にっぷり総集編映画が観たいくらいだ。

時節柄ユアンにフォースを使って欲しくなったのは俺だけではあるまい。

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