−大学生の自己中ネタバレ映画評−
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新旧オールジャンルの濃い目の映画感想日記です、解釈分析ネタバレ有り。

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「16歳の合衆国」
2005年 08月 29日 (月) 13:49 | 編集
 16歳の合衆国

「16歳の合衆国」 ★★★☆

THE UNITED STATES OF LELAND(2002アメリカ)
監督:マシュー・ライアン・ホーグ
キャスト:ライアン・ゴズリング、ドン・チードル、クリス・クライン、ジェナ・マローン、レナ・オリン、ケヴィン・スペイシー、ミシェル・ウィリアムズ、マーティン・ドノヴァン、アン・マグナソン、ケリー・ワシントン、シェリリン・フェン、マット・マロイ 
公式サイト

衝動的に殺人を犯した少年。彼が犯行を犯すに到った心の軌跡をカウンセラーへの独白によって辿る。
本作は然したる動機無き少年犯罪を扱う「エレファント」のその後的な話でもあり、凶悪な犯罪に手を染めた少年の動機を紐解くストーリーなのだが、そこに彼の心の闇を自分の執筆のネタにしようとした男の誤謬や周囲の人間達が抱える苦悩といったサイドストーリーが交錯するという少々複雑な構成となっている。

すべての人間は問題や苦悩を抱える、しかし何故その一部の人間が重篤な犯行に到るのか、それを必死に模索しようとしているという点で、この作品は非常に意義があると思うし好感が持てる。少年を取り巻く人間(被害者や少年の家族、カウンセラー)其々の葛藤や苦悩部分にかなりの時間を割き、「動機」の謎を最後まで引っ張る構成にしているのは、結局は答えそのものよりもその「何故?」に到るまでの過程や理由を鑑賞者がどう受け取るか、我々は何を考えるべきなのか、それを最大のテーマとしているからだろう。
センチメンタルな音楽や丁寧な犯人の心理描写が犯行への理解や犯罪の正当化に走ってしまいそうな危険を孕みつつ、この作品の帰結には傲慢さや強引さはない。
この少年のような人一倍哀しみを感じてしまう人間の不幸とその動機に対しての賛否は当然あるに違いない。また結局明快な答えを出さない映画の方向性に対して逃げのアプローチではないかという批判もあろう。だが、はっきりした理由が見つけられないからこそ問題は甚大であるということもまたこの作品の訴える重要なポイントになっていることも決して忘れてはならないと思う。(どうせなら全く理由不明のままでも良かったかな、このストーリーと展開なら。)

ケヴィン・スペイシーが脚本に賛同して製作を後押しした作品だそうである。多くの人間にスポットを当てたが為に作品の全体の印象は少し散漫だ。しかし「何故?」と投げかけられた問いかけの姿勢は非常に真摯で重い。何ともインパクトには欠ける作風であるが安直な帰結に依存しないこの姿勢を評価したいと思う。
原題は"THE UNITED STATES OF LELAND"、しかしこの「17歳のカルテ」っぽい邦題もいい加減に止めて欲しいものだがw。
(2005年5月鑑賞)

 16歳の合衆国@映画生活

■関連記事TB送信ブログ様(TB返し除く):毎日が映画日和雑記のーと Ver.2(順不同敬称略)
Comment
この記事へのコメント
こんにちは。TB&コメントありがとうございます♪
linさんの「結局は答えそのものよりも〜」の一文を読んで、何故これほどまでに評価が分かれるのか、そして何故これほどまでに惹かれるのかというのが解ったような気がしました。Linさんの分析力には何時も感心させられますね。ホント痒いところに手が届くというかなんというか(笑)。
しかしホントいい加減にして欲しいですよね、中途半端な邦題。この作品もこの邦題のせいで過小評価されているような気がしてなりません。
2006/ 04/ 29 (土) 11: 09: 49 | URL | クマ # 0p.X0ixo[ 編集 ]
>クマさん
コメントありがとうございます。
この作品結構否定的な意見も多いっすよね〜、確かに地味な作品だし共感を得難い帰結とは思いますが。
映画としては例えば「イズ・エー」のような結論を出すのが方向性としていいのかどうかは解りません。ただ本作で唯一残念なのは、このリーランドの哀しみがもう一つ心の痛みとして伝わってこないという部分はあると思います。だから「問いかけ」だけでも良かったのかな、とも感じました。
分析力、どうなんでしょう、クマさん程の感性はないですよ。
というか勝手に理屈をこねるのは上手いとか言われますが OTL
2006/ 05/ 01 (月) 01: 59: 50 | URL | lin # -[ 編集 ]
こんばんは。
自分の記事にも書きましたが、改めて思い返してみてもクリス・クラインの存在意義が見出せませんでした(笑)彼抜きでも十分物語として成立するし、むしろそのほうがこの映画の作風に非常にマッチしたストーリーになると思うんです。それこそエレファントっぽくなってしまいますけどもw「新たな悲劇を生む」という意味にしても少々無理があるというか・・・

何故その行動に至ったのか、というのは主人公に共感できてしまった自分としては何となく理解できるし、それを描いた上で最後に「後悔している」という台詞を入れることによって、「それは間違っている」というキッパリとしたメッセージも込められているように感じました。

2006/ 06/ 12 (月) 21: 45: 53 | URL | baoh # JalddpaA[ 編集 ]
>baohさん
ん〜、そんなに引っ掛かるエピソードだったですかw
勿論彼抜きでも話は成り立ちます。ただ本文でも触れましたが、この作品の特徴として、殺人を犯した少年自身の心の葛藤と同時に、彼を取り巻く周囲の人間達の心情も描写するという側面がありますよね。
パールの場合は「利用」から彼自身の生き方を見直すという方向に向かいますが、リーランドの周囲は殺人という行為に対する「拒否・逃避・怒り・憎悪」等の感情が芽生える。その一つの表れとしてクラインの行動が描かれていたように思うんですよ、だからああいう直情的な行動をする人間が現れる展開というのも違和感は感じませんでした。
リーランドが殺されるという終焉は、彼自身の口から真相が二度と語られなくなってしまったということと、皮肉な贖いという閉じ方が欲しかったんじゃないですかね。リーランドが生きたまま終わっちゃうと映画としては若干物足りないんじゃないかとも思います。
まぁ人より哀しみを感じてしまったから、なんて理由に自分は全く共感できませんが、映画の方向性は評価されて然るべきと感じました。
ぁ、完全な実話ではなく、監督が少年院の教師で経験した話から創った脚本のようですね。
2006/ 06/ 13 (火) 01: 49: 21 | URL | lin # -[ 編集 ]
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