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-何の参考にもならない映画評-
The Door into Summer
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 ★評価別Index : ★★★★★ ★★★★ ★★★☆ ★★★ ★★☆ ★~★★ 


「デッドゾーン」
2005年 08月 29日 (月) 14:08 | 編集
 デッドゾーン デラックス版

「デッドゾーン」 ★★★★

The Dead Zone(1983年カナダ)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
原作:スティーヴン・キング
キャスト:クリストファー・ウォーケン、ブルック・アダムス、マーティン・シーン、ニコラス・キャンベル、トム・スケリット、アンソニー・ザーブ、ハーバート・ロム、コリーン・デューハースト、ラモン・エステヴェス

シークレットウインドウ」からのキング物繋がりで感想UP。
「ザ・フライ」「スキャナーズ」「裸のランチ」辺りを観てから鑑賞すると、クローネンバーグ作品としては若干物足りないくらい驚くほどすっきりと仕上がっていて作品自体にインパクトはない。しかしキング原作物の映画化作品の中で自分が知っている限りこれは最高傑作ではないだろうか。
本作は偶然手に入れてしまった予知能力によって自ら運命の渦に身を投じていく男の哀しみと孤独を描いた作品だ。下手に作ると「未来が見える」とうそぶく偏執的妄想状態の男の暴走と突っ込まれそうな題材を、クローネンバーグが実に上手く肉付けして素晴らしい人間ドラマとして描いている。「スキャナーズ」にも言えることだが、この作品の見所は未来予見能力というエキセントリックな能力の映像化だけではなく、特殊能力を持ってしまった人間の苦悩や葛藤が描かれていることにあると思う。
演出自体は非常に淡々としていて、エンディングはもう少し余韻が欲しかった位に呆気なささえ感じる程だが、逆にその地味で落ち着いた展開が荒唐無稽な超能力の世界と感じさせない深さと重さを与えているようでもあった。

「君にとっては5年でも自分には1日」
決して取り戻すことができない失われた時間を思うとき、誰しも切なさとやりきれなさでいっぱいになるだろう。
で、とにかくはまり役のクリストファー・ウォーケンのセンシティブで繊細なキャラに惚れ惚れする映画でもある。彼が演じたジョニーの孤独に満ちた表情は今も忘れられない。クローネンバーグの中では最も人に勧めやすい作品であることは確かだろうw。
尚、未来や現在を改変する能力という繋がりで考えると「バタフライ・エフェクト」もなかなか面白い作品である。この2作は「未来が見えるから現在を変える」か「現在を変える為に過去を変える」かの違いなのだが、それが自己犠牲を伴うが故に我々は共感せざるを得ないのかもしれない。
(2004年6月初回鑑賞)

 デッドゾーン@映画生活

■このブログのクローネンバーグ監督作品感想一覧

■スティーブン・キングによる原作ノベル
デッド・ゾーン〈上〉 デッド・ゾーン〈上〉

デッド・ゾーン〈下〉 デッド・ゾーン〈下〉

■デヴィッド・クローネンバーグ監督の主要作品
ザ・フライ <特別編> ザ・フライ <特別編>

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